* トゥーリン [#p890cce9]
** 概要 [#r6dd2959]

|~カテゴリー|人名|
|~スペル|Túrin|
|~その他の呼び名|ネイサン、ゴルソル、アガルワイン、アダンエゼル、モルメギル、スリン、森野人、トゥランバール|
|~種族|[[人間]]([[エダイン]])|
|~性別|男|
|~生没年|[[第一紀]]|
|~親|[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]](父)、[[モルウェン>モルウェン(バラグンドの娘)]](母)|
|~兄弟|[[ラライス]](妹)、[[ニエノール]](妹)|
|~配偶者|[[ニエノール]]|
|~子|なし|

** 解説 [#e4a1a885]

[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]と[[モルウェン>モルウェン(バラグンドの娘)]]の息子。[[ラライス]]、[[ニエノール]]の兄。[[人間]]の[[ハドル>ハドル(ハソルの息子)]]王家の裔の一人。
[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]と[[モルウェン>モルウェン(バラグンドの娘)]]の息子。[[ラライス]]、[[ニエノール]]の兄。[[トゥオル]]の従兄弟。[[エダイン]]の家系である[[ハドル家>ハドル(ハソルの息子)#q65837b9]]の正統な嫡子であった。

[[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]と並んで知られる[[第一紀]]の[[人間]]([[エダイン]])の英雄(('''「古の[[エルフ]]の友の英雄たち、[[ハドール>ハドル(ハソルの息子)]]、[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]、トゥーリン、そして[[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]自身がみな、より集うとしたら、あなたの席はかれらの間に加えられるだろう。」'''『[[旅の仲間]]』[[フロド>フロド・バギンズ]]が[[一つの指輪]]を[[滅びの山]]へ持っていく任務に立候補したときの[[エルロンド]]の台詞))で、[[ナルン・イ・ヒーン・フーリン]]という歌物語(『[[シルマリルの物語]]』第21章および『[[The Children of Húrin]]』)の主人公。[[グラウルング]]を打ち倒すなどの功業を上げ、数々の敵を討ち滅ぼしたが、彼の行動はその多くが裏目に出て、彼自身や彼の周りの人々に不幸を招くことになってしまった。

*** 幼少期 [#d01be5da]

[[ドル=ローミン]]で、ベレンと[[ルーシエン]]が出会った年に生まれる。幼い頃にフーリンが行方不明になって、ドル=ローミンが[[東夷]]の脅威にさらされると、母のモルウェンによってドル=ローミンから送り出される。彼は[[ゲスロン]]と[[グリスニア]]に護衛されて[[ドリアス]]へ向かった。

*** ドリアスでのトゥーリン [#qdcd6e87]

トゥーリンたちは[[ドリアス]]の国境の森までたどり着いたものの、[[魔法帯]]の力に阻まれてさ迷い、力尽きかけていた時に[[ベレグ>ベレグ(ドリアス)]]と出会って[[メネグロス]]に案内された。[[シンゴル]]は[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]に敬意を表してトゥーリンを自らの養子とした。トゥーリンはこの地で成長し、ベレグの戦友として、彼と共にドリアスの国境で戦うようになる。
だがある時、[[メネグロス]]に戻っていたトゥーリンは、シンゴルの相談役の一人で、彼の集める尊敬や功績を妬んでいた[[サイロス]]という[[エルフ]]と些細な出来事から諍いを起こし、家族を侮辱されたトゥーリンは彼に杯を投げつけた。これを恨んだサイロスは、翌日森の中でトゥーリンを襲うが彼に撃退され、サイロスは逃げている途中で川に落ち、岩に激突して死んでしまう。トゥーリンは、この罪により囚われの身になることを拒み、ドリアスから逃亡した。

*** ガウアワイスの無法者として [#x7d503b1]

トゥーリンは[[テイグリン]]川の南の森で無法者の集団[[ガウアワイス]]に遭遇するが、武勇を認められ彼らの仲間となる。トゥーリンは「不当に扱われたる者、恵まれざる者」の意であるネイサンと名乗るようになった。その後、トゥーリンは[[ラルナハ]]の娘を襲おうとしていたガウアワイスの首領[[フォルウェグ]]を殺し、自ら新たなガウアワイスの首領となった。

ある時彼は[[オルレグ]]と共に偵察に出ていた。オルレグが[[オーク]]に殺されてトゥーリンが一人でガウアワイスの仲間の元に戻ったとき、[[ベレグ>ベレグ(ドリアス)]]が[[アンドローグ]]らに捕らえられているのを発見する。ベレグは、トゥーリンを赦してドリアスに連れ戻すべく、シンゴルの命によってドリアスから派遣されていたのである。
だがトゥーリンは誇りのためにシンゴルの許しを拒み、ベレグを一人でドリアスに帰した。この時トゥーリンは「[[アモン・ルーズ]]に自分を捜せ」とベレグに予言している。

その後トゥーリンはガウアワイスを率いて、途中捕らえた[[小ドワーフ]]の[[ミーム]]の案内でアモン・ルーズの隠れ家[[バル=エン=ダンウェズ]]に住み着くようになった。そこにベレグが再び現れ、ドリアスに戻るようにトゥーリンをもう一度説得する。だがトゥーリンはやはり聞き入れず、説得に失敗したベレグは彼への愛情に負け、分別に背いてトゥーリンの元に留まった。
この地でトゥーリンは、ベレグの持ってきたドル=ローミンの[[龍の兜]]を身につけ、ベレグと共に[[モルゴス]]の手下と戦うようになった。そのためアモン・ルーズの周辺は[[ドル=クーアルソル]]と呼ばれるようになり、モルゴスを敵とする人々もトゥーリンとベレグの元に集まってきた。
だが、あるときミームがオークに捕らえらると、ミームに案内されたオークによってアモン・ルーズの隠れ家が攻撃され、ガウアワイスはほとんどが殺されてトゥーリンはオークに捕らえられた。
その後、オークに連行されているとき、トゥーリンは彼を救出に来たベレグに助け出される。だがトゥーリンは、暗闇の中でベレグを敵と見誤り、彼の剣[[アングラヘル]]を奪って斬殺してしまう。

*** ナルゴスロンドのトゥーリン [#y3a4c19f]

トゥーリンは[[ベレグ>ベレグ(ドリアス)]]を誤殺した衝撃で茫然自失したまま、ベレグと共にトゥーリンを救出に来た[[グウィンドール]]に案内されて[[ナルゴスロンド]]に向かうが、その途中、グウィンドールの導きで[[エイセル・イヴリン]]の泉の水を飲み、癒されて正気を取り戻した。この時トゥーリンはベレグを悼んで[[ライア・クー・ベレグ]]と名づけた歌を歌った。

ナルゴスロンドではアガルワインと名乗って[[オロドレス>オロドレス(フィナルフィンの息子)]]に仕えた。ナルゴスロンドの刀鍛冶たちによってアングラヘルが[[グアサング]]として鍛えなおされると、それを振るって戦功を上げたため、彼自身が「黒の剣」の意であるモルメギルと呼ばれるようになった。
オロドレスの娘でグウィンドールの恋人だった[[フィンドゥイラス>フィンドゥイラス(オロドレスの娘)]]はトゥーリンに思いを寄せるようになるが、トゥーリンはそのことに気づかなかった。

やがてトゥーリンは、オロドレスに重用されるようになる。しだいに彼の影響でナルゴスロンドの軍隊は隠れ潜むことを止め、堂々と戦いに出るようになる。だがこのため、それまで隠されていたナルゴスロンドの場所はモルゴスに突き止められてしまう。[[グラウルング]]と[[オーク]]の大軍に攻め寄せられて[[トゥムハラド]]の合戦でオロドレスは討ち死にし、ナルゴスロンドは陥落した。
[[トゥーリン]]はかろうじて瀕死のグウィンドールを救出する。その時グウィンドールは、フィンドゥイラスのみがトゥーリンを凶運から救うことができると予言し、フィンドゥイラスを救うよう頼んで息絶えた。ナルゴスロンドに向かったトゥーリンは、そこにいたグラウルングに立ち向かおうとしたが、グラウルングに呪いをかけられて追い払われてしまう。
判断力を失ったトゥーリンは、目の前に捕虜として連れ去られていこうとするフィンドゥイラスがいたのにもかかわらず、母の[[モルウェン>モルウェン(バラグンドの娘)]]と妹の[[ニエノール]]が危険だと思い込み、[[ドル=ローミン]]に急行してしまう。

***ドル=ローミンへの旅 [#obec7353]

[[ドル=ローミン]]にたどり着いたトゥーリンは、かつてフーリンの屋敷に使えていた[[サドル]]と再会する。サドルの話を元に、トゥーリンはモルウェンとニエノールの行方を尋ねるが、[[東夷]]の[[ブロッダ]]の妻でモルウェンたちを援助していた[[アイリン]]から、モルウェンたちが既にドリアスに逃げたことを知ったとたん[[グラウルング]]の呪縛が解けた。自暴自棄になったトゥーリンは、モルウェンたちを虐待していたブロッダを投げ飛ばして死に至らしめ、ブロッダの客だった他の東夷の族長たちを斬り捨てた。彼は[[ハドル]]家の生き残りたちの助力でかろうじてドル=ローミンから脱出した。

それからトゥーリンは連れ去られた[[フィンドゥイラス>フィンドゥイラス(オロドレスの娘)]]を探すが、途中で出会った[[ブレシル]]の男たちから、フィンドゥイラスは既に殺され、[[テイグリンの渡り瀬]]の近くの塚に葬られたことを知らされた。

*** ブレシルのトゥーリン [#g9308a8a]

彼は絶望のあまり一時は衰弱したが[[ブレシル]]の人間に救われ、トゥランバールを名乗ってブレシルで生活するようになった。
やがて彼は記憶を失い[[フィンドゥイラスの塚>ハウズ=エン=エルレス]]で行き倒れになっていた[[ニエノール]]を発見する。だが二人は互いに実の兄妹とは気付かず、トゥーリンは名前の無いニエノールをニーニエルと名付け、後に結婚した。

その翌年の春、トゥーリンは廃墟となっていた[[ナルゴスロンド]]から[[グラウルング]]が出撃したことを知ると、これと戦うため出陣。[[カベド=エン=アラス]]で待ち伏せし、トゥーリンはグラウルングに致命傷を与えるが、自分も龍の毒と邪眼によって倒れる。その後意識を取り戻した彼は自力で[[ネン・ギリス]]まで戻るが、自分が気を失っている間に真実を知って自殺したニーニエルのことを知ると、それを認めずニーニエルの死の原因を[[ブランディア]]のせいだと思って彼を殺す。
その直後トゥーリンは[[テイグリンの渡り瀬]]で、グラウルング来襲の知らせを聞いて救援にやってきた[[マブルング>マブルング(ドリアス)]]一行に出会う。その時マブルングに[[ドリアス]]にいるはずの母と妹の消息を訊ね、二人はトゥーリンを探してナルゴスロンドへ向かった時にグラウルングに襲われ、母親の[[モルウェン>モルウェン(バラグンドの娘)]]は行方知れずとなったこと、彼がニーニエルと名づけた娘は、グラウルングに忘却の呪縛をかけられていた実の妹のニエノールだったこと、したがってブランディアを殺したのは不当であり、こうしてグラウルングの呪いが成就したことを知ると、トゥーリンは自らの剣[[グアサング]]で自害した。
[[カベド・ナイラマルス]]となったカベド=エン=アラスには、マブルングらによってトゥーリンとニエノールの墓が作られた。その地は後に、[[トル・モルウェン]]になったと言われる。

*** 多数の名の意味 [#r543f3e8]

:ネイサン (Neithan)|「不当に扱われたる者、恵まれざる者」の意。ドリアスから逃げ出した後、ガウアワイスで名乗っていた名。
:ゴルソル (Gorthol)|恐るべき兜の意。トゥーリンがドル=クーアルソルの地の、二人の大将のうちの一人として得た名。
:ウーマルス (Úmarth) の息子アガルワイン (Agarwaen)|凶運の息子にして血に汚れたる者の意。ナルゴスロンドに来たトゥーリンが自ら称した名。
:アダンエゼル (Adanedhel)|エルフ人間の意。ナルゴスロンドでトゥーリンに与えられた名。トゥーリンが母のモルウェンからエルフと見紛う美貌を受け継ぎ、ドリアスで養育された言葉遣いや物腰は洗練されていて、まるでエルフの公子のように見えたため。
:モルメギル (Mormegil)|「黒の剣」の意。ナルゴスロンドでトゥーリンに与えられた名。トゥーリンが黒い剣のグアサングを使ったため。
:スリン(Thurin)|秘密の意。フィンドゥイラスがトゥーリンに付けた名。
:森野人 (Wildman of the Woods)|トゥーリンがブレシルの人間達に出会った時、自ら名乗った名。
:トゥランバール (Turambar)|「運命の支配者」の意。ブレシルの森で暮らしていた時にトゥーリンが名乗った名。
:ダグニア・グラウルンガ (Dagnir Glaurunga)|グラウルング殺しの意。[[カベド=エン=アラス]]にあるトゥーリンの墓石([[不運なる者たちの墓石]])に刻まれた言葉。

** コメント [#l526bc15]

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