すでにレーザーは、目標との距離測定のためなど、さまざまな用途で軍事利用されています。ですがSFファン、アニメファンにとって“レーザー兵器”といったらやはり、「レーザー光線で直接的を攻撃する」ものでしょう。実際には、そこまで高出力のレーザーを発射するのは技術的に非常に困難だったため、レーザーは“目標の直接破壊”ではなく副次的な用途で使用されてきました。ですがついに戦場でレーザー光線が飛び交って目標を破壊し合う、そんな時代が目前になったのかもしれません。
ABLは簡単に言うと、レーザー照射装置を載っけた飛行機です。上昇する弾道ミサイルを、空中で警戒しているABLからのレーザーによって、直接撃墜するためのものです。上昇中のミサイルであれば飛翔速度が遅いので補足しやすいですし、ミサイルが敵国上空にあるうちに撃墜すれば、ミサイルの破片などが自国に落ちてくる心配をする必要もありません。そしてレーザーは文字通り光速ですから、「迎撃用ミサイルが目標までに到達するまでの時間」を心配する必要もありません。そのABLの、空中でレーザーを照射してミサイルを補足する試験(まだ破壊まではいかない)が2月11日に行われ、映像が公開されました。
ただABLは、その有効性について疑問も提示されています。「敵が一斉に大量の弾道ミサイルを同時発射したらどうする? 迎撃するには何機のABLを空中待機させておけばいい? そのためにコストがどれくらいかかる?」「レーザーで迎撃される可能性があるとわかっているなら、ミサイルの表面をミラーコーティングするなどすれば、比較的簡単に防御できるんじゃないの?」などという話です。そういった意見にどこまで左右されたのかはわかりませんが、オバマ政権はABL試験2号機の開発をキャンセル。現在テスト中の1号機だけで試験を継続するとして、予算を削減しました。
ですがABLは、間違いなく大きな技術的前進であり、たとえ弾道ミサイル迎撃に使えなくても、軍事の世界に革命をもたらす可能性を秘めています。例えば(正確にはABLのレーザーとは違いますが)「レーザーを地上攻撃に使用すれば、目標だけを正確に攻撃し、付加的損害(爆風などの影響による、周囲の民間人、一般市民の犠牲)を抑えることができる」として、F-35戦闘機などにレーザー照射装置を搭載することも研究されています。
レーザーの発生方法には色々な種類があるため「ABLを小型化さえできれば何にでも転用できる」とはいかないのですが、このABL試験の映像は「レーザー兵器時代の始まり」を感じさせるものでしょう。
おしいぬファン
http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/abl.htm
こちらでも詳しい紹介のある ABL。
レーザーによる弾道ミサイル撃墜システムです。
実用段階での公開映像は珍しい(初)かもしれませんね。
1992年から進められてきたようですが
軍縮の中、予算不足で2008年にようやく配備がされ、
実戦を想定した迎撃実験がようやく行われているというところでしょうか。
まだ軍事衛星と連携しつつ
ピンポイントで数秒間の照射をしないと
目標を無力化することはできないようですが
いずれ映画のような時代が来るのでしょう。
ちなみに相手の眼をつぶすレーザーライフルのほか
殺傷能力を持つものも開発中のようですね。
http://wiredvision.jp/news/200707/2007073123.html
こちらが大元のページです。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/main.htm
おしいぬファン
補足です
教官様の言うように レーザー兵器は
コストの割りに実用性が薄いのではといわれますね。
まず目標までに遮蔽物があるとNG(コンクリートなどの建物)
高出力のレーザーを発電するのにボーイング機の機体の2/3を使う
命中精度がペトリオットミサイルで97%OVERなのにそれ以上のピンポイントが必要なのか?
面の射撃(マシンガンやミサイル)から線の射撃(ライフルや短銃)へと逆行する
戦争の勝利が 公海からのミサイル攻撃による制空権の掌握 衛星からのマップデータを見ながらの地上戦・デジタルウォー = 掃討戦 という流れになっている今、
タイマンで戦闘機がドッグファイトする状況自体がない時代にいつ必要になるのか。人を目標とする狙撃なら今のライフルでも可能。
大出力を要するレーザーはその補給路の確保や常備のコストに問題が残ります。
今の米軍においては、ミサイルで敵陣や基地、車両部隊にいたるまでボコボコにしておいてから
コンピューターとGPSを持ったデジタル・ウォリアーと呼ばれる地上平坦部隊が展開します。
イラクの死者65万5千人に対して米軍の死者3000人なのです(2007年調査字)。
今の戦争はいかに味方の死者に対して相手の損失を大きくするかという原則より、
自国兵の死者を出さずに勝利をするという極端な方向へ向かっています。
無人哨戒機の実戦配備のその好例で
二次対戦でドイツが始めてイギリスにミサイル攻撃を行ったときの驚きがよみがえった気分です。
ペトリオットミサイルにも「眼」がついていて、リモコン操作しているからあれだけの精度なのです。
戦争は無人化という方向へ向かっていて
レーザー兵器はその中で何を担うのかというところが問題になりますね。
一番いいのは軍事衛星からのレーザー攻撃ですね。
市街戦でレーザーが飛びかうということは、創造しにくい話です。