ウェストエムネト
- エムネトもウェストも古英語だから、ウェストエムネトと訳するべきなのに……。瀬田さんは、意外とこういう間違いが多い。話の根幹が揺らぐほどの誤訳を連発しているホビットよりはまだましだけど --
- 古英語を使用したトールキンの意図から考えると、少なくともwestを西とそのまま日本語にするのは間違いとも言い切れないでしょう --
- トールキン自身がここを訳さないように、といっていますが --
- 邦訳旧版の刊行は1972-75年、「Guide to Names~」の初出版は75年のようですけど、どうなんでしょう?出版が後になっただけで、各国の訳者には配布されていた(瀬田氏のもとまで届いていた)のでしょうか? --
- ローハン語(古英語)はホビットの言葉(英語)と関係がある言語なので、ホビットはローハン語を聞いて意味がわかる箇所があり、そのような時にはその部分だけを自分たちの言葉に訳して表記することがあった、とトールキンは『追補編』で述べています。まさしくWestemnetのwestだけを訳して「西エムネト」と書くようなことを、ホビットは赤表紙でやっていたのです。瀬田氏は当然、この記述を知っていました。
もちろんこのケースに関しては明確にトールキンの指示と異なっているため、誤訳で間違いはないのですが、誤訳といっても「無理解からくる誤訳」ではなく、むしろ瀬田氏が作品世界とトールキンの意図について極めて深く理解しかつ尊重しようとしていたがゆえに犯してしまった誤訳だと評すべきではないかと思います。 --
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