日本のアニメ・マンガ・ゲームは児童ポルノ規制によって滅亡の危機

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現実の被害者など存在しない「絵に描かれた児童」であっても全部禁止すべきだという話。これによって、日本のアニメ・マンガ・ゲームは滅亡の危機にあります。

この通りの法律が作られたら、当然『うる星やつら』のDVDを持っているだけで逮捕ですね。「『うる星やつら』が好き」という発言をした人に対しては、みんな家宅捜索の令状が降りる可能性があります。そしてがさ入れされ、『うる星やつら』のDVDがなかったとしても、押し入れの奧から持ち主も忘れていたような過去のマンガとか雑誌が出てきて、その中に「児童ポルノ」と判断されるものがあったらそれで逮捕。「被害者など誰一人としていない、昔描かれたマンガ」を持っていただけで逮捕です。宮崎駿、手塚治虫、藤子不二雄、そういった「巨匠」の過去作品でも少女の裸とか出ているものがかなりありますから、全部法律違反、焚書。最近のアニメ、マンガ、ゲームでも、「絵に描かれた児童」のお色気がメインもしくはサブの売り要素として入っているものは多数ありますが、もちろんそれらも全部アウト。結果として「世界に誇る文化」とか文化庁とかが言っている日本のアニメ、マンガ、ゲームはほとんど壊滅です。

呼びかけ人の後藤啓二弁護士によると、「準児童ポルノ」は「アニメ、漫画、ゲームソフトなどと、18歳以上の人が児童を演じるようなビデオなど」。アニメや漫画、ゲームソフトは「写実的なものに限られる。ちょっと漫画で子どもの裸を描いたからといって規制はありえない」という。

「ちょっと漫画で子どもの裸を描いたからといって規制はありえない」って、何でそう言いきれるのでしょうか。例えば警察が点数稼ぎに「こいつもこいつも逮捕できるな」と言い出す可能性がないと、なぜ言えるのでしょうか(私からすれば「日本憲法で軍隊を認めれば、また海外侵略を始めてしまいかねない」というよりもよほど確率が高く思えます)。警察は、気にくわない人間をいくらでも拘束できる口実を手に入れるも同じです。写実的であるとかないとか、誰が判断するのでしょう。あまりに範囲の基準が曖昧ですから、「法律を犯したくない」と考えるなら、全部焚書にするしかありません。貴方が「これはどう見ても18歳未満ではないし写実的でもない」と思っても、どっかの誰かに「いや違う」と考えられたらそれでアウトです。有罪にならなくても、留置場に入れられたり裁判所に引っ張り出されたりという可能性はいくらでもあります。ですから、日本の過去50年にわたる「文化」は手当たり次第に焚書です。

児童ポルノの単純所持禁止にアニメ・マンガ・ゲームは含めるべきか否か? - GIGAZINE

具体的な問題点はこちらに詳しく書かれています。

それに、こんなふうに規制を強化しても、結局は禁酒法と同じで完全に廃絶することなど不可能。あまつさえ現在は、国境などないに等しいネットの時代です。つまり警察にとっては「検挙できるネタが増える」だけに他なりません。

また、規制推進者の言い分は「架空の人物を描いた児童ポルノを見た人間は、実際に実在する児童に対し犯罪を行う」ということですが、その理論の根拠は全く提示されていません(では、殺人の場面を描いたドラマを規制しますか?)。逆に規制によって「被害者もいない、合法的な欲望のはけ口」を封じられた人間が、実際に「被害者のいる犯罪」を犯す可能性が高くなるでしょう。

そして規制推進派の中には、ただ自分を「子供を守る良識派」と見せたいというのが目的の人間がおります。さらに「子供を守る」という口実の元に、自分にとって気にくわない(自分が見たくない)ものを世の中から抹殺することが目的の人間も多数含まれています。これは「同性愛者は気持ち悪いから規制しろ」と言っているのと何が違うのでしょう。

こういう、「児童を守る」という本来の目的についての実効性がはなはだ怪しい、ただ表現の自由を縛るだけの規制に疑問を呈したり反対したりするという態度を取っただけでも、規制派は「児童ポルノを野放しにし、子供を危険にさらそうとしている反社会派」というレッテルを貼って攻撃してくるものです。そのため、実際にアニメ・マンガ・ゲームを作っている企業や個人でも、そういうレッテルをつけられてイメージ低下するのを嫌がり反対の声を上げづらいものですが、このまま放置しておくと、日本のアニメ・マンガ・ゲームは壊滅です。