ギルラエン

概要

カテゴリー人名
スペルGilraen
異訳ギルライン
その他の呼び名美しきギルラエン(Gilraen the Fair)
種族人間ドゥーネダイン
性別
生没年第三紀2907~3007(享年100)
ディールハエル(父)、イヴォルウェン(母)
配偶者アラソルン二世
アラゴルン二世(息子)

解説

アラソルン二世の妻でアラゴルン二世の母。

ギルラエンがアラソルンに求婚された時、彼女はまだドゥーネダインの婦人が普通結婚する年齢に達していなかった。父ディールハエルは、アラソルンが短命であることを予見して結婚に反対したが、母イヴォルウェンそれならいっそう急がねばなりますまい! … もしこの二人が今結婚すれば、わが民族望みが生まれるかもしれませぬ。しかし二人がぐずぐずしておれば、第三紀の続く間望みの生じることはありますまい。*1と予見した。
それゆえ二人は第三紀2929年に結婚し、2931年に息子のアラゴルンが生まれた。

はたして2933年にアラソルンが戦死すると、ギルラエンは二歳になっていた息子と共に裂け谷に引き取られてそこで暮らすようになった。
成人したアラゴルンがエルロンドの娘アルウェンに恋をしたことを知った時、ギルラエンは身分と種族の違いを語りアラゴルンを諌めたが、内心では二人の出会いにそれ以上の予感を感じていた。
アラゴルンが諸国遍歴の旅で北方を留守にすることが多くなると、母子が会うことも少なくなった。やがてモルドールの影が伸びると、ギルラエンはエルロンドの許を辞してエリアドールの一族の許に戻り、一人暮らすようになった。

最後にアラゴルン二世に会った時、彼女は心労と色濃くなる影のために老け込み、私はドゥネダイン望みを与えた。わたしはわたし自身のためには望みを取っておかなかったというリンノドを口にして、息子に別れを告げた。そして翌年の3007年、春を待たずして世を去った。

トールキンの母との類似性

息子がまだ幼いうちに夫を亡くし、自身も心労ゆえに死期を早めたという設定は、トールキン自身の母親メーベルを彷彿とさせるところがあり、トールキンが自分の母親のイメージを重ね合わせていたのではないかと見る向きもある(ただしメーベルは息子たちがまだ幼いうちに亡くなったのに対し、ギルラエンは心労で老け込んだとはいえ100歳まで生きるなど、相違点も少なからず見られる)。
「早逝する母親」はトールキンの著作中に頻出するため、影響はあるとしてもギルラエンに限ったことではなく、またギルラエンへのその影響も部分的なものに留まるかもしれない。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

原作ではギルラエンがどこに埋葬されたかは不明だが、『旅の仲間 エクステンデッド・エディション』では裂け谷にある彼女の墓をアラゴルンが訪れるシーンが登場する。墓石にはリンノドが刻まれている。
またリンノドは、『王の帰還』でのアラゴルンとエルロンドのシーンで使われている。

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • SEEで出てきた彼女のお墓は泥と埃まみれ、蔦からみ放題。誰も手入れしてなかったのかな・・・? -- 斐水
  • 映画「王の帰還」では、エルロンドがアラゴルンにアンドゥリルを渡して自覚を促すシーンで、彼女の「リンノド」が使われている。 -- A3
  • 考えてみると、放浪の民となってしまったドゥーネダインたちのお墓ってどうなってたんでしょう?迂闊なところに葬ると、塚人になりかねないような気もします。かといって火葬・水葬・鳥葬等も何かしっくりきません。こう考えると、映画のように裂け谷に彼らの墓地があってもそれほどおかしくはありませんね。第一世界では、例えばジプシーの葬制とかってどうなってるんでしょうかね? -- カイト
    • 火葬は主に敵の死体の処分方法で、ドゥーネダインはおろかドワーフにとっても望ましくない異教の風習(byガンダルフ)だったようなので、普通に土葬でしょう。たぶん先祖も葬られているフォルンオスト近辺の丘陵地帯(死者の丘や塚山丘陵)が墓所だったんじゃないでしょうか。 -- 2010-05-14 (金) 00:23:00
  • ドゥネダインの婦人の結婚適齢期って何歳なのでしょう?アラソルン二世が求婚した時56歳で壮年とするなら、女性は30歳以降が適齢期となるのでしょうか?彼に求婚されたとき、彼女は22歳です。人間に例えるなら、中高生ぐらいの少女と結婚するようなものなのでしょうか?74年間も未亡人だなんて、寂し過ぎる...... -- 2015-08-29 (土) 04:52:21
    • ドゥネダインの寿命が常人より長いのは、成長が遅いからではなくて、成人後の老化が遅いからと言った方が良いです。適齢期は普通の人間と同じ10代後半~20代後半だと思います。 -- 2015-08-29 (土) 11:11:51
      • ああ、アラゴルンだって20で成人して裂け谷を後にするんですもんね。肉体的にも精神的にも問題は無いが、老化が遅い分、結婚意識が通常の人間より遅くなっていき「ドゥネダインの婦人が結婚する年齢に達していない」となったのでしょうかね?そもそも、原作にそう言う記述はあるのでしょうか?誰が何歳で結婚しようと関係ないのですが、「ドゥネダインの婦人が普通結婚する年齢に達していなかった」と書かれてあると、じゃあ、何歳なら普通なんだ?という素朴な疑問がわきまして、変な質問をしてしまいました。 -- 2015-08-29 (土) 15:01:27
    • なかなか女性の結婚年齢が資料には見つかりませんが,ゴンドールのフィリエルがアルセダインのアルヴェドゥイに嫁いだとき(第三紀1940年)に,彼女は44歳(1896年生まれ)のようですね。長男のアラナルスが1938年生まれと齟齬があるので,ひょっとしたらもう少し早かったのかもしれませんが。 -- 2017-07-29 (土) 01:23:18
    • 彼女の辞世の詩もそうですが、彼女の生涯は彼女自身にとって決して幸福な物ではなかったのでしょうね…ドゥーネダインであるのに100歳で老け込み亡くなるというのも、普通の人間で例えると40~50歳くらいで老衰死するようなものでしょうし。 -- 2021-08-26 (木) 17:12:37
      • 裂け谷や一族の庇護の元ですらそうなのですから、それがなかったらもっと早くに亡くなっていた可能性もあるのか。
        しかし現世にもはや生きる張りや望みを持たなくなった、という意味ではケレブリアンとも似てますね。
        自分がいるのに、自分では母が生きる為の力や張り合いになれなかった、それどころか自分が間接的に母を死に追いやった…みたいなアラゴルンの意識が似た思いを感じていたアルウェンと通じ合った可能性もたるのかな。 -- 2021-08-27 (金) 07:43:27
  • 原作だけ見ると次代に繋ぐだけの役割の寂しさを感じますが、Born of hopeを見るとアラソルンとの愛、そこから育む息子への意志が垣間見えてなんとも言えません。原作の隙間を埋めつつ傍役をそれで終わらせない素敵な二次創作だと感銘しました。
    Born of hope のアラソルン最期の言葉。ギルラエンには、お前は私の喜び。幼いアラゴルンには、お前は私の希望。泣けました。 -- 2022-09-04 (日) 17:24:20
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