エオル

概要

カテゴリー人名
スペルEöl
その他の呼び名暗闇のエルフ(Dark Elf)*1
種族エルフシンダール
性別
生没年?~†第一紀(400)
配偶者アルエゼル
マエグリン(息子)

解説

シンゴルの身内の一人であったシンダール・エルフ。星空と薄明を愛し、太陽の光を避けるようにして生活したため暗闇のエルフと呼ばれた。
元々はレギオンの森に住んでいたが、ドリアスを居心地悪く思い、魔法帯が設置された時にそれを避けてナン・エルモスの森に移り住んだ。そこでドワーフと非常に親しくなり、時折ノグロドベレグオストに滞在して多くの技能を習ったため、フェアノールケレブリンボールと並ぶ高名な鍛冶師となった。ガルヴォルンは彼の生み出した金属であり、遠出する時にはそれで作られた防具に身を固めた。また隕石の鉄から作り出した二振りの剣アングラヒェル(後のグルサング)アングイレルの制作者として知られる。
一方でノルドール族のことは、同族殺害の一件およびベレリアンドに災厄を持ち込んだ元凶であると見なしていたため、忌み嫌っていた。

エオルは、鍛冶かじの仕事のために背がかがんでしまっているとはいえ、ドワーフとは似ても似つかぬ、テレリ族の高貴な一族の血を引く丈高きエルフであった。顔こそ恐ろしげであったが、生来の品は争われず、目は、闇の中であろうと、暗いところであろうと、奥の方まで見通すことができた。*2

エオルはナン・エルモスの森に迷い込んだノルドールの姫君アルエゼルに一目惚れし、彼女の周りに魔法を巡らせて自分の住居におびき寄せ、妻に娶る(この結婚は必ずしもアルエゼルの意に反するというものではなかった)。生まれた息子が12歳になると、彼をマエグリンと名付け、自分の技術を教えると共にノグロドベレグオストに連れて行ってドワーフの技術を学ばせた。
だがエオルはノルドール族を嫌っていたため、二人がフェアノールの息子たちゴンドリンの同族と接触することを厳しく禁じた。

そのためアルエゼルとマエグリンはエオルとの生活に倦み、彼が不在の隙を突いてゴンドリンへ逃亡する。これに気付いたエオルは激怒して二人を追跡し、ゴンドリンの門がある枯れ川に入り込んだところを衛兵に捕えられ、トゥルゴン王のもとに引き出された。
エオルは父としてあくまでマエグリンを連れ帰る権利を主張するが、マエグリンはそれに応じなかった。トゥルゴンはエオルを妹婿として歓迎したものの、ゴンドリンの秘密を守るため、その地から出て行くことを禁ずる。これにエオルは逆上し、隠し持っていた投げ槍をマエグリンめがけて投げつけた。投げ槍は息子を庇ったアルエゼルの肩に当たったが、その穂先に毒が塗ってあったため、アルエゼルは急死する。

このためエオルには何の慈悲も与えられず、カラグドゥールの断崖から投げ落とされて処刑された。
この時エオルはマエグリンに向かって、それではお前は、お前の父と、父の一族を見捨てるのだな、不孝者めが! この地でお前は、お前の望みのすべてを失うであろう。そしてお前も、いつかここでわたしと同じ死を死ぬがよい*3と呪い、彼の死を予言した。

コメント

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  • ノルドール嫌いとは言え、アレゼルと出会った時点では迷子のノルドールの美人を発見して、「ちょっとお話ししたいな~家に招き寄せても遭難者救助の名目は立つだろう」→「話しているうちに意気投合したから求婚しよう」の行動からみると筋金入りと言うほどでは無いように思います。トゥアゴンへの態度は女房が息子を連れて勝手に家出して怒っていた+クルフィンから傲慢な扱いを受けて火に油、と言う結果だったと思います。 -- 2014-12-30 (火) 17:14:55
    • でも息子を殺そうとしたのは、まずかったよね。 おまけに凶器に毒を塗りこめていたし。 自分が食うことができない飯は、灰をかけてやれの心境だったろうが、おかげで晩節を汚す羽目に。 -- 2015-08-29 (土) 19:25:53
      • 本当にそう思います。そのためにアレゼルは自分の息子を守るために自分を犠牲にして、死にました。その後、エオルは死刑判決を下されたのだから。 -- 2021-10-02 (土) 20:52:10
  • ノルドール嫌いなのに、ノルドールの姫君を嫁さんにするってのは、何なの(実は愛情が無かった、所有欲の類だった、とか…) -- 2016-08-18 (木) 16:18:35
    • 所有欲というよりも征服欲って感じ?良い方に解釈をすれば、ノルドールへの憎悪よりもひとめぼれの愛情がまさった。 -- 2016-08-19 (金) 12:03:44
    • エルフって愛情なしでも結婚できるのだろうか?何となく、それが不可欠だと思いこんでいたんだが… -- 2016-09-22 (木) 22:49:15
  • クルフィンがエオルを捕らえ、釈放した件。お互い、優秀で高名な職人同士として、興味とかは無かったのかしら。エオルのノルドールへの偏見にも関わらず、敬意をもってエオルを丁重に遇するクルフィンとか、見てみたい様な。 -- 2016-08-18 (木) 16:21:12
    • クルフィンって何か興味でも敵意でも、見知らぬ人に対する淡い感情はとりあえず脅すか罵るかで表してそう。煽ってみてその反応を見るみたいな。そんなイメージ。 -- 2019-02-21 (木) 20:35:51
  • 上で書かれてるほど悪人には思えない。ノルドールを憎む理由も分からないではないし捩くれて不器用な人だなぁって感じ。息子とのエピソードや留守中でも家族に自由を与えていたのを見るに偏屈で頑固だけど嫁と息子に対する深い愛情はあったんだと思う(だからこそ強い殺意や憎しみに変わったのだろうね) -- 2019-09-10 (火) 12:20:07
    • このコメントが一番すんなり納得できたかな。不器用なだけに、なにかを愛するときは深く激しく愛するタイプだったのだろう。鍛冶にしろ家族にしろ。ただ家族側には家族側の感情や思いや価値観があることを彼が理解できていれば、結末は違ったのかもしれんね。 -- 2019-09-10 (火) 13:30:34
      • 出かけ先、早めに自宅に帰ろうとする所がまたいじらしいというか...激しい愛ゆえの悲劇という意味では彼が忌み嫌っていたノルドール族のフェアノールともある意味似ていますね。 -- 2019-09-14 (土) 23:30:56
  • そういえばダークエルフとは元来こいつを指す言葉でもあったな -- 2020-04-30 (木) 08:27:48
  • ノルドの同族殺人を忌んだ彼が、そのあまりに同様に衝動的に家族を殺害して処刑に至る。因果というよりは皮肉ですなぁ。
    しかも毒を塗っておいた投げ槍って、それ誰に使うつもりだったんだい -- 2023-02-23 (木) 18:53:25
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