- 破城槌のグロンドを引いていた獣については大きな獣を参照してください。
恐 るべき獣 †
概要†
カテゴリー | 動物 |
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スペル | fell beast |
異訳 | 翼を持つ獣、おぞましい獣、怪鳥 |
その他の呼び名 | 翼ある影(winged shadow) |
解説†
ナズグールが乗り物としていた怪鳥。
ブルイネンの浅瀬で馬を失ったナズグールは、この獣に乗って空を舞うようになった。指輪戦争においてその巨大な翼が落とす影はナズグールのもたらす恐怖と合わさり、自由の民の士気を挫く大きな脅威となった。
大きな影が落下する雲のように降りて来ました。そして、見よ! これは翼を持った生きものでした。鳥だとすれば、どんな鳥よりも大きな鳥で、裸でした。翼にも尻尾にも体にも羽根が生えていません。そして途方もなく大きな翼は角質の指の間の皮だけでできた水かきのようでした。それにこれはいやな臭いがしました。多分旧世界の生き物なのでしょう。この世のどこか忘れられた冷たい山々の中にでもほそぼそと生き延びてきたのがいて、もうとっくにその時代は終わったのに、生きていて、ぞっとするような高みの巣で、時期をはずれたこの最後の雛を生んだのでしょうが、これに悪に適した素質があったのです。これを冥王が捕え、おぞましい肉で育てましたので、遂には空飛ぶどんな生きものもしのぐほど大きくなってしまいました。冥王はこれを乗りものとして召使に与えました。下へ下へとこのものは降りてきました。それから指の間に水かきのように皮を張った翼を畳むと、しゃがれた叫び声を発し、雪の鬣のむくろの上に止まって、鈎爪をめり込ませ、長い裸の頸を曲げました。*1
恐るべき獣は、指輪の仲間がサルン・ゲビル付近を通過した時にはじめて目撃される。この獣はレゴラスがロスローリエンの弓矢を使って撃ち落としたが、一行には迫ってきた翼ある影の正体はよくわからなかった。
この時東岸から指輪の仲間を攻撃したオークの部隊は、獣に乗っていたナズグールの指揮下にあったらしく、獣が撃ち落とされてからは東岸からの矢の襲撃は一時的に止んだ。
その後はサウロンの命によりナズグールを背に乗せ、バラド=ドゥールとアイゼンガルドの間を飛び回って情報を集める姿がしばしば目撃される。
フロドとサムワイズは滅びの山を目指す途上、幾度も去来する恐るべき獣を目撃して恐怖に襲われた。
角笛城の合戦の後にはローハンに現れ、同地の人間を恐怖に陥れた。獣ははじめドル・バランを通過し、その後同一のものかは不明だがエドラスにも飛来した。そのためガンダルフはピピンを連れてゴンドールに向かい、セーオデンは軍勢の召集地をやしろ岡に変更することを余儀なくされた。
ペレンノール野の合戦に相前後しては戦場を舞い、背に乗るナズグールのもたらす恐怖とあいまってミナス・ティリスに拠る人々の戦意を大いに喪失させた。
一時は撤退するファラミルを襲ったが、この時はガンダルフによって追い払われている。だがファラミルはナズグールの影の下で長く戦ったために黒の息に侵された。
合戦においては魔王が恐るべき獣に乗ってセーオデンを襲ったが、この獣はエーオウィンによって首を切り落とされて斃された。この獣の死体を焼いた跡はその後いつまでたっても黒い不毛地であったという。
その後は黒門に向かう西軍を上空から見張り、黒門の戦いでは降下してきて西軍に襲いかかる。
一時は西軍の援軍にきた大鷲と空中戦を繰り広げるかに思われたが、サウロンがナズグールを急遽滅びの山に差し向けたため、獣は反転して戦場から飛び去った。その後の滅びの山の噴火と嵐によって、恐るべき獣はナズグール共々死に絶えてしまったと思われる。
名称について†
原作にはこの生き物の名前(固有名詞)は登場せず、great beast、fell beastあるいはただ単にbeastなどと書かれている。瀬田貞二訳では「翼を持った生き物」「巨大な怪鳥」「怪鳥」となっている。ガンダルフは、サルン・ゲビルの上空でレゴラスが撃ち落とした獣について、ナズグールと併せて「翼を持った使者」(Winged Messenger)と言っている。ドル・バランで目撃されたときは「翼ある影」(winged shadow)とアラゴルンに呼ばれている。
Fell Beastという設定上の名はICEによるが、映画『ロード・オブ・ザ・リング』の設定資料や、ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』などでもこの名で書かれているのが見られる。日本語版『ロード・オブ・ザ・リング』での訳は「翼を持つ獣」「おぞましい獣」「怪鳥」などと不定。
本項目名「恐るべき獣」は、『指輪物語ロールプレイング』日本語訳に従った。
アニメ作品†
1978年のラルフ・バクシ版では、一瞬だけだがおそらくは魔王が乗っている場面がある。
1980年のランキン・バス版では、後年の実写映画版よりは原作に寄った姿を見せるが、だいぶ小型である。また、それとは別に翼を持った悪魔のような馬も見られた。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定†
蛇のような頭に、コウモリのような巨大な翼、後足と、ワイバーンのような様相をしている。
日本では、劇場公開のパンフレットに龍とは別の種族であると明記されたが、多くの視聴者が龍と勘違いした。
ペレンノール野の合戦などで、空から急降下したのちゴンドール兵をつかんだまま飛び上がって空から放り投げたり、雪の鬣に直接噛みついて放り投げたりと、よりアクションを重視した映像化が行われている。
コンセプトアートでは、より原作の表記に近いハゲタカや翼竜のような姿も見られた。また、CG制作に関する項目で「体長21mの獣」という記述もあったが、これは恐るべき獣とムーマキルのどちらを指しているのかがわかりづらい。
なお上述の劇場パンフレットには「竜よりも古い」という記述があるが、原作にそうした記述はなく「旧世界の生き物」という表現を誤解したものと思われる。
画像†
グッズ†
#amazon(B00FOSZ9G8) #amazon(B0001GBQ88) #amazon(B0797TG8L6)ゲーム作品での設定†
様々なゲームに登場するが、ここでは一部を紹介する。
ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定†
恐るべき獣のうち、Lieutenat of Dol Guldur(ハムール)の乗る恐るべき獣には、Morskorという名前がつけられている。
ゲーム『ロード・オブ・ザ・リング:中つ国第三紀』における設定†
口から対象を弱らせるブレスを吐く。
ゲーム『シャドウ・オブ・ウォー』における設定†
直接の登場はないが、火竜とのハイブリッドであるドレイクが登場し、ナズグルの乗騎としても利用されていた。
また、フェルビーストの異名である「ヘルホーク」は、本作では別種の生物に充てられたが、その生物もさながら小型のフェルビーストに少し竜の様相を加えたような姿をしている。
その他†
モルドールの特殊飛行部隊紋章は、「下から見上げた時」のフェルビーストを描いたものと推測されている。
コメント†
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