小説『The Hobbit』の翻訳対比表

概要

ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキンの小説『The Hobbit』は岩波書店原書房から別々の邦訳が出版されている。ここでは両者の訳語の一覧表を示す。

解説

岩波書店版『ホビット冒険』について
岩波書店から出版されているのは瀬田貞二訳の『ホビットの冒険』。これは原著第二版(the second edition)を底本とし、1965年に出版された。原著第二版とは、トールキンが1937年の初版からビルボゴクリなぞなぞ遊びに関する部分を大きく改訂し、1951年に出版されたものである。これには後の1954~55年に出版される『The Lord of the Rings』との整合性を合わせる意図があった。
この第二版の邦訳『ホビットの冒険』は翻訳家の別宮貞徳によって構文面を中心に多くの誤訳が指摘された。その為か、瀬田没後にも、1983年や2000年の全面的な改訂を含む細かな改訂が数多く加えられていったが*1、構文面での誤訳が払拭されたとは言い難い現状にある。また「文庫版」「愛蔵版」等の発行形態の違いによって、改訂箇所の相違が存在する模様である。
原書房版『ホビット ゆきてかえりし物語』について
原書房から出版されているのは山本史郎訳の『ホビット ゆきてかえりし物語』。これはトールキン研究家ダグラス・A・アンダーソンによる『The Hobbit』の解説書、『The Annotated Hobbit』(1988年)の翻訳である。この解説書に載っている本文は、トールキンが『The Hobbit』の内容を『The Lord of the Rings』や自らの中つ国に関する構想と近づける為に様々な改訂を施し、1966年に出版された原著第三版(the third edition)である。正確にいうと、これはトールキンが行った最後の改訂作業だったが、出版社によって細かな違いが存在したので、アンダーソンがそれらをまとめ、トールキンが意図した最終的な形の『The Hobbit』に仕上げたものである。書中ではこのアンダーソンが編集した本文を第四版と呼称しているが、トールキン研究でいう1978年出版の第四版(the fourth edition)*2ではないので注意が必要である。
『ホビット ゆきてかえりし物語』は1997年に出版されたが、不適切な訳が多く指摘された。原著『The Annotated Hobbit』の増補改訂版である第二版が2002年に出版されると、こちらを同じく山本が翻訳し、『新版 ホビット ゆきてかえりし物語』として2012年に出版された。新版では訳文が全面的に見直され、固有名詞の訳語も岩波書店の『ホビットの冒険』に一部準じた。

人名・呼称

スペル該当項目岩波書店版原書房版(旧版)原書房版(新版)備考
Azogアゾグアゾーグアゾグ岩波書店版(2nd edition)では名が登場せず
Balinバーリンバーリンバリン
Bardバルドバルドバード
Belladonna Tookベラドンナ・トゥックベラドンナ・トックベラドンナ・トックベラドンナ・トゥック
Beornビヨルンビヨルンビョルンビヨン
Bertバートバートバート
Bilbo Bagginsビルボ・バギンズビルボ・バギンズビルボ・バギンズ
Bifurビフールビフールビファー
Bladorthinブラードルシンブラードルシンブラドルシン
bodyguard of Bolgボルグの用心棒ボルグの用心棒ボルグの親衛隊
Bofurボフールボフールボファー
Bolgボルグボルグボルグ
Bomburボンブールボンブールボンバー
Bullroarer Tookうなり牛のトックブルローラ・トックブルローラ・トゥックバンドブラス・トゥックのこと
指輪物語』では「牛うなり」
Bungo Bagginsバンゴ・バギンズバンゴ・バギンズブンゴ・バギンズバンゴ・バギンズ
burglar忍びの者忍びの者
どろぼう
押入バーグラー押入おしいり
butler給仕頭執事ガリオンの役職
chief of the guards
chief guard
番兵長番兵長隊長衛兵の隊長
隊長
ガリオンとワインを飲むエルフの役職
chief wolf親分オオカミ親分オオカミ?親玉
ワーグの頭目とうもく
Carcカークカークカルクカーク
Dainダインダインデインダイン
Doriドーリドーリドリ
Durinドゥリンデューリンデューリンドゥーリン
Dowalinドワーリンドワーリンドワリン
elf-friendエルフの友エルフの友妖精エルフの友〈エルフの友〉エルフ王からビルボに与えられた名
エルロンドもエルフの友であるとされる*3
Elrondエルロンドエルロンドエルロンド原書房(新版)では外見のfairが「色白金髪」と訳された
Elvenkingエルフ王エルフ王妖精エルフ〈エルフ王〉
Filiフィーリフィーリフィリ
Galionガリオンガリオンガリオン原文では他のエルフから「old」と呼ばれているが、岩波書店版では訳出せず
原書房版では「爺さん」と呼ばれている
Gandalfガンダルフガンダルフガンダルフ
Girionギリオンギリオンギリオン
Gloinグローイングローイングロイン
Golfimbulゴルフィンブールゴルフィンブールゴルフィンブル
Gollumゴクリゴクリゴクリゴラム
Great Goblin大ゴブリン大ゴブリンゴブリンの首領
Kiliキーリキーリキリ
King of All Birdsあらゆる鳥たちの王?〈鳥の王〉ワシの王の後の称号
King under the Mountain
King beneath the Mountain
山の下の王山の王〈山の王〉山の下の王国の王、あるいははなれ山に巣食うスマウグのこと
Lord of Dale谷間の町の領主渓谷たにの王〈谷の王〉ギリオンのこと
Lord of the Eaglesワシの王ワシの王鷲の王〈ワシの王〉
Master of Lake-town
Master of the Lake-men
湖の町の統領湖の町の統領湖の町長〈湖の町〉の町長
Master who ruled themその昔のゴクリのむれをとりしまっていたゴクリのかしら指輪の王指輪をべる者指輪王(Lord of the Rings)ことサウロンのこと*4
my preciousいとしいしといとしいしと僕チンいとチャン原著初版ではゴクリの自分自身に対する呼びかけ
原著第二版以降は一つの指輪に対する呼びかけにもなった
ゴクリは歯擦音を好むので、語尾のsが多くなる場合がある
Nainナインナインネインナイン
Necromancer死人占い師死人うらない師食屍魔ネクロマンサーネクロマンサー*5
Noliノーリノーリノリ
Oinオインオインオイン
Old Tookトゥック翁トックじいさん
トックじいさま
長老トック
老トック
老トックおじいちゃん
祖父トック
長老トゥック
トゥック老
トゥック爺さん
トゥックのお爺ちゃん
Radagastラダガストラダガストラダガスト
Roäcロアークロアークロエクロアク
Sackville-Bagginsサックビル=バギンズサックビル・バギンズサックヴィル・バギンズサックヴィル=バギンズオソロベリアのこと
終わらざりし物語』では「サックヴィル=バギンズ」表記
skin-changer皮をとりかえるひと?毛皮をかえるビヨルンのこと
Smaugスマウグスマウグスモーグスマウグ
Thorin Oakenshieldトーリン・オーケンシールドトーリン・オーケンシールドソーリン・オウクンシールドトリン・オウクンシルド
Thrainスライントレイン(改訂前)
スライン
スレイントライン
Thrain the Oldスライン一世?〈父祖トライン〉原著第三版で言及される。岩波書店版には登場しない
Throrスロールトロール(改訂前)
スロール
スロールトロール
Tomトムトムトム
Williamウイリアムウイリアム
ウィリアム
ウィリアム
Barrel-riderたるにのるぞう樽乗り樽乗たるのビルボスマウグに言った名乗り(以下同)
clue-finder手がかりをつかむ者鍵の発見者カギの発見者
he that walks unseen見えずに歩く者姿を消して歩く者
Luckwearer運のよしお幸運を帯びる者幸運はこび人
Ringwinner指輪ひろっ太郎指輪を獲得する者指輪獲得者ゆびわかくとくしゃ
stinging fly剣でさすハエ針のある蝿針のあるハエ
web-cutterくものす破り?クモの糸切り

種族名

スペル該当項目岩波書店版原書房版(旧版)原書房版(新版)備考
Big People大きい人大きい人大男人間のこと
Deep-elves地のエルフ地の妖精エルフ〈深いエルフ〉ノルドールのこと
dragons邪竜ドラゴンドラゴン
dwarvesドワーフドワーフ矮人ドワーフドワーフ悪いドワーフはゴブリンと仲間になることがあるという
eagles大鷲ワシワシ
elvesエルフエルフ妖精エルフエルフ
goblinsゴブリンゴブリン悪鬼ゴブリンゴブリン
Good Peopleみなさん
よい種族
?〈善き者〉たち
〈善き人々〉
エルフのこと
GnomesノウムノウムノームDeep-elvesつまりノルドールの別名
原書房(3rd edition)の本文には登場せず解説で説明される
Great Worms大長虫(竜)邪竜大ドラゴンスロールの地図に描かれた翼の無い竜
High Elves of the West上のエルフ西のくにの上のエルフ西の高地の妖精エルフ〈西〉の〈高貴なエルフ〉Light-elves, Deep-elves, Sea-elvesの総称
この三つは西の世界に行った
岩波書店(2nd edition)では三つとも西の世界から戻ってきたとされる
原書房(3rd edition)では一部が戻って来たとされる
hobbitsホビットホビットホビット
hobgoblinsホブゴブリンホブゴブリン邪鬼ホブゴブリンホブゴブリントールキンの著者注によると、大きいゴブリンのこと
岩波書店版にこの注は収録されていない
Lake-men湖の人湖の人間(たち)
湖の人(たち)
湖のやつら
湖の町の人々
?〈湖の人間〉
〈湖の人〉
〈湖〉の人間
Lake-people湖の人々?〈湖〉の人々
Light-elves空のエルフ光の妖精エルフ〈光のエルフ〉ヴァンヤールのこと
光のエルフ (Elves of the Light) との混同を避ける為か、他の作品には用いられない呼称
Longbeards長鬚族長ひげ族長鬚一族ロング・ビアズ長髭ながひげ一族〉岩波書店(2nd edition)ではドワーフの二種族の一つ、原書房(3rd edition)では最も古い一族
Men of Dale谷間の国の人間谷間の町の人々?〈谷の人間〉
Men of the Lake湖の人湖の町の人々?〈湖の人間〉
ogres人くい鬼人くい鬼人食い謎々の答えを考えるビルボの思考で言及
orcsオークオーク鬼食人鬼オークオークトールキンの著者注によるとゴブリンのことだが、作中では別個の存在のように並記される
orcs of the mountains山の巨人山の食人鬼オーク山のオーク*6
Sea-elves海のエルフ海の妖精エルフ〈海のエルフ〉ファルマリのこと
stone-giants石の巨人石の巨人岩石巨人〈石の巨人〉
spiders蜘蛛クモ蜘蛛くもクモ
trollsトロルトロル巨鬼トロルトロル
Wargsワーグきちがい犬(改訂前)
アクマイヌ
ワルグワーグ
wild Were-worms化けミミズおそろしい長虫のとぐろをまいたやつ悪竜ドラゴンどう猛なドラゴン
Wood-elves森のエルフ
森エルフ
森の妖精エルフ〈森のエルフ〉西の世界へ行かなかったエルフ
作中に登場する闇の森のエルフはこれに属する
シンゴルナウグラミーアに関する話も登場するので、恐らくシンダールシルヴァン・エルフのこと
woodmen森人森の人
森の男
?森の住人
森の人間
岩波書店版では南から闇の森へとやって来た
原書房版では南から闇の森に戻って来た

物品の名前

スペル該当項目岩波書店版原書房版(旧版)原書房版(新版)備考
Arkenstoneアーケン石アーケン石アルケンストン
Beaterなぐり丸叩き魔ビーター〈たたき魔〉グラムドリングのこと
Biterかみつき丸噛みつき魔バイター〈かみつき魔〉オルクリストのこと
Black arrow黒い矢黒い矢黒い矢黒い矢
黒の矢
cramクラムたらふくクラム
Foe-hammer敵くだき敵を撃つ者敵をたたくものグラムドリングのこと
Glamdringグラムドリンググラムドリンググラムドリング
Goblin-cleaverゴブリン退治悪鬼ゴブリンを裂くものゴブリンを裂くものオルクリストのこと
Heart of the Mountain山の精髄山の心臓〈山〉の心臓アーケン石のこと
magic ring(s)魔法の指輪指輪
魔法の指輪
魔法の指輪力の指輪のこと
My birthday-presentたんじょうびのおいわいのしな誕生日プレゼント
誕生プレゼント
アタシの誕生プレジェントゴクリにとっての一つの指輪のこと
Orcristオルクリストオルクリストオルクリストオークリスト
ring of power力の指輪魔法の指輪魔法の指輪
Stingつらぬき丸つらぬき丸スティング
Thror's Mapスロールの地図トロールの地図(改訂前)
スロールの地図
スロールの地図トロールの地図

地名

スペル該当項目岩波書店版原書房版(旧版)原書房版(新版)備考
Bag-End袋小路屋敷袋小路袋小路バグ=エンド〈ふくろの小路屋敷〉
Beorn's houseビヨルンの家ビヨルンの家
ビヨルンのやしき
?ビヨンの家
Bywater水の辺村水のべ村汀町みぎわちょう〈みぎわ丁〉
Carrockカルロック見張り岩キャロック古英語で岩・石のcarrと現代英語rockの合成語
Dale谷間の国谷間の町渓谷たに〈谷〉
Desolation of the Dragon
Desolation of Smaug
スマウグの荒らし場竜の荒し場
スマウグの荒し場
邪竜ドラゴンが荒廃させた荒れ野〈ドラゴンのあらし野〉
スマウグのあらし野
doorstep入口の階段敷居しきいはなれ山の秘密の入口の前にある空間のこと
実際に階段や敷居があるわけではない
Dorwinionドルイニオンドルウィニョンドルウィニオン
Edge of the Wild荒地のくにのさかい荒地のくにのさかい
荒地のくにの入口
荒野の果て〈あれ野のへり〉ブルイネンの浅瀬辺り
edge of the Land Beyondおくの国の入口?〈その先の国〉のへり
Elf-pathエルフ道エルフ道?エルフの道闇の森北部を東西に横断する道
elf-road?〈森のエルフ〉の道
Elvenking's Hallsエルフ王の岩屋エルフ王の岩屋?エルフ王の宮殿
enchanted stream魔の川魔の川魔の川
魔法の川
Esgarothエスガロスエスガロート(改訂前)
エスガロス
エスガロス
Eyrie, theワシの巣ワシの巣?タカの巣(地図上)
Faerie in the West西のくにの妖精族(改訂前)
西のくに
西の妖精の国西の〈妖精の国〉アマンのこと。特にエルダマールのことか
Fordブルイネンの浅瀬渡り場?渡り場地図上の表記
forest-gate
gate of the forest
森の入口?森の入口エルフ道の西側出入口
Forest River森の川森の川森の川〈森の川〉
Front Gateおもて門
表門
正面の門〈おもて門〉はなれ山から早瀬川が流れ出る門
Front Porch玄関の間?〈おもて玄関〉本道の山道に面した洞窟の、ゴブリン達の名称
一行が野宿してゴブリンに捕まった場所
Goblin-gate
Goblin Gate
ゴブリンの裏門(地図上)
ゴブリンの門
?ゴブリンの門下の門(lower gate)のこと
Goblin-townゴブリン町ゴブリン町?ゴブリンまち
Gondolinゴンドリンゴンドリンゴンドリン
great chamber of Throrスロールの朝見の間スロールご自慢の部屋トロールご自慢の集いの部屋
Great House官邸大舘大舘おおやかた湖の町にある建物
Great River大河大川大川〈おお川〉アンドゥインのこと
Great River of Wilderland荒地川?あれ野のおお川
Great Shelf大岩だな大岩だな?大岩棚おおいわだな大鷲に助けられた一行が運ばれた場所
Green Dragon Inn緑竜館緑竜館緑竜亭りょくりゅうてい〈グリーンドラゴン亭〉
Grey Mountains灰色山脈黒ぶせ山連山(改訂前)
たそがれ山連山
たそがれ山の山脈
たそがれ山
灰色山脈〈灰いろ山脈〉
Gundabadグンダバドグンダバードグンダバッド
High Pass本道大峠山道〈山道〉
Hill, theお山お山〈丘〉
hobbit-holeホビット穴ホビット穴
ホビットの穴
ホビット穴
ホビットの穴
横穴式住居ホビット・ホール
豪邸

わが家
ホビット穴
Hobbitonホビット村ホビトン町(改訂前)
ホビット村
ホビトン市〈ホビット村〉
Iron Hillsくろがね連山くろがね山鉄の丘〈くろがねの丘〉
Lake-town湖の町湖の町湖の町〈湖の町〉
Last Desertいやはての砂漠いやはての砂漠最後の砂漠〈さいはての砂漠〉
Last Homely House「最後の憩」館「さらばふるさと」荘(改訂前)
「さいごの憩」館
最後の寛ぎの家〈最後のくつろぎの家〉
Lone-landsさびし野無人境〈わびしい国〉ホビットの土地の東を旅している時に言及される地名
岩波書店版(2nd edition)では登場しない語
エリアドールのことか
Lonely Mountainはなれ山はなれ山寂しい山〈はなれ山〉
Long Lakeたての湖たてのうみ(改訂前)
たてのうみ
細長い湖〈ほそなが湖〉
Long Marshesたての湖(沼地)たてのうみ?〈ほそなが沼〉闇の森から出た森の川の下流域に広がる沼地
岩波書店訳では湖で統一?
lower gate, the下の門
裏門
?〈下の門〉
山腹に出る門
霧ふり山脈の東側に出るゴブリン町の裏口(back-door)
ゴブリン達の名称
mines of Moriaモリアモリアの鉱山モリアの炭鉱モリアの坑道
モリア鉱山
Mirkwood闇の森やみの森闇の森マークウッド〈闇の森〉
Misty Mountains霧ふり山脈霧ふり山
霧ふり山連山
霧ふり山の山脈
霧ふり山脈
霧の山脈〈霧の山脈〉
Mountains of Mirkwood闇の森山脈やみの森山?闇の森の山々
Mount Gramグラム山グラム山グラム山
Old Ford渡り場わたり場(改訂前)
渡り場
?むかしの渡り場古森街道アンドゥインを横切る渡り場
岩波書店版ではOldの部分が訳されていない
Old Forest Road古森街道むかしの道
むかしの森の道
?森の古道
Ravenhillからすが丘からすが丘鴉の丘〈大がらすの丘〉Ravenとは大ガラスのこと
Rivendell裂け谷さけ谷リヴェンデル〈さけ谷〉
River Running
Running River
早瀬川早せ川急流ながれ〈ながれ川〉
Side-door秘密の入口
秘密のわき戸
?山腹の秘密扉
秘密の抜け穴
隠し扉
town-hall官邸?町役場湖の町にある建物
Trolls' lairトロルの岩屋巨鬼トロルの巣窟トロルのほら穴
Underhill山の下山の下丘の下街アンダーヒル〈丘の下〉
Waste, the荒野?〈あれ地〉黄金を持ち逃げした湖の町の統領が餓死した場所
Water, the「流れ」「川」〈川〉
Western Lands西のくに?西の国々地図上の表記
Wide World荒地のくに?〈広い世界〉中つ国のこと
岩波書店版はWilderlandと同じ訳があてられている
Wild, the荒れ地の国荒地のくに?〈あれ野〉原語のwild及び訳語の「荒れ」は「野生の地」くらいの意味
闇の森等が存在するように、不毛なわけではない
Wilderland荒れ地
wild lands on this side of the mountains山のこちらがわのさびしい地方山々のこちら側の荒野山々のこちら側の荒れ野
Withered Heathヒースのかれ野ヒースのかれ野?〈ヒースのかれ野〉
wolf-gladeオオカミ広場オオカミ広場狼の集合場所オオカミの集合場所ワーグが集う空き地
Wood-elves' realm, the闇の森の王国森エルフの王国?〈森エルフ〉の国

その他

スペル該当項目岩波書店版原書房版(旧版)原書房版(新版)備考
a great autumn feast秋の夜祭り秋の大宴会
Battle of the Green Fields緑野の合戦緑ガ原の戦いグリーン・フィールドの戦い〈グリーンフィールドの戦い〉
Battle of Five Armies五軍の合戦五軍のいくさ五軍の戦い
Durin's Dayドゥリンの日デューリンの日デューリンの日ドゥーリンの日
Goblin-warsゴブリン戦争悪鬼ゴブリン戦争ゴブリン戦役せんえき第一紀宝玉戦争のこと
language of the Wargsオオカミ語ワルグ語ワーグ語
Messrs Grubb, Grubb, and Burrowesうじ・うじ・もぐり商会うじ・うじ・もぐり商会グラブ・グラブ・バロウズ商会指輪物語』では、Grubbはほり家または浅掘家、Burrowes*7兎穴とあなと訳される
moon-letters月光文字月光文字ムーン文字ムーン文字*8
There and Back Again, a Hobbit's Holidayゆきて帰りし物語、あるホビットの休暇の記録ゆきてかえりし物語―あるホビットの休日きてかえりし物語―あるホビットの休日ビルボが旅の記録につけようと考えていた題名
後に西境の赤表紙本の原本となる
The Lord of the Rings指輪物語『指輪の王』『指輪物語』解説文の訳の表記
Thorin and Companyトーリンとその仲間トーリンとその仲間?トリンおよび仲間
トリンと仲間
トリン一味
Wainヴァラキアカ北斗七星北斗七星大熊座おおぐまざ
Yule-tideユール年のくれの祭りクリスマスの季節年越としこしのお祝い本来は古代ヨーロッパのゲルマン人が行った冬至祭のこと
ホビット庄暦ではホビットの年末年始の祭のこと


原書房版で問題とされた言い回し
スペル岩波書店版原書房版(旧版)原書房版(新版)備考
Great Elephants!うどの大木じゃな!ナンタルチア!こりゃ、おどろき、ももの木、バナナの木じゃね!
Confusticate and bebother these dwarves!このかきまわしやの、やっかいでかしのドワーフたちめ!ごくつぶしのろくでなしめ!ドワーフなんて、サーラバイバイ! さっさとオサラバ、去っちまえ!ホビット穴へ押しかけたドワーフへの悪態をつくビルボ
-without the burglar, confusticate him!忍びの者がいないんだ。いまいましい!さて押入バーグラーはどこへやら。サーラバイバイ、サーラバイ!さて、押入はどこへやら? あんなやつ、サーラバイバイ、サーラバイ!霧ふり山脈で行方不明になったビルボへの悪態をつくドーリ
Hi! hobbit, confusticate you, where are you?ごたごた野郎、どこへいった?おい、ホビット! もうお前なんかサーラバイバイだぞ! どこにいるんだい?おーい、ホビ公! もうお前なんかサーラバイバイだぞ! どこにいるんだい?闇の森ビルボを探すドワーフ達の呼び声

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • 原書房版は新版しか持ってないので、訳語の違いに関する他サイトの情報を基に作成。原書房旧版の訳語や、岩波版の異訳など、足りない部分が多いです -- 2015-06-14 (日) 01:25:25
  • Wilderlandの備考欄に「闇の森があるように、荒涼とした荒れ地ではない」とありましたが、日本語の「荒れ(地)」は何も生命が絶えた荒涼とした地(不毛)、という意味だけではなく、人の手入れがなく自然のままに放置された、というまさに英語のwild「野生、未開拓」に対応した意味もありますので、誤解を招かぬよう文を変えました -- 2015-06-14 (日) 15:09:03
  • 何このページ、二つを比較した上で山本訳を叩いて楽しもうとでも? -- 2015-07-06 (月) 01:24:00
    • こちらのサイトは事典ですから、固有名詞の訳語の混乱が表の形にまとめられているのはたいへん利便なことだと思います。本を読んでいて、○○の語がいったい何を指したものなのか把握する助けになりますし、この事典の各項目を読んだり書いたりする時にも該当箇所の参照に役立ちます。 -- 2015-07-06 (月) 06:01:37
    • ただ、末尾にある「その他」だけは、ここで一覧化する意義がよくわかりません。どういう基準で列挙されているのでしょうか?文章の訳が違うのは、全編に渡ってそうだと思うのですが。固有名詞の場合と違い、言い回しの差を列挙することが読解の便覧になるとはあまり思われません。 -- 2015-07-06 (月) 06:01:52
      • 山本訳が出た当初、ナンタルチアやサーラバイバイが変な訳としてよく取り上げられたので、一応載せておきました。韋駄天に関しては映画LotRの字幕でStriderが韋駄天と訳されたのが批判され、このサイトにも「韋駄天」のページがあるので、山本訳ホビットにquickest runnerの訳語として登場していることもおまけで触れておこうかな、くらいの気持ちです。 -- 2015-07-06 (月) 22:16:39
      • 映画をみたとき、韋駄天は良い訳だと思ったけど。足が速いだけでなくアラゴルン本人を少し揶揄した感じもある -- 2016-04-26 (火) 23:25:55
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人種差別をあおるもの、公序良俗に反するもの、項目とは関係ないコメント、他コメント者への個人攻撃及び価値観の押しつけや、相手を言い負かすことが目的の非建設的な議論、現実世界の政治および近代・現代史、特定国家、団体、民族などに結びつけ批判、揶揄するようなコメントなどは削除の対象となります。その他コメントについて。
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