札幌国際短編映画祭での押井守トークセッションレポート

NoMaps 2019セッション「第14回 札幌国際短編映画祭 札幌アニメ革命!!」レポート
押井守監督が語る、アニメ制作におけるテクノロジーの限界

先日行われた札幌国際短編映画祭での、押井守監督が登壇したトークセッションのレポート

 (セッションのタイトルに「アニメ革命」とあるのに対して)「もう革命なんてない。ある種の繰り返しの中で熟成されていくものに期待するしかない。そうなる前に(アニメ業界が)なくなってしまう、そういう危機感があったりもする。アニメはハイリスクハイリターンの世界があっというまに実現されてしまった。Fallout 4クラスのゲームでなければ、世界的にマーケットが拡がらないと同時に、一本しくじったら会社が消滅するという非常にシビアな世界が生まれてしまった」(押井氏)

 押井氏は、アニメ業界の過去と現在を比較し、「かつてはアニメは、机さえあれば仕事ができた。今はどれだけ投資をしたらスタジオが成立するんだっていうね」と述べた。また自身の経歴に言及し、「(私は)ここに並んでいる若い経営者・創業者の方々とは違う経験をしてきている人間だけど、経済行為の枠の中で自分の表現を追求してきた。本映画を作るたびに新しいパートを作り、いらないパートを切り、そういうことも繰り返してきた。それは今後も続くだろうし、デジタル化は決定的な切り札にならなかった。依然として手仕事です」(押井氏)