遠ハラド†
概要†
カテゴリー | 地名 |
---|---|
スペル | Far Harad |
異訳 | 遠いハラド、極南 |
解説†
ハラドのうち、ゴンドールから遠い南方の土地を指す。
これに対して、より北寄りの土地は近ハラドと呼ばれる。
ペレンノール野の合戦では、モルドール側の軍勢として遠ハラドからやって来た「白い目と赤い舌を持った半分トロルのような黒い人間たち」*1がいた。
『Iron Crown Enterprises』による設定†
地名†
- チャイルーザ(Chailuza)
- エレド・ハルマル(Ered Harmal)
- チュイ(Chy)
- クリャン(Clyan)
- ブルチュイアデス(Bulchyades)
- ロデヌーリ(Lódenûly)
- オリャス・クリス(Olyas Kriis)
- オルマル湾(Bay of Ormal)
- シーライン(Sîrayn)
- シ-レシャ川(Sîresha River)
- チェンナカット(Chennacatt)
- ハルシャンダット(Harshandatt)
- イスラ(Isra)
- キルム・レスラ(Kirm Lesra)
- サラ・バスク(Sara Bask)
- ボジシャ・ミラズ(Bozisha-Miraz)
- 涙の森(Forest of Tears)
- ラジュ(Raj)
- ボジシャ・ダール(Bozisha-Dar)
- ガジュ(Gaj)
- 黄の山脈
- サーニ=ハザード(Thâni-Hazâd)
- キルヤタンドール(Ciryatandor)
- トゥルワング(Tulwang)
- ドレル(Drel)
- エロルナ(Elorna)
- ヒアルン(Hyarn)
- マアグ(Mag)
- ミレドール(Mîrëdor)
- ペル(Pel)
- トゥマグ(Tumag)
- アルドル(Ardor)
- ドゥーシェラ(Dûshera)
- ガーン(Gan)
- ゲシャーン(Geshân)
- ハソール(Hathor)
- コロナンデ(Koronande)
- コルラン(Korlan)
- ムーマカン(Mûmakan)
- アマルー(Amaru)
- トゥクタン(Tuktan)
- ターリラン(Tâlirân)
- タントゥーラク(Tantûrak)
- サルール(Sarul)
- ウーサカン(Ûsakan)
- 山羊の裂け目(Cleft of Goats)
歴史†
二つの木の時代、ヴァラールの招致に応じずに、クイヴィエーネンに留まったアヴァリのエルフの中には、エルダールに遅れて中つ国の南方に向かった者たちが僅かながら存在した。南の果てに辿りついた彼らは温かく、自然豊かなその土地に感銘を受けアルドル(Ardor)と名付けた。対して、アマンに渡ったエルフたちの中には、刑期を終えて釈放されたメルコールの虚言に誘惑され、密かに彼の支持者となった者たちがいた。そうした者たちはメルコールが二つの木を破壊し、シルマリルを奪って中つ国に逃走すると、後を追って中つ国に帰還した。その内の一人であるアルダナ(Ardana)はモルゴスの配下の種族が活動する上で一番の障害となる太陽と月を破壊する使命を帯び、ヴァラールの手の及ばないアルドルで活動し始めた。南方のエルフたちはヴァラールの争いについて僅かな事しか知らなかったため、アルダナの虚言を容易に信じ込み、支持者となる者が多く出た。こうしてモルゴスの支持者によって確立された勢力はアルドル法廷(Court of Ardor)と呼ばれた。対して、ヴァラールもまた、改心した元モルゴスの僕であるフェアトゥール(Featur)を南方へ向かわせ、アルダナの企みを阻止しようとした。フェアトゥールはアルドル法廷に抵抗する土着のエルフたちと接触し、ルインゴン同盟(Luingon alliance)を締結した。ベレリアンドで宝玉戦争が行われたのと時を同じくして、両勢力は南の果ての地で興亡を繰り広げ、怒りの戦いでモルゴスが敗北したことによりルインゴンが勝利を収めた。
年表†
- 第一紀
年 事象 50 南方のエルフの指導者チュリス・メネルラーマ(Chrys Menelrama)、カルニル・ラヴィレ(Carnil Ravire)、タラン(Talan)、ラリアン(Ralian)、エルエリオール(Elerior)が元素の連盟(Guild of Elements)を形成する。 60 モルゴス、アルダナ(Ardana)に太陽と月を破壊する使命を課す。 100 フェアトゥール、ティ=アル=ラナ(Ty-Ar-Rana)のエルフの三氏族に会う。Tyar信仰が南方の人間たちに広まる。 150 アルダナ、ノルドールのモルサウア(Morthaur)と出会い、アルドル法廷を創設する。 150~450 アルドル法廷の要塞と8つの宮殿が建設される。 300 元素連盟、ティ=アル=ラナの三人の主(Three of Ty-Ar-Rana)、星の預言者の会議(Starseer conclave)の間でルインゴン同盟(Luingon alliance)が形成される。 500 フェアトゥール、秘密結社ダリン・テサラス(Darin Tesarath)を創設 507 アルダナの双子、モルエレン(Morelen)とモラン(Moran)の誕生。フェアトゥールの魔法でモルランは眠らされ、ティ=アル=ラナに隠される。 570 フェアトゥールの裏切り。生贄となるモルエレンが失踪し、光を封じる儀式が中断した隙を突いてルインゴン同盟が要塞を襲撃。儀式に用いられる8つの宝玉Gems of Unlightのうちの3つが奪われる。同盟のメンバーのうち、リアーン(Lyaan)とリイサ(Lysa)が命を落とす。 575 怒りの戦い。モルゴスが破滅。元素の連盟は解散。モルゴスの力に由来する器物は全て効力を失い、アルドル法廷は混乱に陥る。アルダナとモルサウアは東方へ逃げ去り、三人の主で唯一生き残ったリーリン(Lyrin)は影へと去る。
- 第二紀
年 事象 1-100 アピュサイク語(Apysaic)を話す民族が移動し、シーレシャ川流域に居住する。 1-10頃 エレド・ハルマルを越える民族移動の波に押され、チャイルーザ(後のチュイ)の住人チャイアルラ(Chaialla)がハラド南西岸のトゥルワング(Tulwang)に移る 20頃 アピュサイク語系の民がチュイを越え遠ハラドに定住する。Chaiallaはさらに南のノルプザ(Norpuza、後のHyarnへ移る 50頃 アピュサイク系の部族連合アデナ(Adena)がアルノヤール(Arnoyar)を越えてヒアルン(Hyarn)に入る。Chaiallaはウーム(Wum)の丘陵地帯に逃れる。 100 コロナンデ、ハソール(Hathor)が相次いで建国される。 353 ウーサカン人(Usakani)が海辺の土地に移住し、同地の名の由来となる。 450 チェンナカット(Chennacatt)とイスラ(Isra)で都市が形成される。定住民族の始まり。 500 チュリス・メネルラーマ、ヴァリノールへと発つ 600頃 13の自治都市がシーレシャ川とその支流に沿って築かれる。 650 アピュサイクの第二家系ドレル(Drel)がヒアルンに押し寄せ、同系統の先住民と争う。 680 アデナ人、ドレル人を破り、海岸の森林に追いやる。 700 ヌーメノール人、トゥルワングに大使館を設置する。 703~707 ドレル人の四つの家系が黄の山脈の山道を越えて、中つ国の南岸に定住。この民は後にペル人(Pel)と呼ばれる。 755 ラウルレ(Laurre)、迷宮ティ=アル=ラナ(Ty-Ar-Rana)の眠りに捕らわれ、行方不明になる。 820 センデリ人(Senderi)とウーサカン人が山羊の裂け目(Cleft of Goats)を越えて西方に侵攻するが、嘆息漏れる合戦(Battle of Sighing springs)の戦いでアデナ軍に敗北し、押し戻される。 1000 サウロン、監視者の目を掻い潜りモルドールへ移る。アルダナとモルサウアが要塞へ戻り、Gems of Unlightを蘇えらせ、中つ国全土を掌握するための計画を練る。 1100~1220 Sederiの一族、Araden(Hyarn)に進出しアデナ諸部族を徐々に淘汰する。 1211 バヴォールの一族(Bavor's Folk)が、黄の山脈中部に地下都市マブラド=ドゥーム(Mablad-dum)を築く。 1251 ヌーメノール人の探検家アルドゥリオン(Ardulion)、アロンヤール川(Aronyar)の上流に植民地ロンド・アナリオン(Lond Anarion、別名Caras Hyarn)を築く。 1251~1300 ロンド・アナリオンからの開拓者がアロンヤールの南のアラデン(Araden)に住み着く。同地はヒアルン(Hyarn)と名付けられるが、先住民アデナ人とセンデリ人との衝突が続く。 1300頃 ロンド・アナリオン、ウーサカン人の抵抗を下し、ウーサカン湾の沿岸を統治下に置く。 1300 タントゥーラク(Tantûrak)の建設。アルドル法廷、帰還した冥王と結託し、エルフの監視者たちの目を欺き活動を再開する。 1350 アルドル人の評議会(Ardan council)、再び開かれる。 1666 ヌーメノールの諸侯アルヴァリエン(Arvarien)が、ドレル湾の小島の要塞でミレドール(Miredor)の建国を宣言する。一週間も経たぬうちに息子のイムラゾール(Imrazor)によって溺死させられ、野望は阻止される。要塞はヌーメノールの統治に利用される。 1750 サウロンの密使がムーマカン(Mumakan)に入り、ムーマキルの国の神官王を影響下に置く。 1800 フェアトゥール、モルラン(Moran)の状態を確認するためにティ=アル=ラナへ入り、眠りに捕らわれていたラウルレを開放する。二人は同盟を復活させる。 1869~2029 タル=キルヤタンの治世。ヌーメノールの軍事力が強化され、中つ国の住民への支配が厳格化。植民地が急速に拡大。コルランへ停泊していた交易船はサルール(Sarul)へと寄港地を移る。軍船が往来し始める。 1888 アコーラヒル、キアヤミルの息子として、ニーシネンの湖畔に生まれる。 1903 キアヤミル、中つ国に領国を築き統治する栄誉を授けられる。 1904 キアヤミルの一族、ヒアルンの東岸に渡る。アロンドゥイン川(Aronduin)を遡り、上流にマラス・カラドゥーン(Marath Caradune)の城砦を築く。キルヤタンドール(Cyayatandor)の建国。キアヤミルは副王として黄の山脈の北側を支配下に置く。 1906~1918 アコーラヒル、欲望を増大させ王座を狙う野心を抱く。 1918 アコーラヒル、ハラドの高僧と契約。自らの両目と引き換えに魔法の義眼を嵌め、魔術師となる。父親の心を絶望で蝕み、自殺に追い込む。 1919 アコーラヒル、キルヤタンドールの王座に就き、嵐の王(Storm King)を名乗る。同時に姉妹のアコーラフィル(Akhoraphil)を妻とする。 1929 アコーラヒルの軍勢が近隣諸国へ侵攻を開始する。BaudSelenを攻撃。年末までに、チェンナカット(Chennacatt)の全域が、キルヤタンドール軍の手に落ちる。 1930 アコーラヒル、側近のウィアタン(Wyatan)をイスラ(Isra)攻略の指揮官に任命する。 1933年 ウィアタン軍によってシライン諸都市のうちラスカンド(Raskand)とトゥール・イスラ(Tul Isra)が陥落。後半に、ティアレット(Tyarett)が降る。 1935 ウィアタン軍、チャメスラ(Chamesra)を攻撃。チャメスラとトゥール・ハラール(Tul Harar)の連合軍は、都市を自ら破壊しての戦いに勝利。 1940 ウィアタン、軍を立て直し、トゥール・ハラールとハルシャンダット(Harshandat)に再度侵攻する。戦争はおよそ60年続く。 1955 ジ・インドゥア、コロナンデの首都コルランに貴族の息子として誕生する。 1975 インドゥア、コロナンデの評議員に選出される。ヌーメノール人の勢力拡大を警戒し、自国民の独立に危機を募らせる。 1976~1977 インドゥア、戦士や富裕商人を中心に支持を集める。タウロンデ(Tauronde)のエルフたちにも支持されるがエルフは戦争を不可避と考え恐れを抱く。 1977 インドゥア、キラニの伝統を破り、議会を掌握する。 1979 キルムレスラ(Kirmlesra)の遊牧民、10年の内部抗争の末、アコーラヒルに降る。 1995 トゥール・ハラールの降伏により、Harshandatを残すのみとなる。 1999 一年の最期の日にHarshandat が陥落。アコーラヒルは各々の行政区と都市に太守を置き、南方世界の統治を開始する。 2000 タントゥーラクに正体不明の魔術師が現れ、政府を即座に掌握する。ムーマカンは神王アマアヴ(Amaav)の帰還を予期して勢いを増し、タントゥーラクとコロナンデ間の緊張が高まる。 2221 タル=アンカリモン、即位する。中つ国の植民地への統制を強める。 2280 ヌーメノールの艦隊がトゥルワングに上陸する。キルヤタンドールの軍隊を打ち破り、王国を崩壊させる。アコーラヒルはモルドールへ逃亡する 2281 シラインとハルシャンダットの民衆が蜂起し、太守を倒す。一連の過程で、イスラとチェンナカットに残存する都市が破壊され、トゥール・ハラールだけが残される。 2700 西方に最初のナズグールが姿を現す。 3000 ムーマカンの拡大がアルダン評議会とキラニ、エルフの抵抗により阻まれる。インドゥアは魔術師に接近し、ムーマカンの支援を受けたタントゥーラクはヌーメノールからの独立を宣言。ターリラーン(Taaliaan)との関係を断絶し、コロナンデとの交流を縮小する。 3001~3042 アル=ズィムラソーン、タントゥーラクの反乱鎮圧を試みるが失敗する。コロナンデとタントゥーラクの和平条約が破棄され、キラン人の共和国は敵に囲まれる。反して、軍事面以外では依然としてヌーメノールとムーマカンのわだかまりが残る。 3213~3215 ミレドールで内紛が勃発する。エル=イムラゾール(Er-Imrazor)の14人の息子が領国の支配権を巡り争う。下の七人の兄弟は3214年にヴァルダキル(Valdacil)の同盟を組織する。敵対する兄弟たちを各個撃破し、オンプ・ミスピル(Onpu Mispir)で勝利し内戦は集結。 3215 ミレドール、七人のヌーメノール人諸侯が治める公国に分割される。 3262 アル=ファラゾーン、サウロンを捕える。黄金軍団がインドゥア治下のムーマカンを撃破する。タントゥーラクの独立が終焉。ムーマカンはヌーメノールの属国となり、インドゥアは東へ逃走する。 3263 ファラゾーン、七公国に朝貢を課し、最低限の自衛力を残してミレドール諸侯の勢力を削ぐ 3348 アルドル法廷、ディアスリンドール(Dirsulindor)の島を滅ぼす。住民のエルフたちは不死の国あるいは隣国のターリラーンに去る。島の生態系は破壊される。
出典†
- 『Court of Ardor in Southern Middle-earth』
- 『Far Harad The Scorched Land』
- 『Forest of Tears』
- 『Greater Harad』
- 『Hazards of the Harad Wood』
- 『Shadow in the South』
- 『Warlords of the Desert』
コメント†
最新の6件を表示しています。 コメントページを参照