つらぬき丸 †
概要†
カテゴリー | 物・品の名前 |
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スペル | Sting |
異訳 | スティング |
その他の呼び名 | エルフの短刀(Elvish knife) |
解説†
エルフの短剣。短軀のホビットにとっては剣にあたる。オーク(ゴブリン)が近くにいると、刀身が青白く光って所持者に警告するように作られている。
元は皮の鞘に納められた無銘の剣だが、ビルボ・バギンズが闇の森の蜘蛛を退治した際に、彼によって「つらぬき丸」の名がつけられた。
かれは箱の中から、くたびれた皮の鞘にはいった小さな剣を取り出しました。しかしひとたびかれが剣を抜いて見せると、手入れを怠らずとぎすまされた刀身が不意に耿々と冷たい光を放ってきらめきました。「これがつらぬき丸だ。」かれはそういうと、木の梁深くらくらくとそれと突き刺して見せました。*1
グラムドリング、オルクリストと共に発見されたため、第一紀のゴンドリンで鍛えられたものであろうと想像される。
ベレリアンドの剣であるため、かつてナン・ドゥンゴルセブなどに巣くっていた蜘蛛に対する力を与えられていたらしい。そのためシーロブや、シーロブの眷属、かれらの紡ぐ糸に対して有効だった。
単純に剣としても優れた業物であり、非力なホビットの手によっても、岩のように硬いトロルの皮膚や、塚山出土の剣を弾き返したシーロブの糸などを易々と貫通、切断することができた。
『ホビットの冒険』†
バート、ウイリアム、トムのトロルの岩屋に蓄えられていた分捕品の中からビルボ・バギンズが選び出し、以後彼の剣となる。
その後ゴブリン町において、グラムドリング・オルクリストと同様に刀身が青白く光ってゴブリンの接近を知らせる力があることが判明し、そのふた振りと同じくゴンドリンのノルドールの手により作られたものであることがわかった。
ビルボはこの剣を手にしていたおかげでゴクリに警戒され、問答無用で襲撃されるのを免れることができた。
闇の森では大蜘蛛を多数倒し、ここでビルボによって「つらぬき丸」の名が与えられた。
つらぬき丸は、旅を終えたビルボによってそのままホビット庄に持ち帰られ、袋小路屋敷の暖炉の上に飾られてずっと彼の手元に置かれていた。
『指輪物語』†
ビルボは111歳の誕生日を迎え、袋小路屋敷を旅立つ時、ミスリルの胴着などの他の思い出の品とともに、つらぬき丸も持っていった。
その後裂け谷でフロドと再会したビルボは、フロドが指輪所持者として旅立つのに際し、折れてしまった彼の塚山出土の剣の代わりとしてつらぬき丸を渡す。
以後つらぬき丸は、その鋭さと危険を知らせる力によって指輪の仲間の旅の大きな助けとなった。
モリアではオークの接近を知らせるとともに、マザルブルの間の扉をこじ開けて侵入しようとしてきた巨大な何者か(おそらくトロル)の足を貫いて退散させている。この謎の足はボロミルが斬りかかった剣を刃こぼれさせて弾くほど硬いものだったが、フロドの腕力でもその足に深手を負わせられるほどつらぬき丸の一刺しは鋭かった。
大河下りおよびパルス・ガレンにおいても、青く光って敵襲を知らせた。
その後エミュン・ムイルでは、寝込みを襲いにあらわれたゴクリに対して突き付けられ、彼を脅しておとなしくさせるのに使われた。
それ以後はフロドの手によって振るわれることはほとんどなく、トレヒ・ウンゴルの出口を塞ぐシーロブの糸を切断するために使われたのが最後となった。この糸はサムの塚山出土の剣を全く通さない強靱なものだった。
フロドがシーロブに襲われた時、取り落とされたつらぬき丸をサムが拾い、以後旅が終わるまでサムが持ち歩くようになる。
サムはつらぬき丸によってシーロブにかつてない深手を負わせて撃退することができた。
キリス・ウンゴルの塔では、「エルフの剣」を手にしたサムは(おそらく一つの指輪の作用により)オークに甚だしい恐怖を与えた。
滅びの山の山腹においてゴクリに突き付けられたのが、サムがつらぬき丸を振るった最後となった。
つらぬき丸はコルマッレンでの栄誉礼に際してフロドに返却され、再び彼が身に帯びるようになったが、水の辺村の合戦でもついに抜かれることはなかった。
名前について†
作中、グラムドリングとオルクリストは造語(エルフ語)のためにそのまま表記されているが、‘Sting’は英語であるために(先のとがった武器で突き刺すの意がある)、トールキンの意向に沿って和名で表記されている。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定†
ビルボがフロドに渡すときにStingと名前を語る場面があるが、字幕では省略されている。吹き替えではスティングと発音されている。
グラムドリングが光を発さないのに対し、つらぬき丸は原作通り、オークに反応して青く光るようにされている。
原作では無銘と思われるが、映画ではStingをシンダリン訳した‘Maegnas’(マイグナス)*2の名と、蜘蛛退治を意味する言葉の銘が刀身と鍔にフェアノール文字で施されている。後述のように『ホビット』ではこの銘はなく、ビルボが帰郷中裂け谷に立ち寄った時か、裂け谷に隠遁した時、裂け谷の刀鍛冶によって刻まれたものと思われる。
Maegnas aen estar nín - dagnir in yngyl im
(マイグナス アエン エスタール ニーン - ダグニル イン インギル イム)Maegnas is called me, slayer of spiders I
(マイグナスと呼ばれし、我は蜘蛛殺し)
画像†
グッズ†
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『思いがけない冒険』にて、トロルの岩屋の地面に落ちているのをガンダルフが発見した。この時点では『ロード・オブ・ザ・リング』で確認できるフェアノール文字の銘は入っていない。
ビルボは、剣を渡されたとき、使いたくないという発言をするが、ガンダルフは「使わない勇気」の大切さを説いてそのまま渡している。
ゴブリン町ではビルボがこの剣を使ってゴブリンと戦っていたが、ゴブリンが死ぬと警告の光が消えており、生きているオーク(ゴブリン)にのみ反応するという表現が行われている。
『竜に奪われた王国』で、闇の森でビルボが蜘蛛と戦った後、原作通りこの剣に名をつけているが、字幕版ではルビで“
画像†
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