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* セーオデン [#xf9d66cd]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Théoden(([[古英語]]で「一族の首長」の意))|
|~異訳|セオデン|
|~その他の呼び名|セーオデン・エドニュー(Théoden Ednew)&br; 馬乗り人の長老(Father of Horse-men)(([[ガーン=ブリ=ガーン]]が呼んだ名))|
|~種族|[[人間]]([[ロヒルリム]])|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2948~†3019年3月15日(享年71)|
|~親|[[センゲル]](父)、[[モルウェン>モルウェン(センゲルの妻)]](母)|
|~兄弟|[[セーオドウィン]](妹)含め姉妹4名|
|~配偶者|[[エルフヒルド]]|
|~子|[[セーオドレド]](息子)、[[エーオメル]](養子)、[[エーオウィン]](養女)|

** 解説 [#Explanation]

|>|>|~[[リダーマーク]]の王|h
|CENTER:第16代&br;[[センゲル]]&br;2953~2980|CENTER:第17代&br;''セーオデン''&br;[[第三紀]]2980~3019年3月15日(39年間)|CENTER:第18代&br;[[エーオメル]]&br;3019~[[第四紀]]63|

[[ローハン(マーク)>ローハン]]17代目の王。[[センゲル]]と[[モルウェン>モルウェン(センゲルの妻)]]の唯一の息子。[[セーオドウィン]]の兄であり、他に姉が一人と妹が二人いる。[[エルフヒルド]]を妻とし[[セーオドレド]]の父となる。

若年の頃より戦を好む勇猛な武人かつ優れた騎手であった。老境に差し掛かった頃より自らの相談役[[蛇の舌グリーマ>グリーマ]]の奸計を受けて衰退していたが、[[ガンダルフ]]によって癒やされて奮起し、[[指輪戦争]]を戦ったことから、ローハンの伝承では「更生せる(the Renewed)」を意味する''エドニュー''と呼ばれる。
帯びる剣の名は[[ヘルグリム]]、乗馬の名は[[雪の鬣]]。

>白い髪は長く豊かで、幾条にも太く編まれて、額の上にはめられた薄い金の王冠の下から垂れていました。額の真ん中にはたった一つ白いダイヤモンドが光っています。顎鬚が雪のように膝にかかっていました。しかしその目はいまだに炯々たる光を失わず、客人たちを見すえる際にきらりと光りました。((『[[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』「黄金館の王」))

*** ローハンの老王 [#s4b5ee06]

母[[モルウェン>モルウェン(センゲルの妻)]]の故国である[[ゴンドール]]で生まれ、2953年に父[[センゲル]]が[[ローハン]]の王位を継承するまでその地に暮らした。
妹婿の[[エーオムンド]]が[[オーク]]に殺され、最愛の妹[[セーオドウィン]]も病を得て亡くなると、その遺児である[[エーオメル]]と[[エーオウィン]]を養子として引き取り[[エドラス]]で育てた。

(『[[終わらざりし物語]]』によると)66歳の時より病を得て、以降ひどく健康が衰えていくようになる。これはローハンの奪取を狙った[[サルマン]]に買収されて裏切り者となった王の相談役[[蛇の舌グリーマ>グリーマ]]の術策によるものであった。グリーマが注ぎ込む毒の言葉によって自分が年老いて耄碌したのだと思い込んだセーオデンは次第に政務が執れない状態になり、グリーマが王の名の下に王国の実権を握るようになった。

グリーマは[[アイゼンガルド]]の脅威を過小評価するよう誘導し、[[ローハン]]が行動を起こすことを妨げた。そのため[[アイゼンの浅瀬の合戦]]で、セーオデンの一人息子である[[セーオドレド]]は討死してしまう。さらに甥の[[エーオメル]]が[[イーストフォルド]]に侵入した[[ウルク=ハイ]]の一団を討伐するために自らの一存で[[エーオレド]]を出動させると、グリーマは反逆行為だとして彼を告発し、その讒言を容れたセーオデンはエーオメルを投獄してしまう。姪の[[エーオウィン]]はそんなセーオデンを看護し、衰弱して不面目な様態に陥っていく王を間近で見続けることになった。

*** エドニュー [#ac6848b6]

>「ここはそう暗くはない。」とセーオデンがいいました。
「その通り、」と、ガンダルフがいいました。「それに一部の者から思いこまされておいでの程、老齢が殿の肩に重くのしかかっているわけでもないのです。その突かい棒をお捨てなされ!」
王の手から黒い杖が音を立てて敷石の上に落ちました。王は長い間屈み込んで退屈な仕事をしてためにすっかり体がこわばってしまった人のように、ゆっくりと体を伸ばしました。今や王は背を真っ直にして立ち、その背丈は高く堂々と、雲の切れ始めた空をじっと見る目は青く澄んでいました。((『[[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』「黄金館の王」))

[[第三紀]]3019年の[[大いなる年]]、[[ガンダルフ]]、[[アラゴルン二世]]、[[レゴラス]]、[[ギムリ]]の一行が[[エドラス]]にやってくると、セーオデンは彼らを冷淡に迎え、[[グリーマ]]と共にガンダルフを「疫病神」と呼んで非難した。しかしガンダルフはグリーマの毒言からセーオデンを解き放つことで、彼を癒やす。屈めていた背を伸ばし、心労の皺が取り去られたセーオデンはかつての活発さを取り戻した。

統治に復帰したセーオデンは、ガンダルフの忠告を容れて[[グリーマ]]を殺さず追放し、また[[エーオメル]]を自らの右腕にして王位後継者に指名する。
そして[[サルマン]]の脅威を除くべく、自ら軍を率いて[[ウェストフォルド]]に出陣した。道中[[チェオル]]から[[アイゼンの浅瀬]]が突破され、[[エルケンブランド]]が敗走したとの報せを受けたセーオデンは、[[ヘルム峡谷]]の[[角笛城]]に籠城。[[アイゼンガルド]]の軍勢は膨大であったが、セーオデンは夜明けを合図に高らかに角笛を吹き鳴らさせると出撃し、敵を[[ヘルムの堤防]]まで押し戻すことに成功する。そこでガンダルフが呼び集めたエルケンブランドの軍勢と、谷を埋め尽くす[[フオルン]]の大群が加わり、三方から挟み撃ちにされたアイゼンガルドの軍勢は殲滅され、[[角笛城の合戦]]はローハンの勝利に終わった。

合戦で勝利を収めると、セーオデンはガンダルフに連れられて[[アイゼンガルド]]まで出向き、[[サルマン]]の声の魔力を用いた和平の勧誘をきっぱりと拒絶。
この時、[[ロヒルリム]]の間で「ホルビュトラン」として伝承されている[[ホビット]]の[[メリアドク・ブランディバック]]と[[ペレグリン・トゥック]]をはじめて目にした。特に彼らの[[喫煙>パイプ草]]の習慣に興味を抱き、メリアドクとそれについて話を交わすことを約束する。だがそれは結局果たされなかった。

*** 長征と死 [#ra6ab09a]

>疑念から出、暗黒から出て行き、日の上るまで、 王は日を浴びて歌いながら、剣を抜いて馬を駆った。
王は望みの火をふたたび点し、望みを抱きつつ果てた。
死を越え、恐れを越え、滅びを越えて 人の世の生死を抜けて、永久の栄えに上っていった。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]]』「数々の別れ」 [[グレーオウィネ]]の作った[[セーオデンの歌]]。))

勝利も束の間、[[ローハン]]に[[ナズグール]]が飛来したことで、セーオデンは[[エドラス]]凱旋を取り止めて国民が避難する[[やしろ谷]]へ向かうことを決める。その途上で立ち寄った[[角笛城]]で、[[メリアドク・ブランディバック]]を自らの小姓に取り立て、[[小馬]]の[[ステュッバ]]を与えた。
[[やしろ岡]]には既に[[ガンダルフ]]の忠告によってローハン全軍が集結していた。さらにその夜、[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]から[[赤い矢]]を携えた使者[[ヒルゴン]]がやってきて、[[ゴンドール]]が危急の時にあり援軍を要請する[[烽火>ゴンドールの烽火]]が上げられたことが知られる。そのためセーオデンは召集した1万を超す全軍から、国の防衛のために残しておかなければならない人員を除いた約6000名の騎兵を率いて直ちにミナス・ティリスへの長征を開始した。
この時、[[エーオウィン]]に留守を任せ、またメリアドクは迅速な行軍に耐えられないとして、それぞれエドラスに残していくことを決めた。しかしそれはエーオウィンとメリアドクにとっては不服なことであった。

ローハンの軍勢は、途中[[ドルーアダンの森]]で[[ドルーエダイン]]の酋長[[ガーン=ブリ=ガーン]]の協力を得て、敵の待ち伏せを回避し[[石車谷]]を通ってミナス・ティリスへ達する。
[[ランマス・エホール]]の破れ目から[[ペレンノール]]野に入り、ひっそりと展開したローハンの騎士たちだが、[[モルドール]]の大軍に蹂躙される野と都の惨状を目にしてセーオデンは一時怖気づいたかに見えた。だが、にわかに暗雲を運び去る風と光が感じられ、それとともに[[グロンド>グロンド(破城槌)]]によって大門が破壊された轟音が響き渡ると、セーオデンは心を決めて全軍に[[攻撃の号令>ローハン軍進撃の歌]]をかけると、曙光を告げる鶏の声と共に大角笛を吹き鳴らし、先陣を切って戦場に乗り込んでいった。その姿は、かつての[[力の戦い]]における[[ヴァラール]]の偉大な狩人[[オロメ]]を彷彿とさせるものであったという。

[[ロヒルリム]]は戦いの歓びに歌を歌いながらペレンノール野の北半分近くを席巻。さらに[[ハラドリム]]の主力の騎兵が接近すると、セーオデンは多勢に無勢ながら敵陣を打ち破って敵の[[指揮官>黒い蛇]]を討ち取り、さらに敵の旗印を旗手もろとも一刀両断にして勝利を収めた。
だがこの勝利の瞬間に、到来した[[魔王]]が投げかける恐怖の影のためにロヒルリムは浮足立ち、脇腹に黒い矢を受けて倒れた乗馬[[雪の鬣]]の下敷きとなったセーオデンは致死の重傷を負った。
とどめを刺さんと迫る魔王を斃したのは、命令に背いて密かに戦場まで付き従ってきた[[エーオウィン]]と[[メリアドク>メリアドク・ブランディバック]]であった。今際のセーオデンは、看取るメリアドクに別れを告げると、駆けつけた[[エーオメル]]に王位を譲り、すぐそばにエーオウィンが倒れていることを知らないまま彼女の心情を気遣い、身罷った。

*** 死後 [#ze0d354b]

[[指輪戦争]]の終結後、セーオデンの棺はしばらく[[ラス・ディーネン]]に安置されていたが、戦後処理のため一時帰国していた[[エーオメル]]と騎士たちが迎えに来て、葬列とともに[[ローハン]]へ凱旋した(この時[[メリアドク>メリアドク・ブランディバック]]は、小姓としてセーオデンの武器を持ち、セーオデンの棺を運ぶ馬車に同乗した)。そしてセーオデンの棺は[[エドラス]]にある、歴代の王が眠る塚原に塚を築いて葬られ、[[グレーオウィネ]]が作った[[セーオデンの歌]]が歌われた。
セーオデンと共にローハンの第二家系は終わり、王位を継いだ[[エーオメル・エーアディグ>エーオメル]]と共に新たな時代が始まった。

*** 略歴 [#i6ced577]

-[[第三紀]]2948年 生誕。母[[モルウェン>モルウェン(センゲルの妻)]]の生国[[ゴンドール]]で生まれ育つ。
-2953年 5歳。父[[センゲル]]の王位継承と共に[[ローハン]]へ戻る。
-2963年 15歳。末妹[[セーオドウィン]]生まれる。
-2978年 30歳。息子[[セーオドレド]]生まれる。妻の[[エルフヒルド]]亡くなる。
-2980年 32歳。父の死により王位を継ぐ。
-2991年 43歳。甥[[エーオメル]]生まれる
-2995年 47歳。姪[[エーオウィン]]生まれる
-3000年 52歳。[[モルドール]]の影伸びる。
-3002年 54歳。妹婿[[エーオムンド]]死ぬ。ほどなくセーオドウィンも死に、エーオメルとエーオウィンを養子に引き取る。
-3014年 66歳。病を得て、衰弱が始まる。
-3018年 70歳。[[大いなる年]]。9月20日、[[ガンダルフ]]の訪問を受けて[[飛蔭]]を貸し与える。
-3019年 71歳。[[大いなる年]]。2月25日、[[アイゼンの浅瀬の最初の合戦>アイゼンの浅瀬の合戦]]で息子[[セーオドレド]]が討死する。3月2日、[[ガンダルフ]]により癒やされる。3月3日、[[角笛城の合戦]]。3月9日、[[やしろ岡]]で[[赤い矢]]を受け取る。3月10日、ローハンの長征。3月15日、[[ペレンノール野の合戦]]、討死する。

***画像 [#d9fcb51f]

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*** 関連項目 [#b3b52d77]

-[[セーオデンの歌]]
-[[セーオデン王追悼の歌]]
-[[ローハン軍進撃の歌]]
-[[戦への動員の詞]]

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[バーナード・ヒル]]|
|~日本語吹き替え|[[佐々木勝彦]]|

字幕及び吹替での名前は『[[指輪物語]]』書籍[[新版]]に従い''セオデン''。
原作のセーオデンは71歳の白髪・白鬚の老武人だが、映画では(演じたバーナード・ヒルの年齢もあってか)かなり若い外見になっている。
おおよそ原作の軌跡に準じた活躍を見せるが、[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]との掛け合いはかなり短縮されている。[[ハラドリム]]の指揮官([[黒い蛇]])との対決もなく、激突するのは騎兵ではなく[[ムーマキル]]の隊列となっている。また突撃前のセリフの一部は、原作での[[エーオメル]]のセリフ([[エーオメル覚悟の歌]]など)を流用しており、その関係で逆にエーオメルのセリフが少なくなっている。
[[雪の鬣]]は、[[恐るべき獣]]に直接襲われ噛みつかれて振り回され、放り投げられてセーオデンはその下敷きとなった。
いまわの際に、メリーやエーオメルではなく[[エーオウィン]]に会っている。

*** 画像 [#s0d0e52b]

&ref(vlcsnap-00086.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるセーオデン); &ref(vlcsnap-00023.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるセーオデン); &ref(vlcsnap-00053.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』における、ガンダルフに癒やされる前のセーオデン);

*** グッズ [#z5d73e25]

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** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

&ref(グリーマ/ScreenShot00693.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるグリーマと、ガンダルフに癒やされる前のセーオデン); &ref(ScreenShot00656.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ガンダルフに癒やされるセーオデン); &ref(ScreenShot00665.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ガンダルフに癒やされるセーオデン); &ref(ScreenShot00647.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、角笛城の合戦でのセーオデン); &ref(ScreenShot00605.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ペレンノール野の合戦でのセーオデン);

** コメント [#Comment]

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