#author("2022-09-19T02:51:26+09:00;2019-08-29T23:23:19+09:00","","")
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* イシリエン [#h13114ca]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[地名]]|
|~スペル|Ithilien|
|~異訳|イシリアン|

** 解説 [#Explanation]

[[シンダリン]]で‘land of the moon’([[月]]の地)の意((『[[Guide to the Names in The Lord of the Rings]]』によると、[[イシルドゥル]]の名に関連し、[[アノーリエン]]と対になる名))。[[大河]][[アンドゥイン]]の東岸にある[[ゴンドール]]の領地。西の対岸は[[アノーリエン]]になる。
[[アンドゥイン]]と[[エフェル・ドゥーアス]]に挟まれた、[[ポロス]]川の北、[[ニンダルヴ]]の南の地域を指す。[[オスギリアス]]付近の、アンドゥインとエフェル・ドゥーアスの間が狭くなっている地を境にして、''北イシリエン''(North Ithilien)と''南イシリエン''(South Ithilien)に分けられる。

>こうしてかれらは森が斜面を這い登り、せせらぎが早瀬となって流れる&ruby(うま){美};しき国、かつて人間たちがイシリエンと呼んだ地の北の外れにはいっていたのです。 … ここではゆくところ春がすでにさかりでした。羊歯の葉は苔や土を突き抜けて芽ぶき、[[落葉松]]の緑が芽立ち、小さな花々が芝草に開き、小鳥が歌っていました。今では住む人とてないゴンドールの庭イシリエンはいまだに乱れ髪の森の女神の美しさを保持しているのでした。((『[[指輪物語]] [[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』「香り草入り兎肉シチュー」))

この地の首府ミナス・イシル(後の[[ミナス・モルグル]])とゴンドールの旧首都[[オスギリアス]]は東西の道で繋がれており、さらに南北を[[黒門]]から[[ハラド]]方面へと繋ぐ[[ハラド街道]]が通っている。両道が交差する地点は[[十字路]]となっている。
この他にも[[執政家]]の領地だった丘陵地[[エミン・アルネン]]、[[イシリエンの野伏]]の拠点である[[ヘンネス・アンヌーン]]、[[指輪の仲間]]が再会した[[コルマッレンの野>コルマッレン]]などがある。

*** 歴史 [#v26432c1]

天然の防衛線である[[アンドゥイン]]の東側にある立地上、幾度も戦いの舞台となった。

『[[unfinished index]]』及び『[[終わらざりし物語]]』の索引によると、[[ゴンドール]]の建国当初は[[ミナス・イシル>ミナス・モルグル]]を居城とする[[イシルドゥル]]の領地だった((『[[unfinished index]]』'territory (in earliest time belonging to Isildur and governed from Minas Ithil)'))。
[[第二紀]]3429年、[[ヌーメノールの没落>世界の変わる日]]を逃れて戦力を再建した[[サウロン]]の攻撃によってミナス・イシルは陥落し、イシリエンも戦場となった。[[アナーリオン]]は防戦に努め、[[最後の同盟]]の戦いによってこれらはゴンドールに奪回された。

[[第三紀]]1944年には蛮夷の大軍([[東方>リューン]]から来た[[馬車族]]と、[[南方>ハラド]]から来た[[近ハラド]]人と[[ハンド]]人)が南北からこの地に攻め入った。[[エアルニル二世]]は南イシリエンで南方の敵を破り、軍を反転して北の野営地にいた馬車族を撃滅し大勝を収めた。
しかし2002年に[[ナズグール]]がミナス・イシルを奪い取って[[ミナス・モルグル]]に作り変えると、イシリエンから多くの住民が逃げ出した。
2475年には[[モルドール]]から[[ウルク>ウルク=ハイ]]が出現してこの地を強襲した。時の[[執政]]の長子[[ボロミル>ボロミル(デネソール一世の息子)]]は敵を撃退してイシリエンを取り戻したが、[[オスギリアス]]は廃墟となった。
2885年にはかねてより係争の地であった[[ハロンドール]]から[[ハラドリム]]の大軍が[[ポロス]]川を渡って来襲したが、[[ローハン]]の援助もあって[[ポロスの渡し]]で撃退された。
2901年にはウルクが再襲来して、残っていた住民のほとんどがアンドゥインを渡って西へと逃げ去った。時の執政[[トゥーリン二世]]は踏みとどまって戦う最も勇敢な者達のために[[ヘンネス・アンヌーン]]をはじめとする隠れ処を築いた。この頃からイシリエンは[[オーク]]の跋扈するところとなった。

2951年に[[モルドール]]に戻った[[サウロン]]が公然と名乗りを上げ、2954年に[[滅びの山]]が噴火すると、残っていた最後の住人も逃げ去った。
執政[[デネソール二世]]はこの地の民の子孫の中から[[イシリエンの野伏]]を結成し、敵地となったイシリエンで潜入任務に当たらせた。

*** 『[[指輪物語]]』において [#fc4ffd0e]

[[3019年(大いなる年)>大いなる年#year3019]]の[[指輪戦争]]では、イシリエンがその最終局面の舞台の一つとなる。

[[フロド・バギンズ]]と[[サムワイズ・ギャムジー]]は[[ゴクリ]]の案内でこの地を通過中、[[ファラミル]]率いるイシリエンの野伏たちに遭遇した。二人は一時[[ヘンネス・アンヌーン]]へ連行されるが、ファラミルの好意を得て釈放され、[[十字路]]を経て[[ミナス・モルグル]]をかすめて[[キリス・ウンゴル]]へ向かった。
その最中にファラミルの部隊は[[街道>ハラド街道]]を北上してくる[[ムマキル]]を連れた[[ハラドリム]]の軍勢を伏撃した。だがフロド達と別れた後、[[モルドール]]から暗闇が流出してくるのを受けてファラミルは部隊を撤収して[[オスギリアス]]の守備隊増強に充て、自らは[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の父[[デネソール二世]]の許に急を知らせに戻った。
その最中にファラミルの部隊は[[街道>ハラド街道]]を北上してくる[[ムーマキル]]を連れた[[ハラドリム]]の軍勢を伏撃した。だがフロド達と別れた後、[[モルドール]]から暗闇が流出してくるのを受けてファラミルは部隊を撤収して[[オスギリアス]]の守備隊増強に充て、自らは[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の父[[デネソール二世]]の許に急を知らせに戻った。

暗闇を先触れとして[[モルドール]]からは大軍が出撃してイシリエンを渡り、[[オスギリアス]]と[[カイル・アンドロス]]を奪ってミナス・ティリスを包囲攻撃した。だがモルドール軍は[[ペレンノール野の合戦]]で殲滅された。
そこで[[西軍]]の大将たちは[[サウロン]]の目をフロド達から逸らすために[[黒門]]への陽動攻撃を仕掛けるべく、イシリエンを通って進軍した。西軍は一度、以前にファラミルがハラドリムを伏撃したのと同じ地点で敵の待ち伏せを受けたが、偵察隊の警告によってこれを返り討ちにした。西軍は上空から[[ナズグール]]に監視されながらイシリエンを無事通過し、[[黒門の戦い]]を迎えた。

[[一つの指輪]]が破壊されると、[[フロド>フロド・バギンズ]]と[[サムワイズ>サムワイズ・ギャムジー]]はこの地に運ばれて治療を受け、[[コルマッレンの野]]で栄誉礼を受けた。

[[指輪戦争]]後、[[エレッサール王>アラゴルン二世]]は[[ファラミル]]をイシリエンの大公に封じ、彼と妻の[[エーオウィン]]は[[エミン・アルネン]]に住まった。また[[レゴラス]]はこの地の美しさに魅せられ、[[闇の森>闇の森#Realm]]から[[エルフ]]の一党の一部を引き連れてこの地に移住した。こうしてイシリエンは再び[[ゴンドール]]の美しい領国となった。

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