概要 †
ケルベロス・サーガとは、一定世界観上にある押井守の作品群を指す言葉である。
何より特徴としては、プロテクトギアと俗称される強化装甲服を身にまとったキャラクター(主に首都警と言われる警察組織)が登場すること。そして日本は第二次世界大戦でアメリカではなくドイツに占領されたことになっており、日本にドイツの文化が多く流入していること。そして日本では体制側組織と反体制側組織で激しい抗争がくり広げられているということである。
また『ケルベロス 鋼鉄の猟犬 Kerberos panzer jäger』では、それまでの設定から時代を大きく遡り、第2次世界大戦中となっている。さらに物語の舞台も、日本ではなくドイツの東部(ロシア)戦線となっている。
各作品群においては、組織名や年代設定などにあちこち差異や矛盾が見られ、厳密な「架空の歴史年表」の上に作られた物語というわけではない。
ケルベロス・サーガという言葉自体も自然発生的に登場したもので、『人狼 JIN-ROH』公開のあたりまではこの言葉は、少なくとも公式には使用されていなかった。
年表 †
概要で説明したように、ケルベロス・サーガの各作品の設定には矛盾が見られる。以下は、その矛盾を敢えて無視して作成した、ケルベロス・サーガの大まかな年表である。
- アメリカ合衆国、モンロー主義によって孤立政策を継続する。
- 第一次世界大戦。
- ドイツでナチ政権が誕生。
- ヒトラー、フリードリヒ大王の近衛兵である巨人兵を模して、SS装甲猟兵大隊、通称〈ケルベロス〉を設立。
- ドイツ・イタリアを中心とする枢軸国と、イギリス・フランスそして日英同盟固持による日本という国々によって形成された連合国との間で第2次世界大戦が勃発。
- 独ソ戦が開始。
- ヒトラー暗殺される。
- ナチ党解体される。SSも解体、分散されてドイツ国防軍に編入されるが、装甲猟兵大隊だけが生き残る。
- 1942年。 ドイツ軍宣伝中隊のマキ・シュタウフェンベルク大尉、東部戦線スターリングラードで戦闘を行っている装甲猟兵大隊を追う。(『ケルベロス 鋼鉄の猟犬 Kerberos panzer jäger』)
- 枢軸国の勝利による大戦の終結。日本の降伏と、ドイツによる日本占領政策が始まる。
- アメリカの威信失墜とソヴィエトの拡大、ドイツとソヴィエトによる冷戦構造が形成される。
- 日本からの占領軍の撤退。実質的な軍事同盟である日独安全保障条約の締結*1。自衛隊の設立による日本の再武装。
- 日本の急速な高度経済成長が始まる。その反動で貧富の拡大、一部都市のスラム化が問題化。首都圏での武装ギャング、都市ゲリラによる凶悪犯罪の急増。
- 国家警察への昇格を目論む警視庁に対する牽制と、自衛隊への内政の干渉を防ぐため、警察、自衛隊に次ぐ新たな武装勢力として首都圏治安警察機構(首都警)が結成される。首都警は、首都圏にその活動範囲を限定されてはいるが、その中では強力な権限を持つ組織。首都警は警視庁とは独自に公安部、警備部、総務部などを有し、また武装実働部隊として警備部の特殊武装機動警備大隊(特機隊)を有する。
- 首都警と特機隊の活躍による組織犯罪の沈静化。一方で犯罪組織は地下に潜ってより組織化され、マルクス主義を信奉するゲリラ、〈セクト〉としての色合いを帯びる。
- 〈セクト〉と特機隊の戦闘激化、時に市街戦の様相を呈するようになる。特機隊の過激な行動が世論の非難の対象となり、警視庁は首都警の解体を要求。その一方特機隊は武闘路線を突き進む。特機隊の孤立化始まる。
- 警視庁の一派と首都警公安部の密かな接近。警視庁と首都警の統合を目論む首都警公安部長の室戸文明、世論の批判が集中していた特機隊の切り捨てを画策。(『犬狼伝説』第2話・第3話)
首都警公安部と、首都警警備部特機隊独自の諜報組織〈人狼〉との密かな戦いが行われる。(『犬狼伝説』第6話・『人狼 JIN-ROH』)
- 警視庁と首都警の統合が決定。特機隊に解体命令下る*2。特機隊、武装解除に反発して蜂起、〈ケルベロス騒乱〉始まる*3。
自衛隊の治安出動によって騒乱は鎮圧され、特機隊隊長の巽四郎死亡。都々目紅一、鷲尾翠、鳥部蒼一郎の3人は逃亡。(『犬狼伝説』第8話)
都々目紅一はプロテクトギアを持って国外逃亡。鷲尾翠と鳥部蒼一郎は国内に潜伏中に逮捕される。(『紅い眼鏡』冒頭シーン)
- 紅一、特機隊を裏切った狙撃手、黒崎英斗を追って台湾へ行く。(『紅い足痕』)
- 〈ケルベロス騒乱〉から3年後。〈ケルベロス騒乱〉で逮捕された、紅一を慕っていた若い隊員の乾、釈放されると紅一を追って台湾へ向かうが、公安に追跡される。公安、紅一の愛人と乾に手を出さない事を条件に紅一の投降を要求。紅一、公安の元に向かおうとするが、乾が紅一のプロテクトギアを奪って代わりに向かう。公安と戦闘となり、乾、公安を全員射殺するが自らも倒れる。紅一、台湾から日本に帰国*4。(『ケルベロス 地獄の番犬』『紅い眼鏡を待ちつつ』)
- 室戸文明、帰国した紅一と最後のプロテクトギアを追う。紅一、翠と蒼一郎と再会。(『紅い眼鏡』)
- ケルベロス争乱から18年後。東京湾に浮かぶ難民居住区の島で、首都警の生き残りの人間を巻き込んでの暴動が発生する。(『エルの乱 鏖殺の島』)
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押井守インタビューや、描き下ろし新作コミックなどを掲載したムック