『アヴァロン』アーサー王伝説で、最後の戦いに倒れたアーサーが運ばれたという島、英雄の魂が眠る場所……。
〈アヴァロン〉とは、近未来の戦闘体感ゲームの名前である。ヴァーチャルリアリティを駆使し、プレイヤーはその世界に入り込んで〈パーティー〉というティームを作り、銃を持って敵と戦う。そのリアリティ、迫力、そして勝つと賞金が貰えるというシステムから人々はこれに熱狂する。だがこのゲームは時には〈未帰還者〉と呼ばれる廃人を作り出すこともあり得る、非合法化された過激なゲームだった。
〈アッシュ〉は、かつて最強と謳われたパーティー〈ウィザード〉の
だがそれに変化が訪れる。ある時〈アヴァロン〉のリプレイに現れた
〈アヴァロン〉の端末からの帰り道、アッシュはある男と再会した。かつてのウィザードの一員で、そのパーティーの
マーフィーが追っていた者は一体なんだったのか? アッシュがそのことについての調査を進めるていると、〈九姉妹〉を名乗る者からのメッセージが届いた。「廃墟C66にて待つ」
九姉妹とは即ちモーガン・ル・フェを指す言葉であり、〈アヴァロン〉のシステムを構築したと呼ばれている者である。
ビショップの正体は? マーフィーが追っていたものとは? クラスAを越えるクラスSAは存在するのか?
『G.R.M.』の頓挫後、せめて何か一本映画を撮ろうということになった。そして『G.R.M.』の準備のために研究されていた色々な撮影実験などを使って撮られたのがこの 『アヴァロン』である。
これは全編ポーランドでロケを行い、キャストも全員ポーランド人、現地に行った日本人スタッフもわずか10人で、あとのスタッフはポーランド人という異色作である*1。そうやって撮影した素材一つ一つを、アニメのセルのようにレイヤーに別け、それぞれにディジタル処理にかけて重ね合わせるという処理がとられた。そして新しい映像が作り出された。
この映画の特徴の一つにポーランド軍の協力がある。SVDドラグノフ狙撃銃、ワルサーPPK半自動拳銃やAK74自動小銃といった実銃が登場するほか、T-72戦車やZSU-23-4シルカ対空自走砲といった兵器が登場してミリタリーマニアを楽しませてくれる。そして川井憲次作曲の音楽がフルオーケストラで演奏されるというのも大きな見所の一つ。
作品自体は「押井守作品の集大成」と言われる。今まで押井作品において扱われたテーマのほとんどがこの作品に集約されている(しっかり犬も出る)。押井守の再スタートともいう事のできる作品だ。今までの実写の押井作品は「判りにくい」などと悪評が高かったが、この映画はかなり素直に作られている(押井本人は「初めての実写商業映画」などと言われたそうだ)。しかしやはり押井映画は押井映画で、なかなかの不条理世界を見せてくれる。
第13回東京国際映画祭で初上映され、2001年1月に劇場公開された。第54回カンヌ国際映画祭の招待作品としても上映されている。
押井守による小説『アヴァロン 灰色の貴婦人』が発売されている。こちらは映画の後日談となっている。
Blu-ray DiscとDVDの同梱版、Blu-ray単体版の2種。
本編DVDにドルビーディジタル・サラウンドEX(6.1ch)音声を収録。特典DVD*2、ムック*3つき。
本編DVDのみ。
映画本編上映前に発売された先行DVD。ポーランドでの撮影風景、メイキングなどを収録。(詳細)
『紅い眼鏡』『精霊のささやき』『ケルベロス 地獄の番犬』『トーキング・ヘッド』『アヴァロン』サウンドトラックと特典CDの5枚組+解説書(詳細)
映画公開前に発売されたムック。ビジュアルエフェクト・スーパーバイザーの古賀信明、デジタルアートディレクターの林弘幸、サウンドデザイナーのランディ・トムへのインタヴューなどを収録。
映画公開後に発売されたムック。全シーンの解説、ポーランド人スタッフを含めた各スタッフへのインタヴュー、シーン演出についての解説などを掲載。
ポーランドに乗り込んだ日本人スタッフの体験談を掲載。押井守公式サイトに掲載された「『Avalon』日記」とはまた違う視点になっている。