#author("2019-10-20T13:51:45+09:00","","")
-トーリン・オーケンシールドの祖先、トーリン一世(Thorin I)については[[トーリン一世]]を参照してください。
-ダイン二世の息子で、エレボールの山の下の王国の王位を継いだ石の兜トーリン三世(Thorin III Stonehelm)については[[トーリン三世]]を参照してください。
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* トーリン&ruby(にせい){二世}; [#e49300f2]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Thorin II((Thorinは古ノルド語で“bold-one”(「挑む者」「恐れを知らない者」「厚かましい」「力強い」「険しく切り立った」「勢いが激しい」等)の意))|
|~その他の呼び名|トーリン・オーケンシールド(Thorin Oakenshield)(("Oakenshield"は『[[追補編]]』では「樫の盾」とも訳される。英語のoak(オーク)という単語(他のヨーロッパ言語も同様)は、常緑性のカシと、落葉性のナラの両方に用いられる。常緑性のカシのみを指す言葉はライヴオーク(live oak)である。英国に分布するoakはナラに相当するため、正確には「楢の盾」と訳すべきであろう。)) &br; 山の下の王(King under the Mountain)|
|~種族|[[ドワーフ]]([[長鬚族]])|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2746~†2941(享年195)。在位2850~2941(91年間)|
|~親|[[スライン二世]](父)|
|~兄弟|[[フレリン]](弟)、[[ディース]](妹)|
|~配偶者|なし|
|~子|なし|

** 解説 [#Explanation]

|>|>|~[[長鬚族]]の王|h
|CENTER:先代&br;[[スライン二世]]&br;2790~2850|CENTER:''トーリン二世''(樫の盾)&br;[[第三紀]]2850~2941|CENTER:次代&br;[[ダイン二世]]&br;2941~3019|

''トーリン・オーケンシールド''と呼ばれる。[[はなれ山(エレボール)>エレボール]]の王であった[[スロール]]の息子である[[スライン二世]]の息子で、[[フレリン]]、[[ディース]]の兄。
エレボール没落後は名目上に過ぎなくなったとはいえ、[[ドワーフ]]七氏族の最長老である[[ドゥリンの一族]]([[長鬚族]])の王。そのため非常に誇り高く、さらに頑固で時に高慢でもあった。だが決して愚かだったわけではなく、いざとなれば勇敢であり、ドワーフらしく仇を忘れることが無いように、恩義を忘れたりないがしろにしたりすることも決してなかった。

『[[ホビットの冒険]]』にて[[ビルボ・バギンズ]]を連れ、[[はなれ山>エレボール]]を[[龍]]の[[スマウグ]]より奪回するための冒険に旅立った[[13人のドワーフ>トーリンとその仲間]]の頭。同作では銀の房のついた青空色の頭巾をかぶり、首に金の鎖をかけていた。お茶の時間に[[袋小路屋敷]]に押しかけた際には、[[ガンダルフ]]といっしょにビルボに赤ワインを注文し、食後には金のハープを演奏している。

*** 来歴 [#b0d6caca]

[[第三紀]]2770年、[[エレボール(はなれ山)>エレボール]]が[[スマウグ]]に襲撃された時、トーリンは祖父[[スロール]]、父[[スライン二世]]らと共に脱出する。
その後スロールが殺されたことに端を発し、2793年より[[ドワーフとオークの戦争]]が起こる。決戦となった2799年の[[ナンドゥヒリオンの合戦]]で、ドワーフ軍が[[ナンドゥヒリオン]]の林に追い込まれた時、トーリンは斧で切り落としたオークの木の枝を自らの割れた盾の代わりとした。これが''オーケンシールド''の名の由来となった。
戦いの後は父の[[スライン二世]]と共に[[褐色人の国]]に戻るが、その後[[エリアドール]]を放浪し、やがて2802年に[[青の山脈(エレド・ルイン)>エレド・ルイン]]で暮らすようになる([[トーリンの館]])。行方不明となっていたスラインが2850年に[[ドル・グルドゥア]]で死ぬと、トーリンが[[ドゥリン一族>長鬚族]]の王となり、青の山脈で徐々に一族と富を増やしていった。だがトーリンは、ずっとかつてのエレボールの栄光に焦がれており、スマウグへの復讐の念を胸に抱いていた。

>そこでトーリン・オーケンシールドがドゥリンの世継となったが、望みなき世継だった。スラインが行方知れずになった時、トーリンは九十五歳、挙措尊大な大ドワーフであった。

>歳月が過ぎ去っていった。トーリンの胸の中の燠がふたたび熱くなり、かれは一家の経てきた悲運と、自分の受け継いだ竜への復讐を念頭に絶やさなかった。鍛冶場に大槌を鳴り響かせながら、かれは武器と軍隊とドワーフ連合軍のことを考えた。しかし軍隊は解散し、連合軍はばらばらになり、かれの一族の持つまさかりの数は僅かである。鉄床の上に赤い鉄を打ちながら、かれは望みのない激しい怒りに身を焦がした。((『[[追補編>指輪物語/追補編]]』「ドゥリンの一族」))

*** ガンダルフとの出会い [#a5297352]

2941年3月15日、旅から帰る途中[[ブリー村]]に立ち寄ったトーリンは、偶然[[ガンダルフ]]と出会う。エレボールを奪回したいトーリンと、[[スマウグ]]を排除したいガンダルフの思惑が一致、トーリンはガンダルフを[[青の山脈>エレド・ルイン]]の[[自分の館>トーリンの館]]に招いて遠征への助力を依頼した。
当初トーリンは、軍を起こしてスマウグに公然と戦いを挑むことばかりを考えていたが、ガンダルフは[[北方>ロヴァニオン]]の情勢悪化の裏には[[死人占い師]]([[サウロン]])の悪意があることを見通しており、その妨害を避けるためにも隠密行動を選ぶべきであると提案、それに役立つ[[忍びの者]]として[[ホビット]]の[[ビルボ・バギンズ]]を同行させるよう強く主張する。

トーリンは、最初ガンダルフの計画に懐疑的であり、ビルボを連れていくことにも反対だった。実際に[[袋小路屋敷]]を訪れ、突然の来客に動揺したビルボの滑稽な振る舞いを目にしたトーリンは、ガンダルフが自分を愚弄しているに違いないと考え内心激怒していたという。
しかしその夜、ガンダルフは[[ドル・グルドゥア]]で今際の[[スライン>スライン二世]]から預かっていた、エレボールの秘密の隠し戸の在処を示した[[スロールの地図]]とその鍵を明らかにする。地図と鍵を受け取ったことで、ようやくトーリンはガンダルフを信用し、彼の計画に乗って遠征を行うことを決意。エレボールの財宝の14分の1を報酬に、ビルボを忍びの者として正式に雇い入れた(このいきさつは『[[終わらざりし物語]]』「エレボールへの遠征」に詳しく述べられている)。

*** エレボール遠征 [#p4a960a4]

トーリン・オーケンシールドをはじめとした''[[13人のドワーフ>トーリンとその仲間]]''([[ドーリ]]、[[ノーリ]]、[[オーリ]]、[[バーリン]]、[[ドワーリン]]、[[フィーリ]]、[[キーリ]]、[[オイン>オイン(ファリンの息子グローインの息子)]]、[[グローイン>グローイン(グローインの息子)]]、[[ビフール]]、[[ボフール]]、[[ボンブール]])と、[[忍びの者]][[ビルボ・バギンズ]]、そして[[魔法使い]]の[[ガンダルフ]]は、[[第三紀]]2941年4月のある日、[[エレボール(はなれ山)>エレボール]]への遠征に出発した。

旅の途中、[[エルフ]]の名剣[[オルクリスト]]を[[トロル]]の岩屋で発見し、身に帯びるようになる(だが後にオルクリストは、[[闇の森の王国>闇の森#Realm]]でエルフに取り上げられた)。
はじめは忍びの者であるビルボに危険や厄介事を押しつけてばかりいたが、次第にビルボが豪胆さを身につけ、ドワーフを凌ぐ忍びの技(その一部は手に入れた[[姿を見えなくする指輪>一つの指輪]]の力による)を発揮して仲間の危機を救うようになると、厄介事を押しつける姿勢はそのままながら彼を非常に高く評価し、信頼を寄せるようになる。
エレボールにたどり着き、[[スマウグ]]のいない間に財宝を検分した際には、多大な働きへの感謝のしるしとしてビルボに、[[ミスリル]]製の[[白銀色の鎖帷子>ミスリルの胴着]]を贈っている。

しかしスマウグが滅ぼされると、トーリンはエレボールの財宝、そして財宝の中にあるはずの(ビルボが密かに拾って隠していたために発見できなかった)[[アーケン石]]に固執。
スマウグの被害を受けた[[エスガロス]]への援助と財宝の分配を拒絶し(これは、トーリンの元にやってきた[[バルド]]が、[[スランドゥイル]]率いる[[闇の森の王国>闇の森#Realm]]の軍勢と行動を共にしていたために態度を硬化したというのもあった)、エレボールに籠城する。そしてビルボによってアーケン石がバルドに渡されていたことを知ると、トーリンは激怒してビルボを追放。バルドと交渉してアーケン石を買い戻すように見せかけつつ、[[大ガラス]]の[[ロアーク]]の使いを[[くろがね連山]]の[[ダイン>ダイン二世]]のもとに送って[[ドワーフ]]の援軍を呼び寄せ、エスガロスの[[人間]]やスランドゥイルの[[エルフ]]の軍勢と一戦交えてでも、アーケン石を含め全ての財宝を自らのものにするつもりであった。

そして今にもドワーフと人間、エルフの戦いが始まるとしていたとき、突如として[[霧ふり山脈]]から遠征してきた[[ゴブリン]]と[[ワーグ]]の軍勢が現れたため、包囲軍とダインの軍は急遽停戦してこれを迎撃、[[五軍の合戦]]となる。
数の上で勝るゴブリン・ワーグ軍に、ドワーフ・人間・エルフ側は次第に劣勢となるが、そこでトーリンは財宝への執着を断ち切って籠城を止め、[[山の下の王>エレボール#Kingdom]]として12人の仲間達と共に撃って出ることで戦いの流れを変えた。トーリンらは敵陣深くまで攻め入りゴブリン軍の総大将[[ボルグ]]に迫るも、[[ボルグの用心棒]]の守りを突破することができず逆に包囲され、[[フィーリ]]と[[キーリ]]は討死にしトーリンも致命傷を負う。だがトーリンは、熊の姿でやってきた[[ビヨルン]]に戦場から運び出され、ビヨルンと[[大鷲]]達の援助もあって戦いはドワーフ・人間・エルフの側の勝利に終わった。

合戦が終わった後、ビルボと再会したトーリンは彼に謝罪の言葉を述べ、和解して身罷った。

>「あなたの心のなかには、あなたが知らないでいる美しさがあるのじゃ、やさしい西のくにのけなげな子よ。しかるべき勇気としかるべき知恵、それがほどよくまじっておる。ああ、もしわしらがみな、ためこまれた黄金以上に、よい食べものとよろこびの声と楽しい歌をたっとんでおったら、なんとこの世はたのしかったじゃろう。だが、かなしいにせよ楽しいにせよ、もうわしは、ゆかなければならぬ。さらば、じゃ!」((『[[ホビットの冒険]]』「帰りの旅」))

トーリンの遺体は[[アーケン石]]及び、[[スランドゥイル]]から返還された[[オルクリスト]]と共に、[[エレボール]]奥深くの墓所に葬られた。彼と共にあるオルクリストが敵襲を知らせるために、エレボールのドワーフは二度と奇襲を受けることがなかったという(詳細は[[ホビットの冒険/あらすじ]]を参照)。

山の下の王には、トーリンにとって又従兄弟にあたる[[ダイン二世]]が即した。

*** 画像 [#p8a8f2d6]

&ref(五軍の合戦/AlanLee-FuneralofThorin.jpg,,15%,アラン・リー作画によるトーリンらの葬儀);

** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

|~俳優|[[リチャード・アーミティッジ]]|
|~日本語吹き替え|[[東地宏樹]]|

原作よりも若い、壮年のドワーフ。年齢は少なくとも150歳以上で、[[オイン>オイン(ファリンの息子グローインの息子)]]、[[グローイン>グローイン(グローインの息子)]]とほぼ同世代である。鬚を短く刈っており実際よりも若く見える要因になっているが、これには[[エレボール]]で死んだ者への追悼、自らの戒めの意味が込められているとリチャード・アーミティッジが語っている。

[[エレボール]]が[[スマウグ]]に攻撃されたとき、[[スランドゥイル]]が自らの軍勢をスマウグと戦わせることを恐れて見捨てたため、[[エルフ]]に強い不信を抱くようになった。
[[ナンドゥヒリオンの合戦]]において、[[アゾグ]]に追い詰められた際に、樫の枝を盾に使って反撃、アゾグの左腕を切断して退却に追い込み、戦局を一変させた。この時の樫の枝を、より使いやすい盾として加工し、そのまま使い続けて持ち歩いていた。この盾は[[ゴブリン町]]を抜けた後の[[アゾグ]]との再戦時に意識を失い、[[大鷲]]にすくい上げられた時に落としている。
[[オルクリスト]]は[[闇の森]]で、[[レゴラス]]に取り上げられている。

当初は原作同様、[[ビルボ・バギンズ]]が旅に役立つのか非常に懐疑的であり(実際一行が[[ゴブリン町]]を抜けるまでは、ビルボは足手まといになっていることが原作よりも強調されている)、ビルボを連れてきたのは間違いだと考え、一行が[[裂け谷]]を出た直後、[[霧ふり山脈]]での夜営中、ビルボがひとりで帰ろうとしていることに気付いても、止めようとしなかった。
だがゴブリン町を抜けた後、自分がアゾグに追いつめられ、他のドワーフが助けに行けない状況の中、ビルボが危険を冒して自分を助けに来たため、彼を信用するようになる。

祖国の再興を誰よりも強く願っていた。一方、祖父[[スロール]]が財宝に魅了されるのを目の当たりにし、自分はそうはならないという信念を持っていた。だがトーリンも実際にエレボールの財宝を目にして魅了されてしまい、特に[[アーケン石]]に執着する様子を示すようになる。この[[スマウグ]]の呪いは原作よりも強く描かれており、セリフの一部はトーリンの声とスマウグの声が合成されている。また仲間の裏切りを疑い、さらにアーケン石を[[バルド]]たちに渡したことを告白したビルボをも殺そうとした。

葛藤の末に理性を取り戻してからは[[五軍の合戦]]の渦中に飛び込み、[[からすが丘]]に陣取る[[アゾグ]]を討ち取るべく、[[フィーリ]]、[[キーリ]]、[[ドワーリン]]とともに向かう。罠にはまったフィーリとキーリが殺される中、トーリンもまた追い詰められるが、[[レゴラス]]の投げたオルクリストを受け取り危機を脱した。その後はアゾグとの決戦を制し、長年の因縁に終止符を打つが、自身も致命傷を負ってしまう。そして、介抱しようとするビルボに謝罪と感謝の言葉を述べて生涯を終えた。

籠城時は、原作にある'''かがやくよろい'''、'''純金のようにかがやきわたりました。'''の記述通り、黄金の鎧を身につけている。だが五軍の合戦に突入するときは、黄金の病から解き放たれたことを強調するためか、出立時の防具に近い鎖帷子となっている((『決戦の行方 [[エクステンデッド・エディション]]』のメイキングによると、アクションがしやすい装備にしたとのこと。))。

&ref(thorin.jpg,,35%); &ref(thorin2.png,,21%);

*** グッズ [#Goods]

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** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

プレイヤーの種族に[[ドワーフ]]を選んでゲームを開始すると、チュートリアルプレイ時に、[[エレド・ルイン]]の[[館>トーリンの館]]から[[はなれ山>エレボール]]へ出発しようとしているトーリンが、旅に[[ホビット]]を連れていくべきだという[[ガンダルフ]]と言い争っている光景が見られる。
この光景は、『[[終わらざりし物語]]』に記されているトーリンとガンダルフのやり取りを元にしている。

チュートリアル終了後は[[五軍の合戦]]後になるため、トーリンは登場しない。

&ref(ScreenShot00186.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるトーリン・オーケンシールド);

** コメント [#Comment]

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