人狼 JIN-ROH

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人狼(じんろう) JIN-ROH

ストーリー

首都圏治安警察機構、通称“首都警”は、首都の治安を守るために設立された、警察庁(自治体警察)とは独立した警察組織である。そして首都警警備部の特殊機甲大隊、通称“特機隊”は、重武装で犯罪者に立ち向かう精鋭部隊であった。だが、世論は次第に彼らの行き過ぎた武闘路線を責め、首都警は世論の批判を集めていた。
一方、首都警の公安部は、批判の矢面に立たされている特機隊を切り捨て、自治体警察と組織的統合を果たすことを画策していた。こうして首都警は世論や自治体警察だけではなく、同じ首都警の公安部とすら対立していたのである。

そんな中、首都圏治安警察機構特殊機甲大隊前衛隊員・伏一貴は、反政府ゲリラ掃討作戦中に一人の少女に遭遇する。少女は爆弾を抱えているが伏は撃つのを躊躇い、少女は自爆してしまった。
伏はその責任を追及され、首都警養成校の再教育課程に送られることになる。そして伏が自爆した少女の墓地に赴くと、そこにはあの少女と非常によく似た少女が立っていた。死んだ少女、七生の姉の圭である。
圭は伏を責めることは全くせず、二人は心を通じ合わせるようになる。密会を重ねる彼らだが、その背後では特機隊潰しを画策する首都警公安部の策謀が動き、彼らを運命の奔流の中へ投げ込むことになる。

概要

紅い眼鏡』、『ケルベロス 地獄の番犬』、『犬狼伝説』で語られてきた、ケルベロス・サーガの初のアニメ化作品がこの『人狼 JIN-ROH』である。

押井守がバンダイビジュアルとのミーティングに呼ばれ、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の企画が提示された。だがその時押井の鞄の中には結局提出されなかった企画書があり、それが『犬狼伝説』のアニメ化の企画だったのである。
その後、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』が完成に近付きつつある頃、再びこの『犬狼伝説』アニメ化の企画が動き出した。当初は当時コミック化されていた『犬狼伝説』全6話をOVAでやるという話だったのだが、どうせならしっかりしたものを作ったほうが良いということになり、劇場版を作ることにった。それなら新たに脚本を起こさねばならなくなるが、押井守脚本の押井守監督作品というものにバンダイビジュアルなどが難色を示した(押井守が暴走するのを恐れたのだろう)。いつも押井守監督作品で脚本を書いている伊藤和典は『犬』には手を出さないことにしているし、押井は別の人に、押井自身の世界であるこの物語のの脚本を任せるつもりもなかった。そこで押井氏は自分が脚本を書くかわりに監督は別の人に任せろという条件を呑んだのだが、そこで監督として白羽の矢が立ったのが、『OVA版犬狼伝説』のうちの1話を任されるはずだった沖浦啓之である。
沖浦はOVAから突然劇場作品になったことに驚き躊躇した。そこで沖浦は押井に、「若いキャラクターを出すこと」などの、脚本に対しての注文を付けたのである。恐らく押井はその要求を拒むだろうから、そうすればそれを口実にして沖浦は監督を降りる心算だったらしい。
ところが押井はその脚本についての要求をあっさりと呑んでしまい、沖浦も後には引けなくなった。押井氏は脚本を上げると後のことには全く関与せず沖浦氏に任せ、こうして押井守原作・脚本、沖浦啓之監督の映画『人狼 JIN-ROH』が作られることになる。

……というのが色々な雑誌などに掲載された情報を元にした、『人狼』製作の経緯のようだ。

映画は1998年末には完成した。だが配給の問題で公開はずるずると遅れることになる。松竹の経営危機やDTS対応映画館(『人狼』はDTSで収録された)の確保の難しさなどがその原因であったらしい。
一方、釜山ファンタスティックアニメーションフェスティヴァル(韓国)、99年ベルリン国際映画祭(ドイツ)、ファンタスポルト 1999(ポーランド)、ブリュッセル国際ファンタジー・SF・スリラー映画祭(ベルギー)、アンシー国際アニメーションフェスティヴァル(フランス)、UCLA(カリフォルニア大学ロスアンジェルス校)アニメフェスティヴァル(アメリカ)、シンガポール映画祭(シンガポール)、モントリオールFANT-ASIA映画祭(カナダ)と世界各地の映画祭で公開され、ファンタスポルト 1999ではJury's Special Award(審査員特別大賞)及びAward for the Best Anime(最優秀アニメーション賞)を受賞され、その他の映画祭でもいろいろ賞を獲得。1999年12月にはフランスで公開されてル・モンド(Le-Monde)の一面に写真付きで紹介され、2000年2月にはドイツでの公開も決定した。
日本では毎日新聞の毎日新聞映画賞でアニメーション賞を獲得することになる。他のエントリー作品が全て既に公開済みなのに対して、『人狼』のみが未公開という状況の中での「珍事」であった(規定で、ノミネートできるのは公開された作品のみとなっているのだが、アニメに関してだけは実験アニメなどの為の配慮だろう、公開前の作品でもエントリー可能となっている)。

日本の一般に対する初公開は、かつて『ケルベロス 地獄の番犬』が公開されたゆうばり国際ファンタスティック映画祭となった。劇場公開は2000年初夏にテアトル新宿、テアトル梅田、名古屋シルバー劇場を始めとしたテアトル系で、そしてミニシアター系を中心として公開。上映が非常に好評なため、当初の予定より大幅に公開館は拡大された。

その後DVDとLDが発売される。ちなみに『人狼』のLDは、バンダイビジュアルが発売する最後のLDメディアとなった。

このアニメーションは“最後のセルアニメ大作”と呼ばれている。事実、セル撮影のアニメとしては最大最後の作品であろう。天才的アニメーター沖浦啓之によるこだわりが生み出したこの映画、その作画の技術力、レヴェルは、市場最高級のものとなっている。

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人狼 JIN-ROH (Blu-ray Disc)
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Blu-ray DiscとDVDの同梱版、Blu-ray単体版の2種。

DVD

人狼 JIN-ROH
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5.1chドルビー・ディジタル音声(日本語及び英語)とドルビー・サラウンド音声、日本語字幕及び英語字幕収録。(楽天で検索


人狼 JIN-ROH DTS Edition
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5.1chDTS音声と2chドルビー・サラウンド音声収録。スタッフインタヴュー・メイキング収録DVD及び脚本、絵コンテ集付属。2001年12月21日までの期間限定生産。(楽天で検索

CD

人狼 JIN-ROH ― オリジナル・サウンドトラック
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書籍

人狼―Behind of the screen
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『人狼』では映画館でのしっかりしたパンフレットは作られないことになった。予算の問題だの何だのあったようだが、その結果映画館では「マスコミ配布用のプレスシートを500円で売って暴利を貪り」「しかも中でネタばれしてどうする」(沖浦氏の談)という悲惨なものだった。
そこで文章として記録に残るものを作ろうということでI.G内部で作られたのがこの本であるようだ。はっきり言ってこの本は貴重である。目次を見て貰えば判ると思うが、人狼のあらゆる工程のスタッフのコメントが記載されているのだ。
一つのアニメーションの制作をこのように全て追う形で作られた本というのは今までに無いのではなかろうか。恐らく製作者サイドが作った結果というのもあるのであろう。これは『人狼』だけではなく、アニメーション製作を見るという点においても非常に面白い本で、文字も多くて読み応えもある。


人狼マニアックス
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角川書店から出版されたもう一つの『人狼』本である。
この本では先に出たBEHIND OF THE SCREENに比べてビジュアルが重視された構成になっているが、決してそれが内容の薄さを意味するものではない。BEHIND OF THE SCREENの事を意識しつつ、重複を避けようとする意図が伺える。特に押井氏の『人狼』脚本の初稿が掲載されているのが貴重。この初稿と完成した人狼を見比べる事によって、沖浦氏の意図が見えてくる。


Last-modified: 2008-06-21 (土) 16:44:53 (108d)
野良犬の塒