野良犬の塒
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お伽草子

第五幕 卜部

脚本=藤咲淳一
絵コンテ・演出=小柴純弥
作画監督=堀内博之

Story

残り二つの勾玉を求めて出発しようとする光達の前に現われた女性は卜部季武うらべのすえたけ。貴族の命により、頼光を案内するという。一行は周防の国、瀬戸内海の呪い島へと向かう。そこには海賊のアジトがあり、水の勾玉があるからだ。
呪い島が見える浜辺の村までやってきた一行。島へは船でないと行くことは出来ないが、潮の流れは地元の人間でないと読めない。更にその村には、海賊の見張りがいた。
卜部の発案で、女装して見張りをやり過ごし、村へ潜り込むことに成功した一行。更に卜部の案内で、彼らは村長に会って呪い島へ渡るための協力を要請する。だが村長によると、島へ渡るための船は海賊に全て抑えられているという。
光達がその海賊の砦を調べると、そこには50人ほどの海賊がいた。4人で相手をするには多すぎる敵の数である。そこで卜部が、自分に任せてくれれば一晩でその砦を陥としてみせると言い出した。卜部を信用していない綱に対し、光は卜部に任せることにした。
夜が明けて光達が砦に行ってみると、確かに砦の海賊は全滅していた。卜部は附子の毒を流して砦の人間を殺したのだ。だがその結果、海賊に囚われていた村の人質までもが死んでしまった。そのため村人は光達への協力を拒否し、光と綱は卜部の行為に激怒する。
だが貞光は、卜部に任せると言って、彼女が何をするのか確認もしなかった光に責任があると言った。その言葉を聞いて反省した光は卜部に詫び、島へ渡るための知恵を貸して欲しいと頼んだ。
その夜卜部は、この地の住民の恋人の逢い引きの歌から、潮の満ち引きの関係で島へ渡る道が満月の夜に出来上がることに気が付いた。光達は、その道を辿って呪い島へと向かう……。

Explanation

頼光伝説に登場する頼光四天王の一人、卜部季武うらべのすえたけ登場。勿論本来の伝承では卜部は男であり、『怪童丸』でも男だった(しかも坊主)。『今昔物語』では卜部季武が主人公の、美濃国の川に出る産女の妖怪の話がある。
『お伽草子』では卜部は、本名を明かして呪いをかけられるのを避けるため、男の偽名を使っているという設定になっている。
記憶の森~昔が原~

附子ぶすとはトリカブトの事であり、トリカブトにはアルカロイドの一種であるアコニチンという毒が含まれていて、誤食すると嘔吐、下痢、呼吸困難などから死に至ることもある。これは多くの民族が、狩猟の時の矢の毒に使っていた。因みにソクラテスが自殺に使った毒も、毒人参に含まれるコニインというアルカロイドだった。
アコニチンの致死量は3mgから6mg。アニメ劇中であんな場所から撒いて下の人間を殺すには、相当な量を散蒔かないとならないはず。接種後15分から30分で症状が発生する。(第二次大戦中にドイツ軍が行なったらしい)人体実験の結果では、約2時間で死に至ったという。
附子という狂言は有名だろう。主人から「附子の入った桶があるので近付かないように」と言われた冠者二人が恐る恐るその桶に近付いてみると、それの中身は実際には砂糖だった。冠者は大喜びで砂糖を全部食ってしまうが、その言い訳に主人の宝物を壊し、「大切な宝物を壊してしまい、死んでお詫びしようと思って附子を食ったが死ねない」と主人に言ったという。そしてその後二人の冠者は怒り狂った主人に「じゃあ私が殺してやる」と斬り殺された……という結末にはなっていないのが不思議なところ。
更についでに言うと、附子とは女性の容姿が醜いという意味の“ぶす”の語源でもある。附子を飲んだ人間の神経が麻痺して無表情になっているような女(もしくは男)……という意味。

潮の満ち引きによって道が現われるというのは良くある話だが、特に有名なのは安芸の宮島だろう。設定的には、劇中の呪島と宮島は関係ないと思うが。

I.G - Otogizoushi - 第5話 紹介

第四幕 羅城門 解説へ
第六幕 呪島 解説へ

 

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