AV WatchにBlu-ray版『イノセンス』レヴュー

買っとけ! Blu-ray 第231回:BDになっても日本アニメは高い! でも、もうDVDには戻れない!?「イノセンス」

Blu-ray版の『イノセンス』のレビュー。見てわかるとおり、非常に評価が高くなっている。

 だが、暗部にはあきれるほど情報が記録されている。荒巻と会話する暗い部屋のシーンでは、照明が当たっていない、闇の中にある背後の壁の木の質感までが描かれており、DVDでは暗い空間に浮かびあがっていただけの主人公達が、「暗い部屋」にいることがはっきりわかる。

 後半のアクションシーンでもBD版はブロックノイズは皆無。どんなに激しく動いていても輪郭線は崩れず、飛び散る破片や薬莢、血糊までもクッキリ。「こんな細かく描き込んでいたのか」と驚かされる場面が連続する。

 DVD版も同時再生して比較してみたが、画面が切り替わった瞬間に笑ってしまうほど違う。DVDも高画質な部類に入るソフトだったが輪郭線がぼやけ、BDではコンビニの棚の商品の注意書きまで読めるほどだったが、DVDではそうした部分がつぶれてしまう。

 解像度の違いがわかりやすいのはオープニングのガイノイド作成ムービー。BD版は3DCGで描かれた人形のまつげの1本1本までクッキリと描写し、肌の階調もなめらか。公開時から「何かが写り込んでいる」と話題だった瞳の描写。DVD版ではそれがなんであるかかろうじてわかる程度だったが、BDではクッキリと判別可能。レンズでできた瞳の黒目の外周に、レンズメーカーの文字が刻まれており、社名や型番まで完全に読み取れる。

Blu-rayのアニメソフトとしては現在『ブレイブストーリー』が発売されているが、それと比べても圧倒的にクオリティが高い模様。
こちらの記事では映像は1,920×1,080ドット(プログレッシブ)で収録とある。
以前私が同人仕様に行なったインタビューによると、『イノセンス』劇場版はDOMINOのスモールキャンバス(解像度 サントラ含んで1440×1024)で制作されたという。Blu-ray化に際しどのような処理が行なわれたかは不明だが、少なくともSD画質のDVDでは解像度も容量もまったく足りなかったわけだ。押井監督は何度も「10年経っても鑑賞に堪えられる映画」ということを強調していたが、それが証明されたと言えるのではないだろうか。