黒 の息 †
概要†
カテゴリー | 言葉・単語 |
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スペル | Black Breath |
異訳 | 黒い吐息 |
その他の呼び名 |
解説†
ナズグールがもたらす病気のような呪魔。ゴンドール人は黒の影とも呼んでいた。
ナズグールと間近で接触した者や、その影の下に長く留まりすぎた者がこれに侵されることがあった。侵された者は意識を失って暗い夢の中に徐々に落ち込んでいき、ついには音も立てず冷たくなって死んでしまうという。
本編中ではファラミル、エーオウィン、メリアドク・ブランディバックらがこれに侵されて危篤に陥ったが、アラゴルン二世のアセラス(王の葉)を使った治療によって救われた。
黒い吐息が吐かれたら、
死神が陰を広げたら、
光がすっかり消えたなら、
アセラス、おいで! 王の葉、ここに!
絶える息の緒、蘇らせよ、
王様の手に渡されて。*1
黒の息は最初、ブリー村で黒の乗手(ナズグール)に接触したメリーを襲ったものとして言及される。躍る小馬亭の外で黒の乗手を目撃したメリーは後を追って様子を窺ったものの恐怖に襲われ、逃げ出そうとしたところを背後から何者か(おそらく別の黒の乗手)に忍び寄られて意識を失う。小馬亭のノブに助け起こされたメリーは「深い水の中に落っこちたのかと思った」と口走ったが、メリー自身は何が起こったのかわからず、ただ力が抜けていやな夢を見たとしか覚えていなかった。これを聞いたアラゴルン二世が黒の息によるものだと述べている。
モルドールにほど近いゴンドールでは黒の息に侵される者が大勢いたが、治療法は知られていなかった。
前線で長らくナズグールの影に接していたファラミルは人知れずこれに侵食されており、大将としての責務や父デネソールとの不仲といった心労、さらにハラドリムの矢を受けた傷が重なったことで昏睡状態に陥った。
ペレンノール野の合戦で魔王を刺したエーオウィンとメリーも、剣を持っていた右腕を通じて黒の息を受けた。エーオウィンは長年のセーオデンの看護や蛇の舌から囁かれた毒の言葉、死者の道への同行をアラゴルン二世に拒まれたこと等により絶望に駆られており、魔王と対峙した精神的打撃が決定打となって意識を失った。メリーはしばらく意識を保っていたが、自分の歩く道が死に通じていると思い込むなど次第に絶望に囚われていき、やがて意識を失った。
三人は療病院に運び込まれ、ヨレスが覚えていた「王の手は癒しの手」との言葉がきっかけとなって招来されたアラゴルン二世の治療を受ける。アラゴルンはまずそれぞれの額に手を当てて、かれらを暗い死の夢から呼び戻し、最後にアセラスを使用して意識を取り戻すことに成功した。
ここから王の再来の噂がミナス・ティリスに広がり、黒の息の影響を受けた多くの者がアラゴルンとエルロンドの息子の治療を受けることができた。
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