押井守氏が手がけた世界初のOVA『ダロス』BDパッケージ発売

“世界初のOVA”として有名な、押井守氏とその師匠である鳥海永行氏が手がけたOVA『ダロス』がBlu-rayで発売されることになりました。

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もともとこのアニメは1年間のTVシリーズとして鳥海氏が企画したものですが、「作中に、おもちゃ(グッズ)として売れそうなアイテムが登場しない」ということでTVシリーズ化は見送られました。ただ物語は面白そうなので「では、ビデオで売ってみようか」ということになり、全4話に再構成され、OVAとして発売されることになったものです。

1年のTVシリーズの予定だったものを全4話にしてしまったため、「壮大な物語の序章」という印象は否めませんが、それでもなかなか魅力的な話になっております。演出的な点では、鳥海氏と押井氏が担当しましたが、“監督がふたりいて、どちらの指示に従ったらいいのか判らない”ということにより時折現場は混乱、鳥海氏も押井氏も、相手が不在の間に、相手の指示をこっそり書き換えてしまうということもあったそうです。そんな感じで、鳥海氏が担当したパートと押井氏が担当したパートは、かなり毛色が違ったものになっており、その差を比較してみると面白いでしょう。鳥海氏は王道のアニメ演出を狙っているのに対し、押井氏は「テロリストの話」として、かなりリアル寄りの演出を行っております(押井氏は『アルジェの戦い』などを意識したといっていたはず)。考えてみれば、押井氏が本格的にアニメでテロリストを扱ったのはこの作品が初になるのかもしれません(押井氏は、自分はテロリズムばかり映画で描いてきたと言っております)。

BD化に際し、押井守監督監修による新規HDマスターを使用とのこと。映像特典は、以前発売されたDVD版をHDアップコンバートしたものなどが収録されます。正直、映像美がどうこうというアニメではないので、DVDを持っている人が敢えてBDに買い換える価値があるのかというのは微妙なところですが、DVD版を持っていないという人は買う価値はあると思います。映像特典では、今は亡き鳥海永行氏も含めたスタッフ陣による、作品に関して矢初期のスタジオぴえろ(現ぴえろ)の事情などの貴重なインタビューが収録されております。