#author("2022-10-23T23:52:59+09:00;2021-11-22T15:30:05+09:00","","") #author("2023-05-19T13:29:49+09:00;2021-11-22T15:30:05+09:00","","") * 紋章 [#i736beed] ** 概要 [#Summary] |~カテゴリー|[[書籍・資料等]]| |~スペル|Heraldic Devices| ** 解説 [#Explanation] このページでは[[ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]が1960年代初めに描いた[[エルフ]]及び[[人間]]の紋章について掲載する。 トールキンはこれらの紋章について以下のルールを示している。 >Women within a circle personal Men within a lozenge general (impersonal) designs or emblems of a family square (or [?] once, circular). The rank was usually held to be shown by number of ‘points’ which reached the outer rim four was prince, 6-8 kings the great ancestors sometimes had as many [as] 16 as in House of Finwë. すなわち以下のようになる。 -個人の紋章は女性が円、男性が菱形の中に収められる。個人用ではない一般的なものや家系の紋章は四角形(かつては円形か)。 -紋章の格は通常、外縁に接する点(ポイント)の数で表される。公子は4個、王は6から8個、偉大な祖先では時にフィンウェ王家のように16個もの数になる。 *** フィンウェ王家、フィンウェ、エルウェ [#zb1b04d5] &ref(Finwe_Elwe_device_TAI191.jpg,,10%,フィンウェ王家、エルウェ);&ref(Elwe_device.jpg,,10%,エルウェ); [[フィンウェ王家>フィンウェ#House]]及び、[[エルウェ(シンゴル)>シンゴル]]個人の紋章。 フィンウェ王家の紋章の説明は「翼ある[[太陽]] フィンウェ王家 [[上級王]]たちに伝わる [[フィンゴルフィン]] [[フィンゴン]] [[トゥルゴン>トゥルゴン(フィンゴルフィンの息子)]]。[[フィナルフィン]]の子孫は青い星を用いた」((Winged Sun – House of Finwe [>Finrod] – descending to High Kings – Fingolfin – Fingon – Turgon. Those – descended from Finarphin – used blue star))。フィンウェ王家(House of Finwe)が[[フィンロド]]王家(House of Finrod)に改められているが理由は不明。太陽は十六分割され、十六枚の翼を持ち、ポイントは16個。 エルウェの紋章の説明は「翼ある[[月]] 黒の上に星々と エルウェ」((Winged Moon – on black with stars – Elwe))。月は八分割され、八枚の翼を持ち、ポイントは8個(明らかに[[フィンウェ]]より格下である)。背景の黒地には五角星が計四個ある。 トールキンはフィンウェ王家の紋章とよく似たデザインの、[[フィンウェ]]個人の紋章も描いている。 &ref(Finwe_device.jpg,,10%,フィンウェ(個人)); *** フェアノール、フィンゴルフィン、フィナルフィン [#p17c2999] &ref(Finarfin_Fingolfin_device_TAI192.jpg,,20%,フィナルフィン、フィンゴルフィン);&ref(Feanor_device.jpg,,10%,フェアノール);&ref(Fingolfin_device.jpg,,10%,フィンゴルフィン);&ref(Finarfin_device.jpg,,10%,フィナルフィン); [[フィンウェ]]の三人の息子の紋章。 長男[[フェアノール]]の紋章。中央にあるのは恐らく彼が作り出した[[シルマリル]]で、それを囲む円と、菱形の外縁に内接する円がある。四つの炎と、八つの光線が内接円に、四つの炎が外縁に接する。揺らめく炎は「火の精」を意味する彼の名と、その激しい気性の象徴か。炎だけを見ればポイントは8個だが、内接円に接する八つの光線を補助的なポイントに含めることが出来るかもしれない。 次男[[フィンゴルフィン]]の紋章の説明は「フィンゴルフィンと彼の家系」((Fingolfin & his house))。フェアノールと同様に二重に円が置かれ、揺らめく炎が内側の円と外縁にそれぞれ八つ接する。ポイントは8個か。 背景の青地には銀の五角星が計四個ある。彼の青と銀の旗に関連があるのかもしれない。((『[[シルマリルの物語]]』では、[[フィンゴルフィン]]と[[フィンゴン]]の旗が「青と銀(blue and silver)」の旗と描写されている。)) 三男[[フィナルフィン]]の紋章の説明は「フィナルフィンと彼の家系 特に[[フィンロド]]」((Finarphin & his house esp Finrod))。二人の兄と異なり、揺らめく炎がなく、内部にある円も一つのみ。二人の兄よりも穏やかな彼の気性を表現したものか。ポイントは8個。 *** メリアン [#z1706e7e] &ref(Melian_device.jpg,,10%,メリアン); [[マイエ>マイアール]]である[[メリアン]]の紋章。他の[[エルフ]]の紋章と異なり、文様が多層的。四方への伸び、四角形の構図は娘の[[ルーシエン]]の紋章にも見られる。 [[ベレグ>ベレグ(ドリアス)]]がメリアンから賜った[[レンバス]]を包む葉は、[[テルペリオン]]の花を模した彼女の封蝋で封じられていたとされ((『[[シルマリルの物語]]』「それは銀色の葉に包まれ、それを結ぶ糸の結び目は王妃の封蠟で封印されていた。テルペリオンの一輪の花の形を模した薄い白蠟のシールであった。(wrapped in leaves of silver, and the threads that bound it were sealed at the knots with the seal of the Queen, a wafer of white wax shaped as a single flower of Telperion;)」))、この紋章も同様にテルペリオンの花を模したものなのかもしれない。 *** ルーシエン [#pd14f857] &ref(Luthien_device_TAI195.jpg,,10%,ルーシエン・ティヌーヴィエル(1));&ref(Luthien_device_TAI194.jpg,,10%,ルーシエン・ティヌーヴィエル(2));&ref(Luthien_1_device.jpg,,10%,ルーシエン(1));&ref(Luthien_2_device.jpg,,10%,ルーシエン(2)); [[ルーシエン]]の紋章は花をモチーフとした二種類があり、どちらも[[フェアノール文字]]で''ルーシエン・[[ティヌーヴィエル]]''(Lúthien Tinúviel)と題されている。描かれている白い花はルーシエンが生まれた時に咲いたとされる[[ニフレディル]]と思われる。 片方の紋章には中央に黄色い花が置かれており、これは[[エラノール>エラノール(植物)]]なのかもしれない(([[エラノール>エラノール(植物)]]と[[ルーシエン]]に直接の関連はないが、[[ケリン・アムロス]]では[[ニフレディル]]とエラノールが同時に咲いていた。))。この紋章の背景はルーシエンの父[[エルウェ>シンゴル]]の紋章と同様に黒で、五角星が計四個ある。 *** イドリル [#d3748e5a] &ref(Idril_device_TAI189.jpg,,10%,Menelluin Írildeo Ondolindello);&ref(Idril_device.jpg,,10%,イドリル); [[フェアノール文字]]で''Menelluin Írildeo Ondolindello''すなわち[[クウェンヤ]]で「[[ゴンドリン]]の[[イドリル]]の矢車菊(Cornflower of Idril from Gondlin)」((『[[Pictures by J.R.R. Tolkien]]』で[[クリストファ・トールキン]]はMenelluinをsky blue(空色)と訳している。))と題されたイラスト(日付は1960年12月14日)。矢車菊をモチーフにしたイドリルの紋章で、ポイントは6個あるいは12個か。 説明には「[[ゴンドリン]]から守り通され、[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]から[[ヌーメノール]]へ伝わり、そこから[[エレンディル]]によって救われ、[[ゴンドール]]に持ち込まれた象嵌の記念盾」((Inlaid plaque preserved from Gondolin & descending from Earendil to Númenor, whence it was saved by Elendil & taken to Gondor))、「イドリルの紋章。"矢車菊"の文様メネルルイン。(大抵は品位の落ちた)ヌーメノールの円形文様の起源」((Idril's Device. The “Cornflower” pattern Menelluin. Origin of (often debased) Numenorean circular patterns))とあり、ヌーメノールではこの文様がよく模倣されたことが示されている。 *** エアレンディル、ギル=ガラド [#e66e730c] &ref(Earendil_Gil-galad_device_TAI190.jpg,,20%,エアレンディル、ギル=ガラド);&ref(Earendil_device.jpg,,10%,エアレンディル);&ref(Gil-galad_device.jpg,,10%,ギル=ガラド); 1960年12月13日付けのトールキン宛の封筒に描かれたもの。 封筒の左上に描かれているのは[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]の紋章。紋章の中央は[[エアレンディルの星]](エアレンディルの帯びる[[シルマリル]])、四隅にあるのは[[月]]の月相と思われる。中央の星は六方向に光線を伸ばして内接円に接し、内接円からは逆に中央に向けて伸びた六つの線が内側の円に接する。 他の二つの紋章は[[ギル=ガラド]]のもの。「輝きの星」を意味する名の通り、青い背景に星をちりばめたデザイン。ギル=ガラドの名が添えられた右の方が完成度は高く、構図がより対称である。 『[[終わらざりし物語]]』の「アルダリオンとエレンディス」では、[[タル=メネルドゥア]]が受け取ったギル=ガラドの親書に同様の特徴を持つ紋章((「かれの紋章の、青い菱形の上の白い星で、手紙は封印されていた。(It was sealed and bore his device of white stars upon a blue rondure.)」))が付されていたとある。 『[[終わらざりし物語]]』の「アルダリオンとエレンディス」では、[[タル=メネルドゥル]]が受け取ったギル=ガラドの親書に同様の特徴を持つ紋章((「かれの紋章の、青い菱形の上の白い星で、手紙は封印されていた。(It was sealed and bore his device of white stars upon a blue rondure.)」))が付されていたとある。 *** ベレン、フィンロド [#kc3b816d] &ref(Beren_Finrod_device.jpg,,5%,ベレン、フィンロド);&ref(Beren_device.jpg,,10%,ベレン);&ref(Finrod_device.jpg,,10%,フィンロド); [[ベレン>ベレン(バラヒルの息子)]]の紋章は[[サンゴロドリム]]の三つの峰、一個の[[シルマリル]]、片手が描かれている。 説明には「ベレン・ガムロスト、歴史的記念盾」((Beren Gamlost, historical plaque))とあり、シルマリル探索において片手を失ったベレンの勲を顕彰するものと思われる。 [[フィンロド]]の紋章は他のエルフと異なり、文様ではなく竪琴と松明の図像。『[[Pictures by J.R.R. Tolkien]]』では、フィンロドが[[ベオルの族]]と遭遇した出来事を記念するものと推測されている。 *** ベオル、ハドル、ハレス家 [#w71d7f28] 左から[[ベオル]]、[[ハドル>ハドル(ハソルの息子)]]、[[ハレス家>ハレスの族]]のもの。 &ref(Beor_device.jpg,,10%,ベオル);&ref(Hador_device.jpg,,10%,ハドル);&ref(Haleth_device.jpg,,10%,ハレス家); *** シルマリル [#e95f5acf] 木を背景に三個の[[シルマリル]]が描かれたもの。これを含め、[[フェアノール]]、[[ベレン>ベレン(バラヒルの息子)]]の紋章でもシルマリルは八分割されている。 &ref(Silmarils_device.jpg,,10%,シルマリル); ** コメント [#Comment] #pcomment(,,,,,,reply)