王の帰還/あらすじ†
本項目では、『指輪物語 第三部 王の帰還』のあらすじについて記述している。
- 王の帰還/あらすじ
- 王の帰還 上
- 一 ミナス・ティリス (Minas Tirith)
- ニ 灰色の一行 罷り通る (The Passing of the Grey Company)
- 三 ローハンの召集 (The Muster of Rohan)
- 四 ゴンドールの包囲 (The Siege of Gondor)
- 五 ローハン軍の長征 (The Ride of the Rohirrim)
- 六 ペレンノール野の合戦 (The Battle of the Pelennor Fields)
- 七 デネソールの火葬 (The Pyre of Denethor)
- 八 療病院 (The Houses of Healing)
- 九 最終戦略会議 (The Last Debate)
- 十 黒門開く (The Black Gate Opens)
- 王の帰還 下
- コメント
- 王の帰還 上
王の帰還 上†
一 ミナス・ティリス (Minas Tirith)†
エレド・ニムライス(白の山脈)をゴンドールの烽火が東から西へと伝わる中、ガンダルフとピピンを乗せた飛蔭はローハンから東へ東へひた走り、ゴンドールに到達して、首都のミナス・ティリスに到着した。そしてゴンドールを統治する執政デネソールに謁見する。ピピンはボロミルの最後の戦いのことを、ボロミルの父であるデネソールに話し、自分を助けるため死力を尽くしたボロミルに報いるためにとデネソールに忠誠を誓い、ゴンドールの兵士となった。
ピピンはゴンドールの兵ベレゴンドに出会い、共にさまざまな話をする。
ニ 灰色の一行 罷り通る (The Passing of the Grey Company)†
アイゼンガルドから戻ろうとしていたアラゴルン、レゴラス、ギムリ、メリー、そしてセーオデンとエーオメルの一行は、野伏のハルバラドや、エルロンドの息子であるエルラダン、エルロヒルといった灰色の一行と合流。ハルバラドらはアラゴルンに加勢するため馬を走らせてきたのだった。
やがて一行は角笛城に戻ってくる。メリーはセーオデンに敬愛の念を抱いて彼に忠誠を誓い、彼の小姓となる。一方アラゴルンは、パランティールを覗いてサウロンに挑戦。またパランティールの遠方を見る力によって、ゴンドール南方から脅威が迫っていることを知った。そこでアラゴルンはメリー、セーオデン、エーオメルと別れ、灰色の一行を引き連れて、急ぎエドラスを経由しやしろ岡へとやってきた。
やしろ岡には、避難民を指揮していたエーオメルの妹エーオウィンがいたが、アラゴルンが死者の道を通ってエレド・ニムライスを南へ抜けようとしていることを知ると止めようとし、それができないと知ると自分も連れて行って欲しいと頼む。
だがアラゴルンは断り、灰色の一行を率いて死者の道を通過、エレド・ニムライスの地下を抜けて南側の黒根谷に出る。そしてエレヒにて死者の軍勢を召集、それから一行はひたすら東進する。
三 ローハンの召集 (The Muster of Rohan)†
セーオデン、エーオメル、メリーらローハンの乗手たちは兵の召集のためやしろ岡に到着。そこでエーオウィンより、アラゴルンら灰色の一行が死者の道へ向けて出発していったことを聞く。
セーオデンはゴンドール救援のため兵を進めることにするが、メリーは戦場に連れて行かずエドラスに残るように命じて、彼を失望させる。だがデルンヘルムと名乗る乗手が、密かに彼を自分の馬に乗せて共に連れて行ってくれることになった。
こうして一行は、ゴンドールへと進軍する。
四 ゴンドールの包囲 (The Siege of Gondor)†
ファラミルが、翼ある獣に襲われながらもミナス・ティリスに戻ってきて、ガンダルフにより救出された。
その後ファラミルはデネソール、ガンダルフ、ピピンの前で、フロドたちに出会って別れたの顛末を話す。その翌日ファラミルは、オスギリアス防衛のためまた出撃していった。
だがオスギリアスは制圧され、モルドールの兵はアンドゥインを渡河して次々とペレンノール野になだれ込んできた。ファラミルは負傷してしてミナス・ティリスに担ぎ込まれる。ミナス・ティリス周辺のペレンノール野は敵で埋め尽くされ、モルドール軍による包囲攻撃が始まった。
デネソールは重傷を負ったファラミルの側を離れようとしなかったため、ガンダルフ(ミスランディル)とイムラヒルが防戦の指揮を執る。だがミナス・ティリスの城門も破られ、モルドール侵攻軍の指揮官である魔王がミナス・ティリスに入場しようとし、眼前にガンダルフが立ちはだかった。その時、ローハン軍がやって来たことを知らせる角笛が鳴り響いた。
五 ローハン軍の長征 (The Ride of the Rohirrim)†
ゴンドールへ向かっていたローハン軍は、ゴンドールへ向かう街道に敵軍が待ち伏せしているという報告を受けていた。そこに、ドルアダンの森に住むウォーゼ(野人)が道案内を申し出てきて、今は野人以外の人々には忘れられた石車谷の道を進んでいき、敵に見つからずにランマス・エホールまで到達。この堤防の割れ目からペレンノール野へと突入する。
六 ペレンノール野の合戦 (The Battle of the Pelennor Fields)†
ロヒルリムの到来を知らせる角笛を聞き、魔王はミナス・ティリスの城門から姿を消した。
一方ロヒルリムはペレンノール野の北部を席巻し、セーオデンはハラドリムの王を討ち取る。だがセーオデンの馬は、どこからか飛んできた矢を受けて倒れ、セーオデンも落馬。そして恐るべき獣に乗った魔王が空から襲ってきて、セーオデンを襲おうとする。
その前に立ちはだかったのは、メリーをここまで運んできたデルンヘルムだった。デルンヘルムは、自分がエーオウィンであることを明かし、魔王と戦う。その時、勇気を振り絞ったメリーが塚山出土の剣で魔王を刺した。魔王が怯んだところ、エーオウィンは自分の剣を魔王の頭部に突き立てて魔王を滅ぼすが、自分も倒れた。
だがセーオデンは瀕死であり、エーオメルに王位を譲ると身罷った。エーオメルは、エーオウィンが倒れているところを見ると激高し、配下を連れて敵軍の中に突入し大打撃を与えるが、ムーマキルによって進撃を阻まれ、エーオメルの軍勢は敵の中に孤立してしまう。
その時ハルロンドに海賊の船がやってきて、新手の敵の出現にゴンドールの軍勢は恐慌状態に陥り、逆にモルドールの軍勢は歓声を上げた。だが海賊の船から降り立ったのはアラゴルンら灰色の一行と、ゴンドール南方領国からやって来た援軍だった。
こうして逆に包囲されたモルドールの軍勢は殲滅され、ペレンノール野の合戦でゴンドールとローハンの軍勢は勝利を収めた。
七 デネソールの火葬 (The Pyre of Denethor)†
ミナス・ティリスの城門から魔王が去った後、ガンダルフの元にピピンがやって来て、自分が見たことを話す。デネソールがファラミルを生きたまま焼こうとしているというのだ。それを聞いたガンダルフは飛蔭にピピンも乗せると、一気にミナス・ティリスを駆け上がって、デネソールが向かったラス・ディーネンへと向かう。そこでは、先にピピンに事態を知らされファラミルを救おうとしていたベレゴンドが剣を抜き、デネソールの侍僕と向かい合っているところだった。
ガンダルフと話すデネソールは完全に絶望しており、自分と息子の身を自ら焼こうとしているところだった。ファラミルはベレゴンドが救出するが、デネソールはパランティールのひとつを持ったまま、炎の中に身を投げて死んだ。ファラミルは療病院へと連れ込まれた。
八 療病院 (The Houses of Healing)†
メリーは魔王を刺した後、剣を持っていた腕が動かなくなっていた。彼はセーオデンの亡骸と、魔王を倒した後に倒れて運ばれていったエーオウィンを追って、ふらふらとミナス・ティリスに入っていった。そんなメリーをピピンが見つけ、彼に呼ばれてガンダルフが迎えに来た。そしてメリーは、ファラミルとエーオウィンも治療を受けている療病院へと運ばれていった。
そしてファラミル、エーオウィン、メリーの3人は皆療病院のベッドで寝かされていたが、そこにアラゴルンが訪れ、3人を治療してまわる。さらにアラゴルンはエルロンドの息子らと共に大勢の者を治療し、ミナス・ティリスに「王の再来」の噂が流れる。
九 最終戦略会議 (The Last Debate)†
レゴラスとギムリは、ミナス・ティリスの療病院にいるメリーに会いに行った。そしてお互いが角笛城で別れてから何があったのかを話す。レゴラスとギムリは死者の道を抜け、エレヒで死者の軍勢を召集した後、東方へ向かって疾駆する。そしてペラルギルにて、アラゴルンは死者の軍勢を召し出し、ペラルギルを攻撃していた海賊を攻撃させた。海賊は死者の恐怖の前に潰走。その後アラゴルンにより、死者は解放された。それからアラゴルンは、海賊の船を奪う。
海賊の脅威が取り除かれたことで、ゴンドール南方諸方より続々と援軍が駆けつけ、海賊の船に乗り込んでアンドゥインを北上、ペレンノール野に乗り込んだのだった。
彼らがそういった話をしていた頃、アラゴルン、ガンダルフ、エーオメル、イムラヒルといった西軍の指導者達は、ミナス・ティリスに近いところに立てられたテントで今後の方針を話し合っていた。そこで彼らは、指輪所持者の使命達成が唯一の希望であること、サウロンの目を指輪所持者とその目的から逸らすため、黒門に陽動攻撃を仕掛けることが決せられる。
十 黒門開く (The Black Gate Opens)†
黒門に赴く西軍には、アラゴルンらの他にレゴラス、ギムリ、ピピンも、それぞれの種族の代表として参加することになった。ミナス・ティリスを出発した西軍一行は、奪回されたオスギリアスを通過、十字路までやってくる。そしてフロドが使ったのと同じ道を使いサウロンの注目を集めるのを避けるため、西軍は十字路より北上する。
だが、モルドールおよび上空を飛ぶナズグルの獣がもたらす恐怖の前に、勇気がくじけてこれ以上勧めなくなる者もいるほどだった。アラゴルンはその者達に、カイル・アンドロスの奪回と防衛を命じて去らせた。そのため一行が黒門前にやって来たときには、その総数は6000にも満たなかった。
それからアラゴルンやガンダルフらは軍師として黒門前に赴いて呼ばわると、サウロンの口と名乗るものが黒門より現れた。そしてフロドの鎖かたびらとエルフのマント、サムの短剣などを見せ、これらの品を持っていた間者を返して欲しければサウロンの要求を呑むよう通告する。
だがガンダルフはこの要求を拒否、サウロンの口の従者からフロドの品などを奪い取って引き返す。
こうして交渉は決裂し、黒門などからモルドールの大軍が出撃してきた。アラゴルンは二つの小山に兵を集める。ピピンはその最前列に身を置いていた。戦いが始まり、ピピンは自分が刺したトロルの下敷きになってしまう。その時、鷲がやって来るという叫び声を聞いた。
王の帰還 下†
一 キリス・ウンゴルの塔 (The Tower of Cirith Ungol)†
ペレンノール野の合戦が迫っていた頃。サムは、捕らえられたフロドの救出を決意。ちょうどその頃フロドが運び込まれたキリス・ウンゴルの塔では、フロドのミスリルの胴着を奪い合って、オークの間で同士討ちが行われていた。サムは同士討ちで死んだオークの死体の間を進み、自らもつらぬき丸でオークを倒して、フロドの救出に成功、フロドに指輪を返す。それからふたりはオークの装束に身を包んで変装し、塔を脱出する。
二 影の国 (The Land of Shadow)†
フロドとサムは乾き、飢え、疲れなどに苦しみながらモルドールの地を進んでいく。その中でウドゥーンへ向かうオークの隊列に見つかり隊列の中に組み込まれてしまうが、変装のお陰で正体はばれずにすみ、さらなるオークの隊列が合流したときの混乱で、フロドとサムは逃げ出すことに成功する。
三 滅びの山 (Mount Doom)†
フロドとサムは滅びの山を臨むところまでやってきたが、食料も水ももうなくなろうとしていた。それでもふたりは進み続ける。飢え、乾き、そしてフロドは指輪の重みをこれ以上ないほど感じながら、それでも時に這いながら、時にサムがフロドを背負いながら進んでいった。
その時、ふたりを裏切ったゴクリが襲ってきた。サムが斬りつけてゴクリの相手をする間に、フロドは滅びの罅裂があるサンマス・ナウルへと向かっていく。サムはゴクリを殺したい衝動に駆られたがそれを抑えてゴクリを追い払うと、すぐにフロドのあとを追いかける。だがゴクリも、サムに追い払われた後またふたりのあとを追っていた。
サムは、とうとう滅びの罅裂に到達したフロドのところへとやってきた。だがここでフロドは一つの指輪の誘惑に屈し、指輪を自分のものと宣言して自分の指にはめた。さらに次の瞬間、サムは背後に迫ってきていたゴクリによって足を取られ倒される。
起き上がったサムは、指輪の力で透明になったフロドと、ゴクリがもみ合っているのを見た。そしてゴクリは何かを口元に持っていって、透明になっていた、指輪をつけていたフロドの指を食いちぎる。
こうして指輪を自分のものにしたゴクリは狂喜して飛び跳ねるが、そのせいで足を滑らせ、指輪もろとも滅びの罅裂へと落ちていった。
そして滅びの山は鳴動して火を噴き出し、駆けつけてきたナズグルを炎の中に消し去る。さらにモルドールの塔や城壁は崩れ、崩壊していった。
四 コルマッレンの野 (The Field of Cormallen)†
黒門の戦いが行われていた最中、一つの指輪が破壊されたことでサウロンは滅び、モルドールの軍勢は自分たちを操っていたサウロンの意思が消滅したことで総崩れとなった。その中でガンダルフは、救援にやって来ていた大鷲のグワイヒィルらを呼び出して、大混乱のモルドールの上空を飛ぶ。そしてサンマス・ナウルから抜け出したものの溶岩に行く手を阻まれ、力尽きて倒れてしまったフロドとサムを発見し、拾い上げる。
彼らが気がついたときにはイシリエンのコルマッレンに運ばれ、治療を受けていた。そして王たるアラゴルンの前で、フロドとサムは栄誉礼を受ける。またフロドとサムらは指輪の仲間と再会し、一行が離散してから何が起こったのかの話を聞く。
やがて、モルドールでサウロンの軍勢の残党などと戦っていた者達も戻ってきて、王がミナス・ティリスに凱旋するときがやって来た。
五 執政と王 (The Steward and the King)†
西軍が黒門へ向けて出撃した後も、負傷したエーオウィン、ファラミル、メリーはミナス・ティリスの療病院で治療を受けていた。だがエーオウィンは、もう自分は治ったといって西軍の後を追う許可を求め、ファラミルに嘆願する。その後ファラミルはメリーに会い、エーオウィンがペレンノール野の合戦にやって来るまで、そして合戦での状況を聞いた。エーオウィンはデルンヘルムとして出発したときから相変わらず、戦場と死に場所を求めていた。
やがて黒門の戦いで西軍が勝利し、サウロンが滅びたという知らせがミナス・ティリスに届いてくる。そしてファラミルとメリーは回復した一方、エーオウィンだけ容体が悪化し、生きる気力を失おうとしていた。
そんな状態のエーオウィンにファラミルは改めて会う。そして世界には戦い以外の美しいものがあること、エーオウィンは美しいということ、そんなエーオウィンを愛するということをファラミルは語り、エーオウィンの心も癒やされる。
やがてアラゴルンらがガンダルフ、フロドらと共にミナス・ティリスに凱旋してきて戴冠式が行われる。エレンディルの血を引く正統な王位継承者であるアラゴルンがエレッサール王として、ゴンドールとアルノールを統べる再統一された王国の王として戴冠した。
さらにその後、裂け谷からエルロンドらの一行、ロスローリエンからはケレボルンとガラドリエルらの一行がやって来た。そしてエルロンドは、己が娘のアルウェンの手を取って婚約者であったアラゴルンの手に渡し、ふたりの結婚式が執り行われた。
六 数々の別れ (Many Partings)†
祝賀の日々が終わり、ミナス・ティリスに留まっていたフロドたち指輪の仲間は帰郷を考え始める。
やがて、ローハンに帰国していたエーオメル、エーオウィンらが、ラス・ディーネンに一時的に安置されていたセーオデンの遺体を引き取るためにやって来る。エーオメルらを歓迎する宴が行われた後、エーオメルらと共に、フロドたちホビットと、ガンダルフ、レゴラス、ギムリ、エルロンドら裂け谷の一行とケレボルン、ガラドリエルらロスローリエンの一行、ファラミル、エレッサール王(アラゴルン)とアルウェン王妃は出発、ローハンのエドラスへと向かう。
エドラスでセーオデンの葬儀が行われ、黄金館で追悼会が開かれた後、エーオメルはファラミルとエーオウィンの婚約を発表する。
それからフロドやガンダルフ、エレッサール王ら一行は、アイゼンガルドへ向かう。アイゼンガルドは木の鬚らエントによって緑の土地へと変貌を遂げていた。一方で木の鬚は、無害だとしてサルマンを既に解放していた。サルマンは蛇の舌グリーマを連れて、どこかへと去って行ったという。
ここでレゴラスはギムリを連れて、ファンゴルンの森の中を探検に行くことを宣言。エレッサール王も帰国することにし、指輪の仲間はついに解散することになった。
ホビット達とガンダルフ、裂け谷の一行、ロスローリエンの一行は旅を続け、その途中でサルマンと蛇の舌に出くわす。だがサルマンはガンダルフらの援助を断り、蛇の舌を連れて再び去って行った。
一行は
裂け谷では、ビルボが待っていた。一つの指輪が破壊されて彼に長寿をもたらしていた力も失われたため、ビルボはすっかり老け込んでいたが、穏やかだった。
フロド達4人のホビットは裂け谷でしばらくビルボと共に過ごしていたが、やがてビルボやエルロンドに別れを告げ、ホビット庄へ向けて出発する。ガンダルフも同行することになった。
七 家路 (Homeward Bound)†
フロドら4人のホビットとガンダルフはブリー村に到着、躍る小馬亭に宿を取る。宿主のバーリマン・バタバーによると、最近は付近に余所者がやってきて、治安が悪くなっているという。
だがフロド達は特に何事にも遭わず、ブリー村を後にする。やがて、トム・ボンバディルに会いに行くというガンダルフと別れ、フロド、サム、ピピン、メリーの4人だけになったホビット達は、ホビット庄へ帰郷するための最後の旅を始める。
八 ホビット庄の掃蕩 (The Scouring of the Shire)†
フロドら一行がホビット庄に戻ってくると、ホビット庄の様相は、彼らが出発したときとは大きく変わっていた。今ホビット庄は“お頭”と呼ばれる人物がごろつきを招き入れて住人のホビット達を威圧し、食糧なども独占するといった圧政を敷いて、荒れ果てた状況となっていた。
状況がわかってきた一行は、ホビット庄のホビット達を蜂起させてごろつきどもを排除することにする。メリーがローハンで受け取ったマークの角笛を吹き鳴らすと、次々とホビット達が集まってきて、“お頭”に嫌々ながらも従っていた庄察の面々のほとんども、反乱に加わった。
やがて水の辺村の合戦が行われ、ごろつき達は殺されるか、降伏してホビット庄から追放されることになった。
それからフロド達が袋小路屋敷へ向かうと、誕生祝いの木は切り倒され、袋小路屋敷も汚されてすっかり荒れ果てた状態になっていた。そしてそこにいたのは、ごろつきの親玉“シャーキー”ことサルマンだった。サルマンはフロド達の先回りをしてホビット庄にやって来て、ごろつきを使いホビット庄を荒らすという、彼の些細な復讐をしていたのだった。
多くのホビット達が、サルマンを捕らえて処刑するよう要求するが、フロドはそれを認めず、サルマンの堕落を嘆きながら、サルマンを追放すると宣言する。サルマンは隠し持っていたナイフでフロドを刺そうとしたが、ミスリルの胴着に守られて怪我を負わなかったフロドは、なおもサルマンを殺すことを望まなかった。
サルマンは、フロドの慈悲によって生きながらえるという屈辱を味わいつつ、ずっと自分に従っていた蛇の舌についてくるよう命じる。だが蛇の舌はナイフを持ちだしてサルマンを殺し、その直後我に返ったフロドが止める間もなく、蛇の舌自身も若いホビットの矢で射殺された。
九 灰色港 (The Grey Havens)†
“シャーキー”とごろつきの手によって荒らされたホビット庄の復興が始まった。特にホビット庄の荒廃を嘆いていたサムだったが、彼がロスローリエンでガラドリエルより受け取っていた小箱に入っていた、ガラドリエルの庭の土の力により、切り倒された木々の代わりに植えられた各所の若木はぐんぐんと成長して緑を取り戻していく。さらに小箱に入っていた木の実は誕生祝いの原に埋められたところ、見事なマッロルン樹として成長した。
こうしてわずかな時のうちにホビット庄の自然は蘇り、さらに豊作にわく。またサムはローズ・コトンと結婚して、袋小路屋敷でフロドと共に生活するようになる。サムとローズの間には娘エラノールが生まれた。
一方フロドは、裂け谷でビルボから受け取った本の続きおよび、自分たちの旅についての執筆を続ける静かな生活をしていたが、ナズグルに刺された傷、シーロブに受けた傷、一つの指輪を失った喪失感とその時の傷に苦しめられていた。
そしてフロド達がホビット庄に帰郷した第三紀3019年から2年後となる、第三紀最後の年である3021年、フロドはほとんど書き上げた本、袋小路屋敷、その他の財産をサムに相続させる。そして自分は、三つの指輪の守護者である、ナルヤの所持者ガンダルフ、ヴィルヤの所持者エルロンド、ネンヤの所持者ガラドリエル、そして一つの指輪の所持者であったビルボと共に、灰色港から出発した船に乗って、サム、ピピン、メリーに見送られつつ中つ国を去って行った。
コメント†
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