人々が、脳を直接ネットワークに接続する電脳と、義体によって身体を機械化するサイボーグという技術が一般的になった近未来。
公安9課、通称攻殻機動隊は電脳犯罪やテロに対処するために作られた政府組織である。かつてその組織には、“少佐”と呼ばれる女隊長~草薙素子~がいた。だが完全義体の全身サイボーグと化した彼女は、人間としての自分の存在に疑問を感じる日々を送っていた。
そしてある時、9課は“人形使い”と呼ばれるハッカーに遭遇する。だがそのハッカーは人間ではなく、人間が作ったプログラムから生まれ、ゴーストをもつに至った存在~情報の海で発生した生命体~であったのだ。
バトーは9課において素子の片腕として活躍してきた男である。最近の素子を心配げに見守ってきたバトーの目の前で、素子は人形使い~プログラム コード2501~と融合した。
「いたければ、いつまでもここにいてもいいんだぞ」そうバトーは素子に言った。だが素子は「ありがとう、でも行くわ」と別れを告げる。
「その服の右ポケットに車のキーが入っている。好きなのを使え。暗証番号は……」
「2501……。それ、いつか再会するときの合い言葉にしましょう」
そして素子は9課から、社会から、バトーの前から姿を消し、広大なネットの海へと消えていった。
それから数年後、バトーは未だ9課に残っていた。素子の記憶を自分の脳に止め、一匹のバセットハウンドと共に暮らしながら。
その頃、少女型の愛玩アンドロイドが所持者を殺害。さらに自分を追跡してきた警官2名も殺害するという事件が発生する。バトーはそのアンドロイドを追い詰めるが、そのアンドロイドは自分自身を破壊しようとする。アンドロイドが呟いた最後の言葉は「助けて……」であった。
何故アンドロイドは暴走したのか? 公安9課の課長荒巻からこの事件の調査を命じられたバトーは、同じく9課に所属するトグサとともに事件の捜査に向かう。
押井守の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』が公開されたのが95年。そして『G.R.M.』の頓挫と『アヴァロン』の公開を経た後、今となっては一体いつからなのかはっきりしないが、はるか以前(恐らく2000年頃)から「押井守がアニメの新作として『攻殻機動隊2』を作っている」という噂が流れていた。一切公式発表のないまま、何度か新聞や雑誌にも取り上げられ、押井自身も、「もうみんな知ってるから隠す意味無いんだけど、皆さんの想像通りの物作ってます」と仄めかしていた。
しかしこの話が確認されるまでには随分時間がかかった。その間に別の押井守(脚本)作品である『ミニパト』や、攻殻機動隊は攻殻機動隊だが神山健治監督作品の 『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』などが発表され、「押井守の『攻殻機動隊2』」を待つ人々は何度も肩すかしを食った。そうして時を経てやっと出てきた名前が、この『イノセンス』である。タイトルには『攻殻機動隊』とも『GHOST IN THE SHELL』とも付いていないが、間違いなく 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の続編だ*1。
この作品のシナリオは、原作 コミック版『攻殻機動隊』の第6話「ROBOT RONDO」を元にしてはいるが、脚本は押井自らがほぼオリジナルといえるものを書いている。
また今回は、スタジオジブリの鈴木敏夫がプロデュース・宣伝面で協力しているのも特徴(『イノセンス』というタイトルを付けたのも鈴木)。鈴木が起用したコピーライターの糸井重里が出したコピーは「イノセンス、それはいのち」というものであった
この映画のテーマは「犬」そして「人形」。犬については今更説明するまでもないが、なぜ人形なのか?元々押井氏はハンス・ベルメールの人形を見て以来、人形に興味があったという。そして『攻殻機動隊2』の企画を考えていた時に思い浮かんだのが、「人形」というテーマだったという。義体という人形のバトーや素子。そして、大きなオルゴールの家に住んでいる、人形になりたい男の話。キャッチコピーは「肉体を持たずに人は人を愛せるのか。人と機械の境界が曖昧になった未来の男と女を押井守が描く!」。
押井は、この映画に於いて「脚本(の出来)はたいしたことはない」と自ら断言している。そして重要なのは、映像や台詞によってすべてのカットに入れ込められたさまざまな情報であるとしている。つまり重要なのはストーリーを理解することではなく、観客そのものがこの映画を見て何を感じ取るか、ということになる。
このアニメーションのクオリティは、間違いなく史上最高といえるだろう。その甲斐あって、カンヌ国際映画祭コンペティション部門出場を果たした。受賞こそ逃したものの、これは日本のアニメーション作品としては初めてのことである。
『イノセンスの情景 Animated Clips』というミュージッククリップDVDも発売された。
『イノセンス』では、多数のDVDパッケージ(Blu-ray Disc版を含む)が発売され、多数の差がある。以下はそれを一覧に纏めたもの。
| イノセンス スペシャルBOX | |||||||||
| 価格 | 7,980 | 3,990 | 6,825 | 6,825 | 52,290 | 3,990 | 31,290 | 8,190 | 6,090 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 発売日 | 2004/09/15 | 2004/10/20 | 2004/09/15 | 2005/09/07 | 2006/12/06 | 2008/08/06 | |||
| 音声 | 2chステレオ ドルビーデジタル 6.1chサラウンド ドルビーデジタルEX | 6.1chサラウンド ドルビーデジタルEX 6.1chサラウンド DTS-ES | 2chステレオ ドルビーデジタル 6.1chサラウンド ドルビーデジタルEX 6.1chサラウンド DTS-ES | リニアPCM 7.1ch ドルビーデジタルEX DTS-ES ドルビーデジタル5.1ch | ドルビーTrueHD 6.1ch DTS-HD Master Audio 6.1ch ドルビーデジタルEX 6.1ch DTS-ES 6.1ch | ||||
| 字幕 | 劇場公開字幕、日本語 | 劇場公開字幕、日本語、英語、フランス語、台湾語、韓国語 | |||||||
| 映像特典 | オーディオコメンタリー(押井守×西久保利彦氏) 予告集 メイキング映像(15分) 押井守×鈴木敏夫対談 | 『INNOCENCE』、国境を超える~広告・映画評で見る海外の実情と、制作者の思い~(押井守、石川光久対談) 各国版予告編集 | 押井守(監督)X伊藤ちひろ(脚本)X行定勲(脚本監修) 天空恋愛鼎談 「スカイ・クロラ」予告編 | ||||||
| メイキング完全版(DVD3枚組) | 『イノセンスの情景 Animated Clips』 メイキング映像(15分) オーディオコメンタリー(押井守×西久保利彦氏) | ||||||||
| 特典 | 『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』DVD イノセンストランプ*2 イノセンス主題歌CD『FOLLOW ME』 イノセンスポスターフィギュア イノセンスプレスブック | バセットハウンド犬のオルゴール付きアートフィギュア*3 | オリジナル絵コンテ・脚本・アフレコ台本*4 | ガイノイドフィギュア*5 イノセンス METHODS 押井守 演出ノート*6 イノセンス オフィシャル・アートブック*7 | ガイノイドフィギュア 素子ヴァージョン*8 | 初回版は押井守監修メタルケースパッケージ | |||
| プレミアムガイドDVD*9(先着購入特典・数量限定) | |||||||||
| 備考 | ローソン限定 | 各15,000セット限定 | 完全予約限定 | 1,000セット限定 アマゾン ジャパン、新星堂、TSUTAYA RECORDSのみでの販売 | 片面2層 MPEG-2 | 片面2層 MPEG-4 AVC | |||
詳細はディストリビューションの違いを参照。
詳細はディストリビューションの違いを参照。
士郎正宗による原作コミック第1巻。人形使いの話はこちらに収録されている。
士郎正宗による原作コミック第2巻。人形使いと融合した後の素子の話が書かれている。
単行本未収録の話を集めた本。人形使いと融合して素子が去った後の公安9課を描いている。付録のCD-ROMには本編のコミックがe-manga形式で収録されている(Win/Macハイブリッド)。
コミックの1巻と2巻、それにフチコマフィギュア、ポスター、クリアファイルなどが付いた特別版(1.5は含まれない)。
『イノセンス DVDコレクターズBOX』に付属したものの単体版(一部ページが省略されている)
『イノセンス』オフィシャル解説本。
『イノセンス』の押井守直筆絵コンテとフィギュアのセット。絵コンテのあちこちに引用の解説や、押井守の解説などが入っている。
押井守がイノセンスのテーマを語る本。「人形」「建築」「身体」という3つのテーマでイノセンスを語っている(これは熱風に連載されたものがもと)他、養老孟司、四谷シモン、鈴木敏夫と押井守の対談が掲載されている。
宝島社による『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』『イノセンス』『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』のムック。