『空へ』インタビューと航空救難団の戦闘捜索救難

押井守監督とは関係ない(中略)『空へ』のDVD発売日が迫っておりますが、チャンネル桜にて、『空へ -救いの翼 RESCUE WINGS-』高山侑子&手塚昌明インタビューが掲載されております。

また、『空へ レスキューウイングス』というコミックも発売されました。これは映画の主人公である遥風が主役ですが、映画のコミカライズではなくオリジナルのストーリーとなっており、C-SAR(戦闘捜索救難)についての話も含まれております。

『RESCUE WINGS』シリーズでもほとんど触れられてきませんでしたが、実際今までの航空救難団の出動は、災害出動などの「有事ではない」出動だけでした。けれども航空救難団は本来C-SARのための組織であり、よくヴェトナム戦争の映画などに描かれるような「撃墜された味方の航空機のパイロットを、敵中に突っ込んででも救出する」のが任務の部隊です。場合によっては、敵を追い散らすために銃をぶっ放すこともあり得ます。

ですが実際には、「戦争状況に陥ったら」ということについて語りたがらない日本の風潮により、航空救難団のC-SARについても敢えて触れられないでいたのが現実のようです。昔に聞いた話でうろ覚えですが、最初救難機にアメリカ製の機体を導入するにあたって、標準装備だった防弾装甲を「戦争をするつもりか」という意見(?)により取り外したとか何とか……(まあ装甲を外せば軽くなるから航続距離は伸びて捜索には有利になりますが)。実際、航空救難団で使用されているUH-60Jは最初、白と黄色の救難塗装でした。災害出動などの時にはこのほうが便利ですが、もちろん有事だとこれでは「撃ち落としてくれ」と言わんばかりに非常に目立つので、現在は洋上迷彩塗装に変更されつつあります。また機体も、チャフ/フレア・ディスペンサーやミサイル警報装置などが搭載されたUH-60J(SP)に更新されてきています。

このようにC-SARについて真面目に考えられるようになったのは、不審船騒ぎも一役買っているのでしょう。不審船との戦闘で遭難者やら何やらが出て、それを救助に行かなければならなくなったとしても、不審船から携帯型SAM(地対空ミサイル)などで攻撃される可能性もありますし。

これまでの航空救難団の人々がどのような戦闘訓練をしてきたのかはよく知りませんが、現在の航空救難団の人々にとって「戦闘状況での救難」の訓練が増えたことは想像に難くありません。『空へ レスキューウイングス』のコミックは、そんな現状を垣間見させてくれます。すでに海上で、山中で、過酷な訓練をしている上新たな課題も加わった彼らには、本当に敬服するしかありません。