押井守×最上和子対談がWeb掲載(後編)

【対談】押井守×最上和子『身体×義体の行方』後編 | 日本美学研究所

前編掲載から中編掲載までは時間が空いていたのですが、後編はすぐに掲載されました。押井守監督と、その実姉で舞踊家である最上和子氏の対談です。

最上:大野さんとか、舞踏をやっている人はみんな「死」と言うよね。

押井:そう。舞踏をやる人はみんな「死者」って言葉をつかうんだけど、普通の人にとってはヤバい言葉なんですよ。古代人にとっては「死」は身近だったんだろうけど。現代社会はいかに死を隔離するか、それにつきるもんね。こんなに死を隔離しちゃってどうすんだろうね。死体だって見れない。本当はみんな死体を見たいんですよね。

三浦:「アンティゴネー召喚」もいってみれば、死体の話ですね。

最上:死者と踊るということを一回やってみたい。服と一緒に踊るっていうのも、中身は入ってないんだけど、白い服と踊るっていうね。なんであれを思ったのかわからないんだけど、でも、自分がやるってなった時になんでだかすぐに浮かんじゃった。踊り始めたのも50歳を過ぎてからだし、それもあるのかもしれない。だからすぐ死者っていうイメージが出てきちゃって、やっていてなんかすごく充足感があるんですよ。死者を抱いて踊ると。

押井:やっぱり踊りの人の性分というか、間違いなく死のリレーに向かう。死者をどう送るかっていう、日常とはちがう自分になっていくんだろうね。