ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪 シーズン1


概要

ドラマシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』のシーズン1について。

あらすじ

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エピソード1 過去の影 (Shadow of the Past)*1

かつて太陽が昇るよりも前、ノルドールのエルフたちは至福の地ヴァリノールで平和裏に暮らしていた。しかし冥王モルゴスが世界を照らす二つの木を滅ぼした時、その平穏は破られる。フィナルフィンの娘ガラドリエルやその兄フィンロドらノルドールはモルゴスを追って中つ国へと渡る。何世紀も続いた戦いの末にモルゴスは倒されたが、彼の最も忠実な僕だったサウロンは主君の意志を受け継ぎ、生き残ったオークを配下に置いて抵抗を続けた。フィンロドはサウロンを追跡する最中で命を落とし、ガラドリエルは兄の遺志を引き継ぎでサウロンを追い続け、中つ国のあらゆる場所を探索したが、冥王の行方は分からなかった。
やがて何世紀も経過し、サウロンの事は過去の脅威として次第に忘れ去られていった。しかしガラドリエルら一部の者たちはなおも追跡を続け、フォロドワイスの遺跡でサウロンの痕跡を発見する。ガラドリエルは探索を続行しようとするが、予定の期間を大幅に伸びた過酷な追跡行に倦んだ仲間の反対に遭い、引き返す。

リンドンでは、戻ってきたガラドリエルを友人のエルロンドが出迎える。ガラドリエルは、自分が見たことをエルロンドに話し、さらなる追跡のため王に取り次いでもらうよう頼む。
だが上級王ギル=ガラドは、戦いの終結を宣言し、敵残党討伐に功績を挙げたガラドリエル達に灰色港からヴァリノールへと帰還する権利を与える。それはガラドリエルにとっては更迭も同然だった。エルロンドは十分戦ったガラドリエルは西方で心を癒やすべきであり、中つ国のことは自分が引き継ぐと語る。

南方国の人間の土地ティルハラド(Tirharad)では、かつてモルゴスの下に付いていた人間達の子孫をシルヴァン・エルフアロンディルたちが監視していた。彼らはオスティリス(Ostirith)という砦を根拠地にしていたが、そこにもギル=ガラドからの通達が届き、撤退することになる。
撤退する直前、アロンディルはティルハラドで親しくしている人間の治療師ブロンウィンの元を訪れる。別れを惜しむ二人だったが、そこに村人が病気の家畜を連れて受診に来る。二人はその家畜が草を食べたという東の村ホルデルン(Hordern)へ向かう。ホルデルンはブロンウィンの故郷だったが、そこは何者かの手で焼き払われていた。
同じ頃、ブロンウィンの息子テオは友人と共に村の酒場の主人ワルドレグ(Waldreg)の納屋を捜索し、サウロンの印が刻まれた剣の柄を見つける。

ガラドリエルがヴァリノールへ向かう船に乗った後、リンドンに残ったギル=ガラドは、エルロンドにケレブリンボールの仕事を手伝うよう命じる。一方ガラドリエルは、葛藤の末中つ国を去ることをやめ、ヴァリノールへと向かう船から海に飛び込む。

同じ頃、中つ国では空を流れる星が各地で目撃され、やがてその星はリョヴァニオンで人間の目を避けながら暮らすハーフットの一族が暮らす土地の近くへと墜落した。ハーフットの少女ノーリが見に行くと、そこにはクレーターの中心で昏睡した人の姿があった。

エピソード2 漂流 (Adrift)

ノーリと友人のポピーは隕石が落ちた場所に降りて、男が生きている事を確認する。ノーリは男を見捨てておけず、ポピーの手を借りて助ける事にする。男は目が覚めてもほとんど会話が通じなかったが、ノーリは彼をかくまって食糧などを与える。夜になると、男は蛍の光を操って星座のような紋様を空中に描き、それを見た二人は男がこの星座のありかを探している事を悟る。

ホルデルンの廃墟を捜索していたブロンウィンとアロンディルは、焼け落ちた家屋の下にトンネルを発見する。アロンディルはブロンウィンを戻らせる一方、自らはトンネルを探検するが、何者かに襲われる。
自分の村に戻ったブロンウィンはホルデルンの状態を説明して危険が迫っていると主張するが、皆は取り合おうとしない。しかしブロンウィンの家では息子のテオが、地下のトンネルを通じて現れたオークに襲われ、母子は辛くもオークを殺す。ブロンウィンはオークの首を村人に突きつけて、エルフの砦へ避難するように言う。

エレギオンを訪れたエルロンドは、フェアノールシルマリルを作ったという鎚が残されているのを見る。エルロンドはケレブリンボールより、荒廃した中つ国を美しい地にするものを作る鍛冶場を建設したいという構想を明かされ、カザド=ドゥームドワーフの力を借りることを提案する。カザド=ドゥームを訪れたエルロンドは、知己のドゥリン王子が快く出迎えてくれると期待していたが、ドワーフたちの反応は冷淡だった。岩を砕いて力を競うスィギン・タルァグの儀式を所望し入国を許可されたエルロンドは、ドゥリン王子との勝負に臨むが敗北する。王子は長年エルロンドが便りもよこさなかったことに腹を立てていたが、王子妃ディーサのとりなしでエルロンドの話を聞き、父王ドゥリン三世に進言する。内心ではエルロンドを信用していたドゥリン王子だが、父王ドゥリン三世には別の気がかりがあった。

海を泳ぎ中つ国を目指すガラドリエルは、漂流していた難破船の生存者集団に合流する。しかし彼らを襲ったという海のワーム(worm)に再度襲われてちりぢりになり、生存者はガラドリエルと筏を切り離して難を逃れていたハルブランドだけになる。夜の嵐をどうにか乗り切った二人は、疲れはてて筏の上で微睡んでいたところ気がつくと、大きな船が横付けしていた。

エピソード3 アダル (Adar)

ガラドリエルとハルブランドを救助したのはヌーメノールの海洋警備隊(Sea Guard)だった。二人は船長のエレンディルに導かれてヌーメノール本土へと向かう。ヌーメノールはかつてエルフに味方してモルゴスと戦った人間(エダイン)を祖先とする国だが、次第にエルフ(エルダール)を妬むようになった彼らは種族間の交流を絶ち、何世代も経っていた。そこにガラドリエルを連れ込んだエレンディルは、彼女を監視するよう執政ミーリエルより命じられる。
エルフに対するヌーメノール人の冷たい視線を感じたガラドリエルは早々に中つ国へ戻ろうとするが、エレンディルにより彼の故郷であるヌーメノール西方に案内される。そこでは今でもエルフに親愛の情を抱き続けている者達(節士派)が住み、また、かつてエルロス(エルロンドの兄弟)が建てたという伝承の学舎まなびや(Hall of Lore)があった。学舎でガラドリエルは密偵が中つ国から持ち帰ったという書簡を解読しサウロンの手がかりを発見する。サウロンはモルゴス敗北後に勢力を再建するための土地として南方国に狙いを定めており、フォロドワイスで発見した印は南方国の地形を示す記号だった。また、ハルブランドが身につけていた首飾りが南方国の王家の証である事も知った。
ハルブランドはヌーメノールに住み着くことを考え、鍛冶組合ギルドの証を盗もうとしたところを見つかって喧嘩になり、牢に入れられていた。ガラドリエルは彼を中つ国に連れ帰り、サウロンに抵抗する南方国の人間の王にしようと計画する。

隕石と共に現れたよそびと(The Stranger)はノーリに匿われ続けていた。ノーリは次の移動が始まる前によそびとが示した星座の意味を解読して場所を教えるため、ハーフットの長老サドク・バロウズの書物から星座の記された頁を抜き取る。しかし、よそびとがその日の夜に行われた収穫祝いに入り込んだ事で集落は騒然となり、ノーリとの関係も知られてしまう。仲間を危険にさらしたも同然の行動が問題視され、ノーリの家族は翌日から始まる移動で集団の一番後ろにつくようサドクから言い渡される。ノーリの父ラルゴが直前に事故で足を骨折していた事もあり、ブランディフット家は隊列から引き離されそうになるものの、密かに荷車に入り込んでいたよそびとの助けを借りてなんとか仲間に付いて行く事ができた。

南方国では、アロンディルがオークに捕らえられていた。アロンディルが連れていかれた場所では人間のほか、先にオスティリスから撤退した筈のメーゾル(Médhor)や監視長(Watchwarden)*2ら警備隊の仲間も奴隷にされていた。アロンディルらは抵抗するが見せしめとしてまずメーゾルが殺され、脱出を試みた監視長ら他のエルフも殺される。ただ一人の生き残りとなったアロンディルは、オークが“アダル*3”と呼ぶ人物の前に連れていかれる。

エピソード4 大きな波 (The Great Wave)

ガラドリエルは、ヌーメノールの執政ミーリエルに対し、共通の敵であるサウロン打倒のため挙兵してほしと頼むが断られる。ガラドリエルは諦めず、現在の王であるミーリエルのに訴えると言うと、ミーリエルの怒りを買って牢に入れられる。

オスティリスの砦には、オークから逃げてきたブロンウィンら人間達が避難していたが、食糧が不足していた。ブロンウィンの息子テオは、友人のローワン(Rowan)と共にホルデルンの村へと食糧を取りに戻るが、オークに襲われる。テオが咄嗟に出した、サウロンの印が入った剣の柄にオークは注目し、隠れたテオを必死に捜す。そのテオを助けたのはアロンディルだった。アロンディルは、オスティリスの砦に避難した者達に服従しろとのアダルの伝言を持たされて釈放されていたのである。

エレギオンでは、ドワーフの力を借りての鍛冶場建設が始まっていた。だがケレブリンボールは、ドゥリン王子が自分を避けている、もしくは隠し事があるのではといぶかしんでいた。その話を聞いたエルロンドはカザド=ドゥームに行き、隠されていた坑道を発見するがドゥリンに見つかる。秘密を守るとドゥリンに誓ったエルロンドは、その坑道で見つかったもの、即ちミスリルの鉱石をドゥリンより見せてもらった。ミスリルは非常に価値が高いが、それ故に慎重なドゥリン王の命で秘密にされていたという。一方で、ドゥリン王子やドゥリン王はエルフの裏に何かあるのではと疑っていた。ドゥリン王子はエルロンドの招きに応じ、リンドンへ向かって調べることにする。

ガラドリエルは、中つ国に送り返されるために牢から出されたところを逃げだし、ヌーメノール王の寝室へと向かう。そこにいたのは病に横たわるヌーメノール王と、それを見守るミーリエル王女だった。
パランティールによってヌーメノールが滅亡する未来を見て、滅亡の原因はヌーメノールの人心が反エルフに向かっているからだと考えた父王はこれを改めようとしたが、反乱が起こったため政治をミーリエルに委ねた。そこにガラドリエルがやってきたため、ヌーメノールの民心に再び動揺が発生したので、ミーリエルはガラドリエルをヌーメノールから追放しようとしていたという。だがガラドリエルは、パランティールに見えたものが必ず現実になるとは限らない、今必用なのはかつてのように人間とエルフが協力し、中つ国でサウロンの悪と戦うことだとミーリエルを説得する。最初はそれを拒否したミーリエルだが、ヌーメノールの運命と結びつけられているという白の木の花が散るのを見て不安に駆られ、ガラドリエルの話を聞き入れる。ミーリエルは、「直接ガラドリエルを中つ国へ送り届ける」ために艦隊を派遣することを決定し、南方国でサウロンと戦うための兵を募集。それにエレンディルの息子イシルドゥルなどが次々と志願する。

エピソード5 分岐点 (Partings)

アロンディルの警告をうけてブロンウィンは、オスティリスの砦に避難した人々の前で、敵が迫っていることを伝える。ワルドレグをはじめとする人々は、戦うよりも相手に下ったほうがいいと主張。避難民の約半数はワルドレグに従って砦を出て、アダルの元へと向かった。そのアダルはオークに進軍の準備をさせていた。

リンドンでは、ドゥリン王子が招かれてギル=ガラド、ケレブリンボール、エルロンドらと会食に臨む。ドゥリンとギル=ガラドは表向き友好的に接していたが、内心では互いに腹を探り合っていた。エルフのカザド=ドゥーム来訪には、鍛冶場建設の協力を仰ぐ以外の思惑があるというドワーフの疑いは当たっていた。ギル=ガラドは中つ国に住まうエルフに滅びの兆しを見つけ、これを回避するには失われたシルマリルの光を受け継ぐとされるもの、すなわちカザド=ドゥームがある霧ふり山脈の地下に眠るミスリルが必用だと考えており、ケレブリンボールも肯定する。ミスリルのことを秘密にすると誓いを立てていたエルロンドは悩んだ末、ドゥリンに全てを打ち明けて相談する。ドゥリンはエルフを救えるよう父王に話を伝えると答えた。

ヌーメノールでは中つ国へ向かう艦隊の準備が始まっていた。だがイシルドゥルは遠征兵の選抜から漏れてしまったため、父エレンディルにとりなしてもらおうとするが、海洋警備隊訓練校を自ら退学になったことを理由に拒否される。
一方ハルブランドはヌーメノールの鍛冶工房で働き始めたが、ハルブランドはガラドリエルによって、南方国人の指導者に担ぎ上げられていた。これを断ろうとするハルブランドだが、ガラドリエルに説得される。
ヌーメノール執政ファラゾーンの息子ケメンは、エルフの言いなりになったようなヌーメノール遠征に反対し、軍艦に放火しようとしていた。そこを、密航者のように船に潜り込んでいたイシルドゥルに見つかる。イシルドゥルは放火を止めようとケメンともみ合いになるが、結局火が付いてしまう。イシルドゥルは、負傷したケメンを助けて脱出し、船着き場にいたエレンディルに引き上げられる。その事が認められ、イシルドゥルは遠征隊に入れてもらうことができた。そしてエレンディルが船長を務める船にガラドリエル、ハルブランドも乗り込み、航海が始まる。

エピソード6 奈落 (Udûn)*4

アダルの率いるオークの軍勢はオスティリスの砦を攻めるが、ブロンウィンとアロンディルが仕掛けた罠に嵌まり少なからぬ損害を受ける。ブロンウィン達は残った敵を迎え撃つべく、村に戻って防衛体制を整える。最初こそ上手く持ちこたえているかに見えたブロンウィン達だったが、彼女たちが倒したと思った敵の多くはワルドレグと共に敵に下った人間達だった。そこにオスティリスの罠を逃れたアダル達、新手の敵のさらなる攻撃が加えられて多くの者が斃れ、ブロンウィンも敵の矢によって深手を負う。最期の砦として皆が避難した酒場にも敵がなだれ込み、アロンディルを含めた皆は捕らえられてしまう。テオは皆を救うためアダルの要求に応じ、アロンディルが隠していたサウロンの剣の柄を引き渡す。
後は殺されるのを待つのみかに思われた南方人たちだったが、中つ国に上陸したヌーメノール軍が夜明けと共に駆けつけてオーク達を撃滅した。アダルは剣の柄を持って逃げるが、後を追ったハルブランドとガラドリエルによって捕らえられる。ブロンウィン達は、ハルブランドが身につけていた王家の印を見て、彼を新たな王と仰ぐ。
だがサウロンの剣の柄は、アダルではなくワルドレグが持っていた。アダルの命でオスティリスへと向かったワルドレグが砦内に隠されていた遺跡の“鍵穴”に柄を突き刺と、砦の外のダムから大量の水が流れ出し、水はオークが掘っていたトンネルを通ってオロドルインにも達する。山の基部には巨大なマグマ溜まりが形成されており、そこに流れ込んだ水が触れる事で山頂を吹き飛ばす程の大爆発を起こす。祝杯を上げていたヌーメノール軍と南方人の頭上に火と岩の雨が降り注ぎ、一転して逃げ惑う彼らを噴煙が飲み込んでいった。

エピソード7 目 (The Eye)

オロドルインの噴火に巻き込まれたヌーメノール軍は大きな被害を被り、ミーリエルも失明、ハルブランドは負傷してしまう。イシルドゥルは救出作業の中で行方知れずとなり、エレンディルはエルフを救出した自身の行動に対する後悔に苛まれる。ミーリエルは戻ってくることを約束し、生き残った南方国の人々を守る一部の兵を残してヌーメノール軍を中つ国から撤退させる。ブロンウィンやアロンディルは南方国人を連れてペラルギルに避難することにし、ガラドリエルは治療のためハルブランドを連れて出発する。

ハーフット達は緑森大森林の近くにある集落グローブ(Grove)に到着するが、ここにもオロドルイン噴火の影響が現れ、土地の一部が焼け落ちていた。
サドクは、たびたび不思議な力を見せていたよそびとならどうにかできるのではないかと考え力を頼ろうとする。だが、よそびとが焼けた木に語りかけると、焼けた木の枝が落ちてきて、ノーリの妹(Dilly Brandyfoot)が下敷きになりかける。その騒ぎを見たよそびとはハーフットの元を去って行くが、翌日には焼かれた土地に緑が戻っていた。
だがそこに、よそびとを追跡する怪しげな三人(The Dweller, The Nomad, The Ascetic)が現れ、土地を再び焼いてしまう。ノーリ達は、よそびとに警告するため後を追うことにする。

エルロンドはミスリルを買い取ることをドゥリン三世に提案するが、エルフを信用しておらず、さらに山を深く掘る事も危険視していたドゥリン三世はこれを拒否する。エルロンドを見捨てられないドゥリン王子は、ミスリルが簡単に採掘できることを証明しようとエルロンドと共に坑道に入り、豊富なミスリルの鉱脈を発見する。しかしそこに父王が現れてエルロンドをカザド=ドゥームから追い出す。ドゥリン三世は息子の背信行為を許し悔悛を促すが、自分の信念を重んじるドゥリン王子はこれを拒み、ついに王位の継承権を剥奪されてしまう。
ディーサはいずれ王国を手にする日が来ると夫の傷心を慰める。鉱脈は王によって封鎖されるが、更に深い地の底では悪鬼バルログが蠢いていた。

オロドルインの噴煙が空を覆い尽くし、赤黒い大気に包まれた南方国は草木の死滅した不毛の地と化した。ヌーメノール軍の捕虜の身から脱出したアダルは配下のオークを前にして、南方国の土地を自分たちのものと宣言し、新たに“モルドール”と名付ける。

エピソード8 合金 (Alloyed)

ミーリエルやエレンディルを乗せた船はヌーメノールへの帰路に就く。リハビリを行う女王とエレンディルは、いつか犠牲や労苦が報われるのを信じて進むしかないだろうと語る。
ヌーメノール本国では病に伏せる国王タル=パランティルの死期が迫り、ファラゾーンは王の廟所の建造計画を始動させる。王の彫像の下絵を描くための画家が集められ、その中にはエアリエンの姿もあった。エアリエンが一人王の肖像を描いていると、ふいにパランティルは起き上がり語りかける。意識の混濁した王はエアリエンをミーリエルと思い込み、隠し部屋に置かれたパランティールを覗き見るように促す。
女王の艦隊が帰還した時、彼らを出迎えたのは港中の船が掲げた弔旗だった。娘の到着を待たずして、父王は崩御したのだった。

ハーフットのもとを去ったよそびとが一人緑森の奥深くまで分け入って行くと、その前に白衣の三人組(The Dweller, The Nomad, The Ascetic)が表れる。彼女らはクウェンヤで、よそびとを“サウロン様(Lord Sauron)”と呼び、恭しく跪く。三人はサウロンをリューンの地へと連れて行き、完全なる復活へと導こうとしていた。混乱するよそびとは力を暴発させるが、三人によって昏睡させられる。
それから程なくして、ノーリたちは縛られたよそびとを発見する。マリーが白衣の者の気を引き付けている隙にノーリはよそびとの縄を解こうとするものの、戻ってきたThe Asceticの放った短刀を受けてサドクが倒れる。さらに縛られたよそびとはThe Dwellerが化けた姿だった。ハーフットたちは追跡に気づいていた三人の仕掛けた罠に嵌まったのだった。
ハーフットたちは追い詰められるが、ノーリは隙を突いてThe Dwellerの杖を奪い、目覚めたよそびとに助けを求める。よそびとは自らの力がハーフットたちを傷つけるのを恐れていたが、ノーリの言葉で意を決して立ち上がり、三人の身体に向けて力を放つと、三人は塵となって消え去った。その直前、よそびとの正体はサウロンではなくイスタルだと語る。
こうして難を逃れたハーフットたちだったが、深手を負っていたサドクは朝日が昇るのを見届けると息を引き取る。生き残った皆は一族の皆の元に戻って新たな移住の準備を始めるが、ノーリは家族や仲間のハーフットと別れ、よそびとと共にリューンへ向けての旅を始める。

ガラドリエルと共にエレギオンに到着したハルブランドは、エルフにより怪我の治療を受ける。エルロンドによるミスリルの獲得交渉が失敗した事で、ケレブリンボール達はドゥリン王子より貰ったわずかなミスリルの欠片だけを頼りに中つ国の衰亡を食い止めるための方策を考えなければならないという難局に追い込まれていた。怪我から回復したハルブランドは思いあぐねるケレブリンボールにミスリルを他の金属と混ぜ合わせた合金にする事で力と量を増やせるのではと提案する。それを聞き入れたケレブリンボールは更にそれを王冠のような環状の器具にすることで魔力を無限大に増幅させる方法を考案し上級王に提示した。
山の噴火の影響で森の腐食が速まったのを見たギル=ガラドは既に中つ国からの撤退を決断しており、エレギオンの工匠たちにも作業を中断して町を出るように通達するが、エルロンドの説得により最後の猶予を与えた。合金を細分化して力を安定させようというハルブランドの更なる助言により、作る器具を二つにする事も決まった。
一方ガラドリエルは、アダルがサウロンについて語った際に出ていたの同じ言葉をハルブランドも口にしていたことに疑念を抱く。ハルブランドが製作実験に参加する間、密かに彼の出自だという南方国の王家について記された資料を密かに調べさせた結果、その血筋は1000年も前に断絶していたことが判明する。ガラドリエルに問い質されたハルブランドは、自分こそが彼女の追い続けていたモルゴスの第一の僕その人であった事を明かす。冥王はモルゴスの敗れた後、自身の行いを悔い改め、贖罪として損壊した中つ国を復興させようとしている事を語る。また、それはエルフたちと共通の志だと主張し、共に中つ国を救おうとガラドリエルを勧誘するものの、ガラドリエルはその本質は力ある者による一方的な支配でしかないと拒絶する。欺かれた事に怒り刃を向けるガラドリエルを水中に沈めると、ハルブランドは姿を消す。
エルロンドに川から引き上げられたガラドリエルはケレブリンボールのもとへ急行し、作る器具の数を三つにする事で強大な力に調和を持たせると共に、二つ目を自分の物にしようというサウロンの思惑を阻止する。ケレブリンボールはミスリル合金の材料には同じくらい高品質な貴金属が必要だと語る。ガラドリエルが兄フィンロドの形見として持っていたヴァリノール産の短剣を差す。

エルフの三つの指輪が完成した頃、ガラドリエルのもとを去ったハルブランドは、単身モルドールへと向かい、滅びの山へと続く道を歩き始める。

各話リスト

話数サブタイトルサブタイトル原題監督配信開始日
1過去の影Shadow of the Pastフアン・アントニオ・バヨナ2022年9月2日再生
2漂流Adrift再生
3アダルAdarWayne Che Yip2022年9月9日再生
4大きな波The Great Wave2022年9月16日再生
5分岐点Partings2022年9月23日再生
6奈落UdûnCharlotte Brändström2022年9月30日再生
7The Eye2022年10月7日再生
8合金AlloyedWayne Che Yip2022年10月14日再生

サウンドトラック

予告画像・動画

外部リンク

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • Amazonから掲載を拒否されたレビュー
    ☆☆
    「素晴らしい映像美、世界観と現代的価値観の安直な配合」
    まず、やれ黒人エルフはおかしいなどと揶揄されたアロンディルはじめ、個人としてはさまざまな新要素の殆どは全く違和感ありません。
    というかエルフ勢の中で最も良心的な存在は、今のところ彼です。
    しかし、製作陣は今回「多様性が実現された現代社会」の価値観を作品にそのまま導入するにあたり、それに相応しい背景や新たな世界観の構築を行わない、というよりによって設定厨の究極とも言える指輪物語作品の作り手としてあってはならない事をしています。
    それが不満につながりました。 -- 2022-10-20 (木) 22:38:11
  • 1話のガラ設定から違和感を感じまくりだったが、なんだかんだ7話まで観てみたけど。文章からの想像でしかなかった2つの木やノルドール達、ヌーメノールを映像で観れたのは単純に嬉しかった。黒エルフは気にせず。髭のない黒いドワーフ姫も、いいキャラなんじゃない?と思っていたが、ケレボルンが死んだというセリフを聞いてもう一気に観る気を無くした。ガン爺やサウロンの設定も破綻。
    あの作品は束教授が考えた設定を利用して破壊している。リスペクトは一切感じられない。 -- 2022-10-21 (金) 22:18:50
    • 実際それが目的なんじゃないの?ファンダムの蹂躙と破壊が。何の恨みがあるのかは知らないけど。 -- 2022-10-21 (金) 23:13:10
      • 「マニア(視聴者)はこうなると予想するだろ? そうはさせねーよ!」と驚かせることで面白さに繋がるという浅慮が見られる。ひたすら視聴者の裏をかくことに徹して、結果個別ストーリーの破綻、キャラクターの舞台装置化を招いているとしか。単純にドラマとして浅いんですよ -- 2022-10-29 (土) 00:09:35
    • 失礼ながら死んだとは言ってない気が
      ポリコレ抜きにしても原作に対する解像度と軽視がすぎる点があるとは思いますが… -- 2022-10-21 (金) 23:52:29
  • 1話で出てきたトナカイの角背負った謎の人間は結局なんだったんだろう…あれ事前の予告でも出てきてたからもう少し重要人物なのかと思ってたらあれ以降出てこなくてびっくり。 -- 2022-10-28 (金) 22:13:44
  • ドラマ形式じゃなく、ヒストリーチャンネルとかナショナルジオグラフィックみたいな再現ドキュメンタリー形式だったらなあと感じた -- 2022-10-31 (月) 10:42:50
    • あー、たしかに。それだと売れないだろうけど個人的には凄く嬉しい。
      BBCドキュメンタリーみたいな作りでもありがたい。 -- 2022-10-31 (月) 10:53:53
      • そもそもAmazonが対抗心燃やしていたHBOは、『バンド・オブ・ブラザーズ』とか実話をもとにしてドラマ作ってヒットさせているんですよね……
        変なサプライズなんてなくても成立するんや -- 2022-10-31 (月) 11:30:57
      • 力の指輪からは「PJ版とは全く別物を作る」「とりあえずオリジナル要素や革新性を最優先する」って意欲は凄く感じるよね。
        作品としての好みは人それぞれだが、それがやや多分に空回りしていたのは否めないかなぁ。(製作陣のジョン・D・ペインとパトリック・マッケイもそれは認めた模様) -- 2022-10-31 (月) 12:01:48
  • かつて大いなる悪が打倒されて平和は訪れた、しかしその傷は世界を未だ荒廃させたままであり、平和と爛熟はヌメノールの暴走を招き、かつての悪による支配を彷彿とさせるまでになった。
    そんな中、それを懸念した賢王ギル=ガラドは密かに最も信頼するガラドリエルとエルロンドをヌメノールに派遣し調査と友好関係の成立を求める。
    しかしその力と腐敗は想像以上であり、更なる世界の破壊すらもたらしかねないものだった。
    これを危惧したエルロンドは先に帰国した先で、最高の匠であるケレブリンボールがエルフ独自の力で中つ国を修繕しようとしていることを知り、それに希望を見出す。
    一方ガラドリエルは、ヌメノールの圧政に苦しむ中つ国の民に心を痛め、これこそが次の平和を破る火種になるのではと危惧する。
    だが、彼らの中で囁かれる「救世主」の存在に不安を抱き、独自に調査を始めたところ恐るべき敵、サウロンの生存を確信するに至り、そして彼の望みがエルフの力(指輪作り)を利用し、ヌメノールに拮抗する力を得る事だと知る。
    急ぎ、ギル=ガラドの元に戻りそれを知らせようとするも、サウロンの煽動で南方で大反乱が勃発する。
    ヌメノールの圧倒的軍事力で反乱は瞬く間に鎮圧されるも、ガラドリエルはその混乱の中で船を失い、ヌメノールの暴挙とサウロンの狡猾さを目の当たりにして絶望しつつも、未熟な自分を奮い立たせて戦い抜くことを誓うのだった。

    脚本は前にコメ欄に投稿されたこんなんでホントよかったのに。
    何より、ガラ公がseason1のなかでどこにでも出張る事で、中つ国の世界観スケールがメッチャ小さなものになったのが本当に惜しい。惜しすぎる。
    指輪物語本編でも、
    ①モルドールへ指輪破棄に向かうフロドとサム ②ローハンから駆けつけるメリーとローハン軍 ③ミナス=ティリスに赴き奮闘するガンダルフとピピン ④南方に向かうアラゴルンたち と役目や訪れる地を分ける事で各々の使命の重要さと世界の広大さを見事に表現していた。
    今回、それぞれの地の描写はされるものの、そのほとんどに東西奔走疾風迅雷のごとくガラ公が訪れる事で、世界の広大さや事態の重大さを感じさせづらい、箱庭世界や地域レベルの構想の物語みたいになってしまってる。 -- 2022-11-06 (日) 08:43:49
  • いい作品は観てる時楽しいけど、悪い作品は観終わったあと悪口で盛り上がるのが楽しいみたいなところはある。 -- 2022-11-08 (火) 21:26:17
    • あるある。まあ気の置けない語り手が隣にいてこそだけど、クソ映画見た後の酒場や喫茶店はたまらないよね。 -- 2022-11-08 (火) 21:37:55
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