10日からの東京国立近代美術館での自選映画上映についての押井守インタビュー

既報の通り、今月10日から22日まで“自選シリーズ 現代日本の映画監督5 押井守”が開催されるが、そのことについてのインタビューがあちこちに掲載されている。

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「今回は回顧上映みたいな形だけど、僕はまだ生きているし、まだまだ監督を辞める気はないんだけどね」と笑った押井監督は、「よくこれだけの映画を作ってこれたなと思いますよ。振り返ってみると、よくこれを作ることを許してくれたな。普通だったら無理だったろうなという思いはありますよね。無理やり、意見を押し通して作った作品もあったし。それを30本近くも積み重ねることができたというのは、自分としてもラッキーだったと思う。まわりに面白がってくれる人がいたからここまでやってこれたんだと思う。あらためてそれを思いましたね」としみじみ。「でもあらためて作品を振り返ってみると、SFやファンタジー、ポリティカルフィクションといった、非現実や非日常的な物語ばかりやっているなと思った。意識してそうなったわけではないけど、結局、自分が作りたい映画ってのはそういうものなのかもしれない」と付け加えた。

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アニメは当然1本1本表現の仕方が違うってことがあるにせよ、僕自身が絵描きではないので毎回スタイルを変えていくっていうのがモチベーションとしても必要でしたが、実写にしても戦争の映画もあれば、ゲームの映画もあれば、立ち食いソバの映画もある(笑)。

ただ、アニメにしても実写にしても、一貫しているのは現実の話って1回もやってないんですよ。常に非現実とか非日常。そういうものしかやってきてない。まあ、しいて言えば『立喰師列伝』(06)は日本の戦後史のつもりでやりましたが、人物自体は虚構だし、史実だけはなぞっているけどいろいろ嘘もついているし、実はまともな歴史ではない。もっとも、ヨーロッパのほうではあれが日本の戦後史だと勘違いされちゃったみたいだけど(笑)。

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 「ほっとけば見る機会がなくなりそうなものから順番に選んだ。こうして並べてみて明らかなのは、現実を描いたものが一つもないということ。異世界や非日常ばかり」と話す。「映画はしょせん作り物だから、『現実のふりをした作り物』なんて作る気にならなかった。そういう意味では、アニメに向いていた人間だったんだね」