押井守の写真と映画についての話

庵野秀明はジブリの後継者になれない?写真資料は数千枚以上!押井守監督的アニメ写真論|サイゾーpremium

押井 僕は動画の専門家じゃないから、アニメの場合はそうやって画角から入るしかない。今さらジブリみたいな緻密な描写で流れるようなアニメを作れますかっていわれても、そういう能力はもともと持っていない。だから余計なことを言っちゃえば、庵野(秀明)がジブリの後継者になるかといったら、あいつも実は画角で作ってる男なんだよ。あいつは過去に見た映画のレイアウトは全部覚えているって特殊な才能を持っていて、それを紙の上に再現する能力も持ってる。それだけは大したもんなんだよ。その代わり、全部何かのコピーだよ。東宝の特撮映画だったりのレイアウトが頭の中に大量にためこまれていて、必要に応じて即座に取り出せる。

――庵野氏は、世間的には動画寄りの監督に見られていますが、押井さんの評価は違うんですね。

押井 俺は、アニメーターとしての庵野なんて評価してないもの。でも、あいつのレイアウト能力はたいしたものだと思ってる。あと彼は、情報量の操作ってことを知ってる。どこの情報量を増やして、どこを省略するか。アニメって、それでしか演出できないから。

別の場所では、「庵野が『ナウシカ2』を作るのがいい」という話もしていますが。

ともかく押井氏のレイアウトに対する考えは、『METHODS ~押井守「パトレイバー2」演出ノート』などを読めばわかります。