人間†
概要†
カテゴリー | 種族 |
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スペル | Men |
その他の呼び名 | アタニ(Atani) イルーヴァタールの乙子(Younger Children of Ilúvatar) 死すべき定めの人間(Mortal Men) 次に生まるる者(the Secondborn) 後に来る者(the Aftercomers) 後に続く者(the Followers) ヒルドール(Hildor)*1 アパノーナール(Apanónar)*2 エングワール(Engwar)*3 フィーリマール(Fírimar)*4 客人(the Guests) 侵害者(the Usurpers) よそびと、よそ者(the Strangers) 不可解なる者(the Inscrutable) 自らを呪う者(the Self-cursed) 不器用なる者(the Heavy-handed) 夜を恐れる者(the Night-fearers) 太陽の子(Children of the Sun) 大きい人(Big Folk, Big People) |
解説†
イルーヴァタールの乙子。エルフの次に世に送り出される事になったアルダの住人(実際にはドワーフの方が早かったが、イルーヴァタールの予定ではエルフの次となっていたため、イルーヴァタールの第二子と呼ばれる)。
エルフがアルダを美しく飾り整えることを運命づけられていたのに対し、人間はアイヌルの音楽を越えて世界と自らを作っていくことを運命づけられていた。そのための恩寵として、人間には世界の環に束縛されないという「死すべき運命」が与えられていた。
だが冥王モルゴスはその恩寵を自らの支配する暗闇と混同させることで汚し、人間が死を恐れるように仕向けた。また人間の自由な性質は、一方で自らが進むべき道に惑い、他の力や環境からの影響を受けやすく、外傷や病によって容易に命を落としてしまうことにもつながった。人間が弱く、堕落しやすいと言われるのはこのためである。
人間は最初に太陽が昇った時に目覚め、エルフやドワーフなど他のすべてのもの言う種族が衰退し姿を消した後も、世界を担っていくこととなる。
肉体を失った人間の魂が最終的にどこへ向かうのかは、マンウェとマンドスを除いてヴァラールにもエルフにも知られていない。だが、世界が終わった後にイルーヴァタールの眼前で奏でられるという「第二の音楽」には、人間も加わるであろうと言われている。
「人間の始めることはいつもこうなのだ。春に春霜があったり、夏に虫害があったりすると、かれらは前途の望みを失うのだ。」
「しかしかれらはその種を失うことはめったにない。」と、レゴラスはいいました。「そしてその種は土の中に埋まって腐り、思いもかけぬ時に思いもかけぬ場所でふたたび芽を出すのだ。人間の功業というものはわれわれのいなくなった後まで残るだろうよ、ギムリ。」*5
特徴†
外見†
氏族により大きく異なる。身長も様々で、ドゥーネダインが最も背が高かった。肌や髪の色も様々だが、中つ国北西部の人間は白っぽい肌をしており、髪の毛は金、茶、黒など。東夷やハラドリムは浅黒い肌をしていて髪は黒かった。ドルーエダインやホビットのように、非常に特殊な外見を持ったものもいる。
能力†
能力や寿命も各氏族により様々。第二紀のドゥーネダインは400歳くらいまでの寿命があったが、第三紀には120~150歳くらいにまで減じた。ドゥーネダインではない中つ国北西部の一般の人間は60~80歳くらいまでの寿命があった。寿命は本来は人間の大いなる能力の帰結だったが、モルゴスが為した悪事のために、ほとんどの人間は死をひどく恐れるようになった。
環境や外傷、外圧に対する抵抗力はエルフに大きく劣るが、これは柔軟さの裏返しでもある。エルフに教えを受けたエダインやドゥーネダインは身体的・技術的にも多くの能力を持つ。また、動物と心を通わせる北方の自由の民や、隠密に秀でるホビット、狩りや見張りの力を持つドルーエダインなど、独自に特殊な能力を発達させた氏族も多い。
文明・文化†
エルフから多くを学んだと言われている。目覚めたばかりの人間に最初の教師となったのはアヴァリであり、東方のドワーフからも教えを受けた。
第一紀にベレリアンドに入ってきた人間の一部はエルダールの王侯に仕え、エルダールの文化を取り入れた。第二紀のヌーメノールの人間はその技術力において中つ国の人間を遙かに凌駕し、ヌーメノールが滅亡しても、そこから逃れた流謫のドゥーネダインが、優れた技術を中つ国にもたらした。第三紀以降は、人間は他の種族とはあまり関わらなくなり、独自の生活と文化を築いていった。
モルゴスやサウロンより教えを受け、その影響下にあった民族もいる。
住居†
氏族によって様々であるが、基本的に集団生活を行う。一部の民は、身を隠すために森林に住んだ。
氏族†
多くの氏族がある。第一紀、エルフの友たる三家(ベオルの族、ハドルの族、ハレスの族)はエダインと呼ばれ、後のヌーメノール人、そしてドゥーネダインの祖となった。他の中つ国の人間は、エダインと共通の祖先から分かれた北方の自由の民である北国人(ロヒルリム)やビヨルン一党、原始的ながら独自の文化を持つドルーエダインやロッソス、冥王の支配や影響を受けた黒きヌーメノーレアン、東夷、ハラドリム、
言語†
人間が最初に話した言葉は、アヴァリの言葉からの影響であるという。
第一紀、エダインはシンダリンを学ぶことが多かったが固有の言語も保持しており、それらがヌーメノールの言葉であるアドゥーナイクの元になった。ヌーメノールでは他にクウェンヤも伝承された。
中つ国北西部ではドゥーネダインの影響から西方語が広く使われるようになる。ヌーメノールの亡命者の国(アルノールとゴンドール)においてはシンダリンを解する者も少なからずおり、ゴンドールでは第三紀末になってもシンダリンによる命名が数多く残っていた。
ロヒルリム(ローハン語)や野人など、独自の言語を保持し続ける氏族も多くいた。東夷やハラドリムなどもかれら自身の言語を話した。
偏見†
基本的にオークを毛嫌いしているが、東夷などモルゴス、サウロン、サルマンの影響下にある人間はオークと共に行動することもあった(といっても決してオークを愛していたわけではない)。
エダインとドゥーネダイン以外の人間はエルフをよく知らず、彼らに対して恐れの感情を抱いていることが多かった。ほとんど接触を持ったことのないヴァラールも恐れていた(アラウ(オロメ)など、一部のヴァラは中つ国でも尊崇されることがあった)。
歴史†
第一紀、太陽が昇った時に中つ国東方のヒルドーリエンの地で目覚める。彼らを召し出すヴァラールの使いは来ず、人間ももっぱらヴァラールを恐れていた。中つ国をさまよううちに、人間は暗闇のエルフやドワーフと親交を持った。また、目覚めたばかりの人間はモルゴスにいち早く目を付けられ、その暗闇の下に入ったと言われている。一方で、モルゴスから逃れようとして西方を目指す者達もおり、かれらの一部はベレリアンドに到達してその地のエルフと接触した。
第一紀305年にエルダールのフィンロドとはじめて出会った人間は、そのままシンダールやノルドールの王侯に仕え、その教えを受けた。かれらはエルダールとともにモルゴスを敵として戦い、エダインと呼ばれるようになる。だがエダインを除く東方の人間はモルゴス(後にサウロン)の影響から逃げきれず、ニルナエス・アルノエディアドでは東夷のウルファングの息子たちがエルダールを裏切ってモルゴスを助けた。エダインとエルダールとの結びつきによって生まれた半エルフのエアレンディルは両種族の希望となり、彼の懇願によってヴァラールは怒りの戦いを起こしてモルゴスを完全に打ち倒す。怒りの戦いではほとんどの人間がモルゴスの側に与し、ただエダインのみがエルダール・ヴァラールの側に立って戦った。
第二紀に入ると、エダインには報償としてヌーメノールの島が与えられ、かれらは長寿と繁栄を謳歌し、その技術力は中つ国の人間達を遥かに凌駕するに至った。一方、中つ国ではモルゴスの後を継いだサウロンが力を伸ばしており、多くの人間達はサウロンを神として崇めて再びその影の下に入った。当初、ヌーメノール人は中つ国の人間達の援助者であった。だが暗闇は大海を越えてかれらに追いつき、ヌーメノール人は次第に死すべき運命とヴァラールに反抗するようになり、苛酷な支配者として中つ国の人間達の上に君臨するようになる。堕落と絶頂を極めたヌーメノールは、アル=ファラゾーンの時代にサウロンをも軍事的に屈服させたが、サウロンの姦計にはまりアマンへ侵攻して不死をもぎ取ろうと試み、ヌーメノールの滅亡を招いた。
わずかに残っていた節士派であるエレンディルらドゥーネダインはヌーメノールの没落を逃れて中つ国に流れ着き、アルノールとゴンドールを築いてサウロンと戦った。中つ国の人間の中には、ドゥネダインの同盟者となった者達もいたが、一方で依然としてサウロンの支配下にある者達もいた。第二紀末、ドゥーネダインとエルダールは最後の同盟を結び、サウロンとその軍勢を打ち破った。
第三紀の中つ国は、エルフの力が衰退し、次第に人間の世界へと移り変わっていく時代であった。だがドゥーネダインもまた、恩寵から引き離され、中つ国の人間達との混血が進むうちに、その能力を失って衰微していった。北方には、冥王からもエルフからも等しく距離を置いて暮らしてきた北方の自由の民がおり、かれらはしばしばドゥーネダインの力強い同盟者となって活躍した。しかし東方の東夷や南方のハラドリム、黒きヌーメノーレアンなど、いまだサウロンの影響下にある人間は多く、西方のドゥーネダインや同盟者の北国人らは常に劣勢であった。そしてどの人間達もエルフとは疎遠になり、その領域に怖れを抱くようになっていく。
第三紀は指輪戦争で終わったが、そこで主たる役割を果たしたのも人間達であった。第四紀が到来すると、エルフやドワーフ、オークのような他のもの言う種族はますます衰退していく一方、人間が中つ国に占める位置はますます大きなものになっていった。
Iron Crown Enterprisesによる設定†
『HoME』に収録された草稿と、現実世界に存在する民族の系譜・分布を参考にして、より細分化された氏族系統が構築されている。ICEに記載のある氏族は膨大な数に上るため、ここにはその一部あるいは特に重要な氏族のみを表記する。より細分化された氏族についてはMiddle-earth Role Playing Wikiの当該記事を参照されたい。
分裂の始まり†
初期の頃の人間たちは中つ国の内陸部に住んでおり、概ね一つにまとまった集団を形成していた。彼らはアヴァリから言語や知識を授けられるようになったことで発展したが、やがてモルゴスやその配下のマイアたちもまた彼らに目をつけ、自らの陣営に引き込もうと悪しき知識を吹き込み誘惑するようになった。エルフの友であり続ける者たちとモルゴスらを崇拝する者たちに分かれて争うようになり、最初の分裂が起こった。そして人間たちはアヴァリの同胞が向かったという西方の国々の噂を頼りに西を目指す集団と、東方に留まる、あるいはそれ以外の南や北の地に向かう集団とに分かれて中つ国の各地へと散っていった
リンタドール(Lintador)†
「放浪者Wanderers」の意味。初期の二つの集団のうち、モルゴスの配下となるのを拒もうとして西方へと向かった集団。エダインやエリアドール、リョヴァニオン、リューン、近ハラド等、西方世界の歴史の中核となる人間たちの共通の祖先。
リンタドール諸民族の分類 | |||
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Edain | Haradin | ドゥーネダイン | |
Beorians | |||
Hadorians | |||
Eriedain | 北方の自由の民 | ロヒルリム | |
バルドの一党 | |||
ビヨルン一党 | |||
森人 | |||
Arhunerim | Baradrim(ベレリアンドに侵入した東夷) | ボールの一族 | |
ウルファングの一族 | |||
Nardhrim(リューンの湖周辺の東夷) | |||
Daen( | |||
山岳人 | |||
Drugu |
アヴァラドール(Aravador)†
パリソールでの戦乱の後も東方に留まり続けた集団で、南方や北方にも進出した。大部分の東夷やハラドリムの共通の祖先。
アヴァラドール諸民族 | ||
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Avarim(極東の民) | Avaradan | Womaw |
Linnerim(極北の民) | ウムリ | |
Mornerim(湖水の民) | ||
Narnerim(南の民) | ハラドリム | |
Taratherim(平原の民。第二紀以降の東夷) | 馬車族 | |
バルホス族 | ||
ヴァリアグ |
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