- ローハンの王センゲルの妻であるロッサールナハのモルウェン(Morwen of Lossarnach)についてはモルウェン(センゲルの妻)を参照してください。
- ゴンドールの執政オロドレスの姉妹であるモルウェン(Morwen)についてはモルウェン(オロドレスの姉妹)を参照してください。
- 映画『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』オリジナルの登場人物モルウェン(Morwen)については、モルウェン(エオサインの母)を参照してください。
モルウェン†
概要†
カテゴリー | 人名 |
---|---|
スペル | Morwen |
その他の呼び名 | モルウェン・エレズウェン(Morwen Eledhwen) ドル=ローミンの奥方(Lady of Dor-lómin ) 魔女(Witchwife) |
種族 | 人間(エダイン) |
性別 | 女 |
生没年 | 第一紀(443)~(501)年(享年58) |
親 | バラグンド(父) |
配偶者 | フーリン |
子 | トゥーリン(息子)、ラライス、ニエノール(娘) |
解説†
ベオル家のバラグンドの娘。ハドル家の族長フーリンの妻で、トゥーリン、ラライス、ニエノールの母。リーアンの従姉。
その美貌からシンダリンで「エルフの輝き(Elf-sheen)」の意であるエレズウェンと称され、古の人間の女の中で最も美しかったと言われている。
モルウェンは黒髪で丈高く、そのきらめく眼差しと美しい顔立ちのゆえに、人々はエレズウェン、すなわちエルフの美と呼んだ。ただしかの女にはいくぶん厳格な気質と尊大なところがあった。ベオル家にふりかかった苦難の歴史がかの女の心を暗いものにしていた。*1
ドル=ローミンの奥方†
ダゴール・ブラゴッラハでドルソニオンのベオルの族が追い散らされた時、エメルディルに指揮されてリーアンらと共にドル=ローミンに逃げ延びる。
その地でハドル家のフーリンと結婚し、やがてトゥーリンとラライスを産んだ。だがラライスは三歳の時に悪しき吐息で病死し、夫フーリンはニルナエス・アルノエディアドに出陣したまま行方知れずになった。
ニルナエスの後、ヒスルムにやってきた東夷によってハドルの族の生き残りは迫害され、奴隷にされたが、モルウェンは東夷からエルフと通じる魔女と噂されて恐れられ、直接の手出しはされなかった。しかし彼女らの生活は貧しく、東夷のブロッダの妻になっていたアエリンに援助されながら暮らしていた。
他の子供のように、トゥーリンも東夷の奴隷として奪い去られることを恐れたモルウェンは、庇護を求めて彼をドリアスに送り出す。その後、フーリンとの間に身篭っていたニエノールを出産した。
シンゴルはモルウェンとニエノールもドリアスに移住するよう勧めたが、モルウェンはフーリンと暮らした家を去ることを望まず、代わりにハドル家の家宝である龍の兜を迎えの使者に預けて送り返した。とはいえはじめの内はドル=ローミンとドリアスの間を足しげく使者が行き来し、母娘と息子の近況を互いに伝え合った。
だがそれも北方の情勢が悪化したことで途絶えるようになる。
トゥーリンを探しての放浪†
その後情勢がいくらか好転したことで、モルウェンは成長したニエノールと共にドリアスに逃れることができた。だがその時すでにトゥーリンはドリアスを出奔し行方知れずになっていた。実は北方の情勢が好転したのはモルメギルの名でナルゴスロンドの大将となっていたトゥーリンの活躍によるのだが、そのことは後になるまでドリアスでは知られなかったのである。
モルウェンとニエノールは、そのままシンゴルとメリアンの客となってドリアスに留まっていた。だが、やがてモルゴスの軍の襲撃によって滅亡したナルゴスロンドを逃れた遺民の口から、モルメギルこそトゥーリンであったことが明らかとなる。
するとモルウェンは物狂いのようになって、シンゴルとメリアンの制止を振りきり、トゥーリンを探しに出奔。彼女を連れ戻すためマブルングらの護衛が派遣されたが、その中には兵士に変装したニエノールもいた。モルウェンもニエノールもあくまでトゥーリンを捜すという考えを変えようとせず、説得を諦めたマブルング一行は、トゥーリンの消息を求めてそのままナルゴスロンドへ向かった。
だがナルゴスロンドの廃墟に巣食うグラウルングは一行の接近を察知しており、一行はアモン・エシルでグラウルングの襲撃を受けてちりぢりとなる。
モルウェンも行方不明となり、以後その消息はドリアスにも全く伝わらなかった。だが、物狂いとなった彼女はその後もずっと荒野を放浪していた。
再会と死†
石の蔭に婦人が一人、膝を抱えるように背を
屈 めて坐っていた。フーリンが無言のまま傍 らに立つと、かの女はぼろぼろの頭巾をずらして面 を上げた。白髪の老女であったが、その目は突然、かれの目をまっすぐに見た。そしてかれには、かの女が分かった。なぜなら、その二つの目には狂気じみた光と恐怖の色が湛 えられていたが、遠い昔、かの女に、古 の人間の女の中で最も誇り高く、最も美しいエレズウェンの名を得さしめた眼 の光が、今もそこにきらめいていたからである。*2
フーリンがアングバンドより釈放され、トゥーリンとニエノールの墓石(不運なる者たちの墓石)が築かれたカベド・ナエルアマルスに辿り着いた時、そこにモルウェンがいた。二人は墓石の前で再会したが、モルウェンは子供たちがどのように再会したかは知らず、フーリンもあえてそれを語らなかった。フーリンが看取る中、日没とともにモルウェンは死に、遺体はフーリンによって墓石の西側に葬られ、墓石にモルウェンの名が付け足された。
カベド・ナエルアマルスはベレリアンドの崩壊の後も海上に残され、トル・モルウェンという島になったという。
コメント†
最新の6件を表示しています。 コメントページを参照