- 冷血龍に殺された灰色山脈の統治者ダーイン一世(Dáin I)については、ダーイン一世を参照してください。
ダーイン二世†
概要†
カテゴリー | 人名 |
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スペル | Dáin II |
異訳 | ダイン二世 |
その他の呼び名 | 鉄の足ダーイン(Dáin Ironfeet) 山の下の王(King under the Mountain) |
種族 | ドワーフ(長鬚族) |
性別 | 男 |
生没年 | 第三紀2767~†3019年3月17日(享年252) |
親 | ナーイン(父) |
子 | ソーリン三世(息子) |
解説†
『ホビットの冒険』及び書籍版『指輪物語』の表記はダイン。『指輪物語』電子書籍版の翻訳改定でダーインに変更された。
鉄の足ダーインと呼ばれる。ナーインの息子。ソーリン三世の父。
くろがね連山の統治者であったが、彼の家系は長鬚族王家の分家にあたるため、ソーリン二世の死後は本家にあたる再興された山の下の王国の王となった。
ナンドゥヒリオンの合戦におけるダーイン†
かれの後から赤いまさかりを持ったドワーフが一人跳ぶように階段を駆け上って行った。ナーインの息子、鉄の足のダーインである。ちょうど入口の前でかれはアゾグに追いつき、かれを討ち取って、その首を
刎 ねた。これはたいへんな手柄といえた。なぜならダーインはドワーフの年齢からいえば、まだほんの青二才だったからである。しかしかれの前途には長い生涯と数々の闘いが横たわっていた。*1
ダーイン二世の祖父グロールは、長鬚族の王であったダーイン一世の三男であった。ダーイン一世が冷血竜に殺された後、長男のスロールはエレボールに戻って山の下の王国の王となったが、グロールはくろがね連山に移り住んだ。
スロールがアゾグに殺されたことに端を発するドワーフとオークの戦争に、グロールの息子ナーインはくろがね連山の郎党を引き連れて加勢し、ダーインもそれに同行した。第三紀2799年、決戦となるナンドゥヒリオンの合戦において父ナーインはアゾグに挑戦して殺されたが、ダーインは逃げるアゾグの後を追いかけてこれを討ち取り、父と大伯父の仇を取るという大変な武勲を立てた。
この時、モリアの東門に足をかけたダーインはバルログの脅威を感じ取ったらしく、華々しい手柄を立てた直後にも関わらずその顔は恐怖に襲われた者のように土気色をしていたという。そのため、スロールの息子のスラーイン二世が勢いに乗じてモリアを奪回しようと呼びかけた時にはこれを諌め、次のように忠言した。
「あなたはわれら一族の父です。われわれはあなたのために血を流しました。これからも流しますよ。しかし、われわれはカザド=ドゥームの中にははいりません。あなたもおはいりにならないでください。わたしは門の陰の暗闇をすかし見ただけです。暗闇の向こうで今もまだあれが、ドゥリンの禍が、あなたを待っています。ドゥリンの一族がふたたびモリアを歩くまでには、世の中が変わり、われわれ以外の別の力が出現しなければならないのです。」*2
五軍の合戦におけるダーイン†
ダーインは郎党を引き連れてくろがね連山に戻り、その統治者となった。
第三紀2941年、スラーイン二世の息子で今や長鬚族の王となっていたソーリン・オーケンシールドは、スマウグに奪われたエレボールの山の下の王国とその財宝の奪回を試みる(『ホビットの冒険』)。
スマウグはエスガロスのバルドに討たれたが、これによりエレボールの財宝を巡って諍いが発生する。ソーリンは財宝を我が物とするために大ガラスを使って又従兄弟のダーインに援軍を要請。ダーインはこの呼びかけに応え、郎党を引き連れてエレボールまで遠征した。
エレボールの門前に達したダーインの軍勢は、そこで門を包囲するエスガロスの人間および闇の森の王国のエルフの軍勢に阻まれる。あくまでソーリンと合流しようとするダーインは強行突破を試み、両者一触即発の事態となったが、そこにゴブリンとワーグの連合軍が襲来した。ダーインは人間・エルフとの休戦調停に応じ、かれらは協同してゴブリン・ワーグの連合軍と戦ってこれを打ち破った(五軍の合戦)。
しかしこの戦いでソーリンは戦死。実子がいないソーリンの後継者にして甥であったフィーリとキーリも戦死する。そのため再興された山の下の王国はダーインが継ぐこととなり、彼は長鬚族の王となった。
山の下の王となったダーインは、ソーリンの遺言とビルボの意向を尊重し、エレボールの財宝の14分の1をバルドに分け与える。こうしてダーインの下で山の下の王国は、再建された谷間の国やエスガロス、闇の森の王国との友好関係を確立し、昔日の繁栄をほぼ取り戻した。
指輪戦争におけるダーイン†
しかしフロドは、今はもう老齢の(二百五十歳を過ぎた)ダーインが、徳高く、莫大な富をかかえ、今なお山の下の王として君臨しているという話を興味深く聞きました。*3
ダーインとその民はエレボールで平和を謳歌していたが、やがてその心に影が兆すようになる。
第三紀2989年、若者たちの意を受けたバリンは賛同者を引き連れてモリア再興のために旅立とうとする。ダーインはこれに反対したものの、彼らを引き留めることはできなかった。結果バリン一党は行方不明となる。
3017年、モルドールからの使者がダーインのもとに現れ、サウロンがビルボ・バギンズと彼の持つ小さな指輪を捜しており、捜索に協力するよう暗に脅迫される。ダーインはこれに一切の返答を与えなかったが、大きな懸念を抱いた。
そこで第三紀3018年(大いなる年)、グローインとその息子ギムリを裂け谷に派遣し、ビルボへ警告を伝えるとともにエルロンドの助言を仰いだ(『指輪物語』)。
指輪戦争において山の下の王国と谷間の国はモルドールへの臣従を拒み、そのためサウロンの意を受けた東夷の攻撃を受ける。
3019年の谷間の国の合戦においてドワーフと谷間の国の人間はエレボール山中に籠城して抵抗した。この時、谷間の国の王ブランドは討ち死にし、ダーインは彼の亡骸を守ってエレボールの門前で討ち死にした。
「そして今度はダーインがまたも谷間の国で戦って死んだという知らせじゃ。ちょうどわしらがここで戦っている頃のことじゃのう。これは重大な損失というべきじゃろうが、かれがあの高齢でエレボールの門の前でブランド王の亡骸の傍らに立ちはだかり、暗闇が襲うまで、人々のいうごとく力強くまさかりを揮うことができたとは、むしろ驚異ではないか。」*4
ダーインの死後、山の下の王位は息子のソーリン三世が継いだ。
年表†
- 2767年 生誕。
- 2770年 3歳。スマウグ襲来によりエレボールの山の下の王国が滅亡。
- 2790年 23歳。スロールの死。ドワーフ連合軍の召集始まる。
- 2793年 26歳。ドワーフとオークの戦争始まる。
- 2799年 33歳。ナンドゥヒリオンの合戦。父ナーインの死。アゾグを討ち取る。
- 2941年 174歳。五軍の合戦。ソーリンの死。山の下の王となる。
- 2951年 184歳。サウロン、モルドールで公然と名乗りを上げる。
- 2989年 222歳。バリン、賛同者を引き連れてモリア再興へ旅立つ。
- 3017年 250歳。サウロンの使者、ビルボと指輪の消息を尋ねる。
- 3018年 251歳。裂け谷にグローインとギムリを派遣。
- 3019年 252歳。谷間の国の合戦。エレボールの門前で討ち死にする。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定†
The Lord of the Rings Trading Card Gameに、Weta監修のもとにダーインのカードが実写で作られている。
映画『ホビット』における設定†
字幕及び吹替での名前は『ホビットの冒険』書籍版及び『指輪物語』書籍新版に従いダイン。
ソーリンの「いとこ(cousin)」と呼ばれている*5。原作の年齢はソーリンより21歳年下であるが、映画では同年代に設定されていると思われる。
猪に跨り、赤い戦鎚を振るう。たてがみのような髪に牙を模した鬚など、自身も猪を彷彿とさせる風貌。
くろがね連山のドワーフを率いてエレボールに馳せ参じた際には闇の森の王国のエルフ軍を罵倒し、一歩も譲らない構えを見せていたが、ドル・グルドゥルの大軍が現れると瞬時に共同戦線を張るなど、言動こそ好戦的だが、優れた指揮官としても描かれている。自軍が苦戦を強いられる中で、大型のオーク数体を一度に相手にしても全く怯まない強靱さを見せた。
劇場公開版では、あくまでくろがね連山の王として描かれており、エレボールの王位を継いだ経緯は省略された。エクステンデッド・エディションでは原作通りソーリンの葬儀の後、跡を継いで山の下の王として戴冠している。
また、特典映像には谷間の国の合戦で東夷とオークの大軍を相手に戦う、老いたダインの姿を描いたコンセプトアートが収録されている。
画像†
グッズ†
#amazon(B01MYVCTAN) #amazon(B01N52BDHR)ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定†
指輪戦争時のはなれ山の王として登場するほか、アザルヌビザール(ナンドゥヒリオン)の合戦時の回想シーンで登場。
コメント†
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