#author("2023-08-03T11:12:43+09:00;2023-04-16T16:11:28+09:00","","")
#author("2024-01-27T00:08:32+09:00;2023-04-16T16:11:28+09:00","","")
* エーオメル [#a91c0c33]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Éomer|
|~異訳|エオメル|
|~その他の呼び名|エーオメル・エーアディグ、エアディグ(Éomer Éadig)((マークの王としての名。"Éadig"は[[古英語]]で「幸多き」の意。))|
|~種族|[[人間]]([[ロヒルリム]])|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2991年~[[第四紀]]63年秋(享年93)|
|~親|[[エーオムンド]](父)、[[セーオドウィン]](母)、[[セーオデン]](養父)|
|~兄弟|[[エーオウィン]](妹)|
|~配偶者|[[ロシーリエル]]|
|~子|[[エルフウィネ]]|

** 解説 [#Explanation]

|>|>|~[[リダーマーク]]の王|h
|CENTER:第17代&br;[[セーオデン]]&br;2980~3019|CENTER:第18代&br;''エーオメル''・エーアディグ&br;[[第三紀]]3019年3月15日~[[第四紀]]63年秋(65年間)|CENTER:第19代&br;[[エルフウィネ]]&br;63~?|

[[マーク(ローハン)>ローハン]]の王[[セーオデン]]の妹[[セーオドウィン]]と、軍団長[[エーオムンド]]の息子(つまりセーオデンの甥にあたる)。[[エーオウィン]]の兄。戦いにおいては[[グースヴィネ]]という剣を使い、[[火の足]]という[[馬]]に乗っていた。
[[指輪戦争]]では[[ロヒルリム]]を率いて[[角笛城の合戦]]や[[ペレンノール野の合戦]]で戦い、[[ペレンノール]]で戦死した伯父セーオデンからマークの王位を継承。[[アラゴルン二世]]とは強い友情を育み、彼の決断に従って[[黒門の戦い]]にも参加した。
この戦いにも生き残ったエーオメルは、マーク王家第三家系の始祖となった。

*** 幼少期から[[指輪戦争]]直前まで [#b0bed1ec]

[[第三紀]]3002年に父[[エーオムンド]]が[[オーク]]に殺され、母[[セーオドウィン]]もすぐ病を得て亡くなると、エーオメルはエーオウィンと共に[[セーオデン]]に引き取られ、彼の養子として[[エドラス]]で育てられる。
エーオメルは長じると、父の役職を次いで東マークを統括する第三[[軍団>エーオレド]]の軍団長として、[[フォルデ]]の[[アルドブルグ]]に本拠を持った。彼より13歳年上の従兄[[セーオドレド]]とは強い友情で結ばれており、エーオメルは彼をセーオデンに次いで尊敬していたという。
セーオデンが[[サルマン]]の間者[[グリーマ]]の術策によって耄碌しても、セーオドレドとエーオメルの王に対する忠誠心はいささかも揺るがず、また互いの信頼関係も揺るがなかった。そのためグリーマは、可能な限りこの二人(特にエーオメル)が王からの信頼を失うよう仕向けようとしていた。

*** [[角笛城の合戦]]前後 [#i99045e5]

[[第三紀]]3019年([[大いなる年>大いなる年#Year3019]])2月26日に、[[オーク]]の一団が[[イーストフォルド]]に侵入したとの報を受けたエーオメルは、[[エドラス]]からの命令を無視して自らの[[エーオレド]]を引き連れて討伐に乗り出し、かれらを追跡して29日の夜明け前に[[ファンゴルン]]の森のきわで追い詰め、包囲して殲滅する。
翌日、捕虜にされた[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]と[[ピピン>ペレグリン・トゥック]]を救出するためオークを追っていた[[アラゴルン二世]]、[[レゴラス]]、[[ギムリ]]の一行に行き会う。はじめは見知らぬよそ者に警戒心を示したが、アラゴルンが[[エレンディル]]の世継であることを名乗り、誘拐された友人二人を助けるためにローハンの平原を踏破してきたことを聞かされると、後で必ずエドラスに立ち寄るよう約束させるのみでかれらを見逃し、さらに[[馬]]([[ハスフェル]]と[[アロド]])を貸し与えた。
またこの時、[[ロスローリエン]]の森の[[奥方>ガラドリエル]]のことを'''網を編み、魔術を行う'''等と悪しざまに口にしたために[[ギムリ]]の怒りを買う。

エドラスに戻ったエーオメルは、命令に反してオークを追跡するために東マークの軍勢を連れ出しエドラスの防備を疎かにしたこと、よそ者を捕らえず国内を通行するのを見逃したこと、さらに彼らに馬まで貸したこと、といったかどで[[グリーマ]]に告発される。さらに、グリーマが[[エーオウィン]]を我が物にしようと狙っていることを知っていたエーオメルは、宮廷内で剣を抜きグリーマを切り捨てようとする。そのため、グリーマの言いなりになった[[セーオデン]]の命によって投獄された。
アラゴルンらとともにエドラスを訪れた[[ガンダルフ]]の手によってセーオデンが癒され、グリーマの呪縛から解放されると、エーオメルも釈放される。エーオメルはセーオデンの信頼を取り戻し、軍事上の第一の相談役として王に付き添うこととなり、またセーオデン亡き後の王位継承者に指名された。

セーオデンに付き従って[[ヘルム峡谷]]まで軍を進めたエーオメルは、[[角笛城]]の防衛を事実上指揮し、自らの手勢を峡谷を塞ぐ[[奥出での防壁]]に主に配置して[[アイゼンガルド]]の軍勢に備えた。攻撃が開始されると、しばしば[[アラゴルン>アラゴルン二世]]と共に奮戦し、城門に攻め寄せる敵部隊を押し戻して活躍した。

>エーオメルとアラゴルンは裏口から飛び出しました。そのすぐあとには部下たちが続きました。二本の剣はあたかも一本の剣のように同時に&ruby(さや){鞘};から抜かれてきらめきました。
「[[グースヴィネ]]!」と、エーオメルが叫びました。「[[マーク>ローハン]]にはグースヴィネ!」
「[[アンドゥーリル]]!」と、アラゴルンが叫びました。「[[ドゥネダイン]]にはアンドゥーリル!」((『[[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』「ヘルム峡谷」))

奥出での防壁の暗渠が[[オルサンクの火>爆破用の火]]によって爆破され、峡谷内まで敵が流れ込んでくると、エーオメルは[[ギムリ]]、[[ギャムリング]]らと共に本陣から分断され、峡谷の[[燦光洞]]まで撤退する。だが夜明けとともにセーオデンが[[ヘルム]]の角笛を吹き鳴らして出撃すると、それに呼応して反撃。敵を[[ヘルムの堤防]]まで押し返し、直後に到着した[[エルケンブランド]]ら[[ウェストフォルド]]の援軍とともにセーオデン、アラゴルンらと再会した。

合戦後も、[[アイゼンガルド]]に向かい[[サルマン]]と対話するセーオデンに同行した。

*** [[ペレンノール野の合戦]]前後 [#hb28ed01]

[[パランティール]]の判明、[[ナズグール]]の飛来、[[北方の野伏>野伏]]の到着といった事件が重なったことで、[[アラゴルン>アラゴルン二世]]は[[ロヒルリム]]から別行動を取り[[イシルドゥル]]の世継として[[死者の道]]を行くことを決意([[灰色の一行]])。エーオメルとアラゴルンは戦場で再会することを期するが、死者の道の不吉な伝承を良く知るエーオメルはそれを絶望視していた。
[[やしろ岡]]に集結した[[ローハン]]軍は、そこから約6000騎が長征に加わり、[[赤い矢]]で援軍を要請してきた[[ゴンドール]]に応えるため[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]を目指す。

[[ドルーアダンの森]]の[[ドルーエダイン]]の酋長[[ガーン=ブリ=ガーン]]の援助を得た[[ロヒルリム]]は[[西街道]]の敵に気取られることなく、[[石車谷]]を通って[[ランマス・エホール]]の防壁に到達。そこから曙光と共に[[ペレンノール]]野へ突撃したローハン軍は戦いの歓びに高らかに歌いながら戦場を席巻し、敵の手に落ちていたペレンノールの半分を掃討する。
だがその中で、[[セーオデン]]は[[魔王]]の攻撃によって命を落とす。率いる[[エーオレド]]と共に今際のセーオデンの許に辿り着いたエーオメルは、その場で彼からマークの王位を譲られた。
ところが、セーオデンの周囲で倒れ伏している従者の亡骸を確認している途中、そこに[[エドラス]]に残してきたはずの妹[[エーオウィン]]が横たわっていることに気付いてしまう。魔王に打撃を与えたために[[黒の息]]に冒され、一見すると死んだようになっている彼女の姿を見て衝撃と激怒に駆られたエーオメルは、周囲の意見も聞かず馬に打ち跨って狂ったように戦場に取って返した。

>「エーオウィン、エーオウィン!」ようやくかれは声を発して叫びました。「エーオウィン、どうやってここに来たのだ? 何という狂気の&ruby(さた){沙汰};だ、それとも悪魔のしわざか? 死だ、死だ、死だ! 死がわれら全員を奪うのだ!」 ……
「死だ! 進め、進め、破滅に向かって、この世の終わりに向かって!」
 そしてその呼びかけとともにローハン軍は動き始めました。しかしロヒルリムはもう歌いませんでした。「死だ!」かれらは&ruby(いくどうおん){異口同音};に大きなすさまじい声で叫びました。そしてまるで大きな津波のようにしだいに速さを増し、かれらの戦いの場はかれらの死せる王の周りをかすめ通って去り、蹄の音を&ruby(とどろ){轟};かせて南の方に駆け去って行きました。((『[[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』「ペレンノール野の合戦」))

恐るべき怒りに駆られたロヒルリムの軍勢は敵軍の前線を潰滅させ、[[ハラドリム]]の軍勢を二分して通り過ぎ、騎兵を敗走させ歩兵を全滅させるなどすさまじい戦いぶりを示したが、[[ムーマキル]]の恐怖に対しては馬は無力で打ちかかることができず、ムーマキルの周囲に敵軍が再集結しつつあった。さらに[[オスギリアス]]からは新手が送り込まれ、[[ハルロンド>ハルロンド(ゴンドール)]]には[[海賊]]の艦隊が停泊しようとしていた。それを見て取って望みを失ったエーオメルは、むしろ覚悟を決めて明晰さを取り戻し、沸き起こる戦意のために[[悲壮な詩句>エーオメル覚悟の歌]]を口ずさんで笑う。

しかしそこで停泊した海賊船に搭乗していたのは、[[ゴンドール]]の[[辺境の諸侯国]]の兵を引き連れた[[アラゴルン二世]]であり、エーオメルとアラゴルンは再び戦場で再会した。
この援軍が決定打となって合戦の流れは変わり、[[モルドール]]とその同盟軍はほとんどが追い詰められて殲滅された。

*** [[黒門の戦い]]と[[指輪戦争]]の終結後 [#g3b1b747]

[[アラゴルン二世]]のテントで開かれた最終諸侯会議で[[黒門]]への攻撃が決定されると、エーオメルは麾下の[[ロヒルリム]]歩兵500名と騎兵500騎を率いて[[西軍]]に参加することが決まった。そのほか生き残った3000騎の騎兵は[[エルフヘルム]]に預けられて[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]に残り、[[アノーリエン]]に残存する敵兵力から都を防衛する任に当たることになった。
西軍は黒門まで進軍し、[[ローハン]]の兵達は[[ドル・アムロス]]の兵達と共に、[[燃えかすの山]]の一方の小山に布陣した。

エーオメルはこの戦いに生き残り、ローハンの新たな王(エオル王家の第三家系)として凱旋することができた。エーオメルとローハンは即位した[[エレッサール王>アラゴルン二世]]からあらためて[[カレナルゾン]]の地を永久に与えられ、その同盟の誓いを新たにした。
エーオメルはエレッサール王の戴冠式に参列した後、戦後処理のため[[エーオウィン]]やロヒルリムらと共に5月8日にローハンに帰郷。その後、ミナス・ティリスの[[ラス・ディーネン]]に一時的に安置されていた[[セーオデン]]の棺台を引き取るため、7月18日にミナス・ティリスを再訪。その時、エレッサール王の婚儀のためにミナス・ティリスにやってきていた[[ガラドリエル]]と[[アルウェン]]に出会う。さらに、[[ギムリ]]とのガラドリエルを巡る確執で和解して決着を付けた。
7月22日にはセーオデンの葬列と共にエーオメルらとエレッサール王、さらに[[裂け谷]]や[[ロスローリエン]]のエルフと共に[[エドラス]]へ向けて出発。8月10日に[[エドラス]]でセーオデンの葬儀が執り行われた。その日の追悼宴の最後に、エーオメルはエーオウィンと[[ファラミル]]の婚約を発表した。

エーオメル王は[[指輪戦争]]終結後も[[エオルの誓い>ケレブラントの野の戦い#OathofEorl]]を果たすためにロヒルリムの軍勢を指揮し、エレッサール王の軍とともに、西方世界の敵たちと戦った。ローハンは待ち望まれた平和を謳歌できるようになり、人口も馬の数も増えた。
[[第三紀]]3021年には[[イムラヒル]]大公の娘[[ロシーリエル]]と結婚し、後に息子[[エルフウィネ]]が生まれた。

晩年の[[第四紀]]63年の春、エーオメル王はもう一度[[ホルドウィネ>メリアドク・ブランディバック]]に会いたい旨の伝言を[[バック郷]]に送り、すでに老齢だが矍鑠としていた[[メリアドク・ブランディバック]]を[[ペレグリン・トゥック]]と共に呼び寄せる。同年の秋にエーオメル王は薨じ、それまで2人のホビットは[[エドラス]]にいたという。
エーオメルの治世は長命王[[アルドル]]に次ぐ65年に及んだ。王位は息子の[[エルフウィネ]]が継承した。

***画像 [#w325deb9]

&ref(tumblr_mhrv5yPeYj1s0s8f0o3_250.jpg,,50%,);

*** 関連項目 [#ed9ee7b4]

-[[At Théoden's Death]]
-[[エーオメル覚悟の歌]]

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[カール・アーバン]]|
|~日本語吹き替え|[[山寺宏一]]|

字幕及び吹替での名前は『[[指輪物語]]』書籍[[新版]]に従い''エオメル''。
[[グリーマ]]の策略によって、投獄ではなく追放されたことになっている。
[[角笛城の合戦]]では、[[エルケンブランド]]の代わりに城外から[[ガンダルフ]]とともに救援に来る立場になったこともあり、[[アラゴルン>アラゴルン二世]]との友情の話は大幅にカットされた(アラゴルンと共に戦う場面がない)。また[[セーオデン]]との会話シーンも少なく、特に『[[王の帰還>指輪物語/王の帰還]]』では、[[ペレンノール野の合戦]]でのセリフがほとんどない(セーオデンのセリフに流用されている)うえ、セーオデンがエーオメルに王位を譲るセリフもないため((それ以前に[[やしろ岡]]のシーンで、[[セーオデン]]は自分の死後[[エーオウィン]]を継承者とするような発言をしている。))、原作よりも存在感が薄くなってしまっている。

*** 画像 [#c632ff72]

&ref(vlcsnap-00025.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるエーオメル); &ref(vlcsnap-00033.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるエーオメル);

*** グッズ [#qb1fb89c]

#amazon2(B0002ZGVEW)
#amazon2(B07H3FGXLK)
#amazon2(B0006FUE28)
#amazon(B0002ZGVEW)
#amazon(B07H3FGXLK)
#amazon(B0006FUE28)

** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

&ref(ScreenShot00654.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるエーオメル);

** コメント [#Comment]

#pcomment(,,,,,,reply)