#author("2017-09-24T17:58:18+09:00","","")
* セオデン [#xf9d66cd]
#author("2024-01-27T00:08:32+09:00;2023-08-22T00:27:39+09:00","","")
* セーオデン [#xf9d66cd]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Théoden(([[古英語]]で「一族の首長」の意))|
|~その他の呼び名|エドニュー(Ednew)((古英語で「更生せる」の意))|
|~種族|[[人間]]([[ロヒアリム]])|
|~異訳|セオデン|
|~その他の呼び名|セーオデン・エドニュー(Théoden Ednew)&br; 馬乗り人の長老(Father of Horse-men)(([[ガーン=ブリ=ガーン]]が呼んだ名))|
|~種族|[[人間]]([[ロヒルリム]])|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2948~†3019年(享年71)。在位2980~3019(39年間)|
|~生没年|[[第三紀]]2948~†3019年3月15日(享年71)|
|~親|[[センゲル]](父)、[[モルウェン>モルウェン(センゲルの妻)]](母)|
|~兄弟|[[セオドウィン]](妹)含め姉妹4名|
|~兄弟|[[セーオドウィン]](妹)含め姉妹4名|
|~配偶者|[[エルフヒルド]]|
|~子|[[セオドレド]](息子)|
|~子|[[セーオドレド]](息子)、[[エーオメル]](養子)、[[エーオウィン]](養女)|

** 解説 [#Explanation]

|>|>|~[[リダーマーク]]の王|h
|CENTER:第16代&br;[[センゲル]]&br;2953~2980|CENTER:第17代&br;''セオデン''・エドニュー&br;[[第三紀]]2980~3019|CENTER:第18代&br;[[エオメル]]&br;3019~[[第四紀]]63|
|CENTER:第16代&br;[[センゲル]]&br;2953~2980|CENTER:第17代&br;''セーオデン''&br;[[第三紀]]2980~3019年3月15日(39年間)|CENTER:第18代&br;[[エーオメル]]&br;3019~[[第四紀]]63|

[[マーク(ローハン)>ローハン]]17代目の王。[[センゲル]]と[[モルウェン>モルウェン(センゲルの妻)]]の息子で[[セオドウィン]]の兄。他に姉が一人と妹が二人いた。[[エルフヒルド]]を妻とし[[セオドレド]]の父となる。[[指輪戦争]]当時の[[マーク]]の王。帯びる剣の名は[[ヘルグリム]]、乗馬の名は[[雪の鬣]]。
母の故国である[[ゴンドール]]で生まれ、2953年に父がマークの王位を継承するまでその地に暮らした。若年の頃より戦を好む勇猛な武人かつ優れた騎手であった。
妹婿の[[エオムンド]]が[[オーク]]に殺され、その後自分の妹である[[セオドウィン]]自身も病を得て亡くなると、2人の子供である[[エオメル]]と[[エオウィン]]を引き取って養子として育てた。
[[ローハン(マーク)>ローハン]]17代目の王。[[センゲル]]と[[モルウェン>モルウェン(センゲルの妻)]]の唯一の息子。[[セーオドウィン]]の兄であり、他に姉が一人と妹が二人いる。[[エルフヒルド]]を妻とし[[セーオドレド]]の父となる。

([[終わらざりし物語]]によると)3014年66歳の時より病を得て、以降ひどく健康が衰えていくようになる。これはローハンの奪取を狙った[[サルマン]]の魔力と、その間者である[[蛇の舌グリマ>グリマ]]の術策によるものであった。セオデンは自分が年老いて耄碌したのだと思い込んで次第に政務が取れない状態になり、相談役であるグリマが王の名の下に王国の実権を握るようになる。
一方で息子の[[セオドレド]]や甥の[[エオメル]]、第一軍団を事実上統括する[[エルフヘルム]]や親衛隊長の[[ハマ>ハマ(セオデンの騎士)]]といったマークの将軍達はグリマに不信感を抱いて、しばしば独自に国を守るための行動を起こした。彼らのグリマへの不信感は[[3018年(大いなる年)>大いなる年]]に[[オルサンク]]から脱出した[[ガンダルフ]]が、サルマンの裏切りを告げたことにより一層深まった。
若年の頃より戦を好む勇猛な武人かつ優れた騎手であった。老境に差し掛かった頃より自らの相談役[[蛇の舌グリーマ>グリーマ]]の奸計を受けて衰退していたが、[[ガンダルフ]]によって癒やされて奮起し、[[指輪戦争]]を戦ったことから、ローハンの伝承では「更生せる(the Renewed)」を意味する''エドニュー''と呼ばれる。
帯びる剣の名は[[ヘルグリム]]、乗馬の名は[[雪の鬣]]。

*** [[角笛城の合戦]] [#r448ddff]
>白い髪は長く豊かで、幾条にも太く編まれて、額の上にはめられた薄い金の王冠の下から垂れていました。額の真ん中にはたった一つ白いダイヤモンドが光っています。顎鬚が雪のように膝にかかっていました。しかしその目はいまだに炯々たる光を失わず、客人たちを見すえる際にきらりと光りました。((『[[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』「黄金館の王」))

>椅子には老齢のためにドワーフとも見紛うくらい背中の曲がった老人が坐っていました。白い髪は長く豊かで、幾条にも太く編まれて、額の上にはめられた薄い金の王冠の下から垂れていました。額の真ん中にはたった一つ白いダイヤモンドが光っています。顎鬚が雪のように膝にかかっていました。しかしその目はいまだに炯々たる光を失わず、客人たちを見すえる際にきらりと光りました。((『[[指輪物語]] [[二つの塔]] 上』「六 黄金館の王」))
*** ローハンの老王 [#s4b5ee06]

[[オルサンク]]から脱出した[[ガンダルフ]]が[[エドラス]]を訪れた際、セオデンは[[グリマ]]の讒言もあってガンダルフを疎み、彼を追い払うために不本意ながら[[飛蔭]]を貸し与えた。さらにその後の[[3019年>大いなる年]]2月25日に起こった[[アイゼンの浅瀬の合戦]]で一人息子の[[セオドレド]]が討死。その後、グリマを批判し、グリマが[[エオウィン]]を自分のものにしようとしていることを知って、グリマに剣を向けたエオメルを、セオデンはグリマに言われるままに反逆のかどで投獄する。
そのため、3月2日にガンダルフ、[[アラゴルン二世]]、[[レゴラス]]、[[ギムリ]]の一行がエドラスにやって来た当初は彼らを冷淡に迎え、グリマと共にガンダルフを「疫病神」と呼んで非難した。しかし、ガンダルフによってグリマの讒言の呪縛から解き放たれて癒され、意気を取り戻す。屈めていた背を伸ばし、若返ったようにかつての活発さを取り戻して統治に復帰したセオデンは、彼を目にした臣下の驚きと喜びから''エドニュー''(''更生せる'')と呼ばれるようになった。
母[[モルウェン>モルウェン(センゲルの妻)]]の故国である[[ゴンドール]]で生まれ、2953年に父[[センゲル]]が[[ローハン]]の王位を継承するまでその地に暮らした。
妹婿の[[エーオムンド]]が[[オーク]]に殺され、最愛の妹[[セーオドウィン]]も病を得て亡くなると、その遺児である[[エーオメル]]と[[エーオウィン]]を養子として引き取り[[エドラス]]で育てた。

セオデンはガンダルフの忠告を容れてグリマを殺さずに追放し、また放免したエオメルを自らの軍事上の第一の相談役にして王位後継者に指名する。さらに、ガンダルフにあらためて[[飛蔭]]を与えた。
ガンダルフの助言に従ってセオデンは非戦闘員を[[馬鍬谷]]の避難所に向かわせる一方で、自らはあくまで戦いに打って出ることを譲らず、名剣[[ヘルグリム]]を佩いて乗馬[[雪の鬣]]にまたがり、戦える限りの者を率いてサルマンの脅威を取り除くべく、直ちに[[西谷]]に軍を進めることにする。だがその途上で騎士の[[ケオル]]から[[アイゼンの浅瀬]]が突破されたことと、[[エルケンブランド]]が敗走したとの報せを受け取って方向を転じ、サルマンの大軍勢に対抗するべく[[ヘルム峡谷]]の[[角笛城]]へ籠城した。
[[角笛城の合戦]]では、奥の城壁が敵の手に落ち、城内に敵がなだれ込んでくるのも時間の問題となった際、夜明けを合図に高らかに[[ヘルム]]の角笛を吹き鳴らさせて出撃した。セオデンの出撃に呼応して籠城軍は反撃に転じ、敵を[[ヘルムの堤防]]まで押し戻すことに成功する。そこでセオデンらは谷が[[フオルン]]の森に覆われているのを目にし、また西側の崖の上にガンダルフが呼び集めた[[エルケンブランド]]ら西谷の軍勢が集結していることにも気づく。こうして三方から挟み撃ちにされたサルマンの軍勢は打ち破られ、セオデンは勝利を得た。
(『[[終わらざりし物語]]』によると)66歳の時より病を得て、以降ひどく健康が衰えていくようになる。これはローハンの奪取を狙った[[サルマン]]に買収されて裏切り者となった王の相談役[[蛇の舌グリーマ>グリーマ]]の術策によるものであった。グリーマが注ぎ込む毒の言葉によって自分が年老いて耄碌したのだと思い込んだセーオデンは次第に政務が執れない状態になり、グリーマが王の名の下に王国の実権を握るようになった。

ヘルム峡谷での勝利後は、ガンダルフに連れられて[[アイゼンガルド]]まで出向き、[[サルマン]]の声の魔力を用いた和平の勧誘をきっぱりと拒絶する。
またこの時、[[ロヒアリム]]の間ではホルビトラとして伝承されている[[ホビット]]の[[メリアドク・ブランディバック]]と[[ペレグリン・トゥック]]をはじめて目にした。特に彼らの[[喫煙>パイプ草]]の習慣に興味を抱き、メリアドクとそれについて話を交わすことを約束する。だがそれは結局果たされなかった。
グリーマは[[アイゼンガルド]]の脅威を過小評価するよう誘導し、[[ローハン]]が行動を起こすことを妨げた。そのため[[アイゼンの浅瀬の合戦]]で、セーオデンの一人息子である[[セーオドレド]]は討死してしまう。さらに甥の[[エーオメル]]が[[イーストフォルド]]に侵入した[[ウルク=ハイ]]の一団を討伐するために自らの一存で[[エーオレド]]を出動させると、グリーマは反逆行為だとして彼を告発し、その讒言を容れたセーオデンはエーオメルを投獄してしまう。姪の[[エーオウィン]]はそんなセーオデンを看護し、衰弱して不面目な様態に陥っていく王を間近で見続けることになった。

*** [[ペレンノール野の合戦]] [#i9de5018]
*** エドニュー [#ac6848b6]

[[ドル・バラン]]の夜営地に[[ナズグール]]が飛来した後、セオデンは急ぎ[[馬鍬谷]]から[[エドラス]]に向かい、ローハン全軍を召集することを決める。その途上で立ち寄った[[角笛城]]で、[[メリアドク・ブランディバック]]を自らの小姓に取り立て、小馬の[[スティッバ]]を与えた。
[[馬鍬砦]]には、既にガンダルフの忠告によってローハンの全軍が集結しており、さらに一行が到着した夜に[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]から、[[ゴンドール]]の危急を知らせ援軍を要請する[[赤い矢]]を携えてきた使者[[ヒアゴン]]がやってくる。さらに翌日3月10日は[[モルドール]]が送り出した暗闇のために曙光のない朝となり、[[サウロン]]が西方との全面戦争を開始したことが知れる。そのためセオデンは召集した1万を超す全軍から、国の防衛のために残しておかなければならない人員を除いた約6000名の騎兵を率いて直ちにミナス・ティリスへの行軍を開始。
>「ここはそう暗くはない。」とセーオデンがいいました。
「その通り、」と、ガンダルフがいいました。「それに一部の者から思いこまされておいでの程、老齢が殿の肩に重くのしかかっているわけでもないのです。その突かい棒をお捨てなされ!」
王の手から黒い杖が音を立てて敷石の上に落ちました。王は長い間屈み込んで退屈な仕事をしてためにすっかり体がこわばってしまった人のように、ゆっくりと体を伸ばしました。今や王は背を真っ直にして立ち、その背丈は高く堂々と、雲の切れ始めた空をじっと見る目は青く澄んでいました。((『[[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』「黄金館の王」))

>そして今や王は薄暗がりにかすかに輝く白馬にまたがりました。その姿は丈高く堂々と見えました。ただ高い兜の下から垂れた髪は雪白でした。多くの者は驚嘆してかれを仰ぎ、背筋を伸ばした王の無畏の姿を見て気を取り直すのでした。((『[[王の帰還]] 上』「三 ローハンの召集」))
[[第三紀]]3019年の[[大いなる年]]、[[ガンダルフ]]、[[アラゴルン二世]]、[[レゴラス]]、[[ギムリ]]の一行が[[エドラス]]にやってくると、セーオデンは彼らを冷淡に迎え、[[グリーマ]]と共にガンダルフを「疫病神」と呼んで非難した。しかしガンダルフはグリーマの毒言からセーオデンを解き放つことで、彼を癒やす。屈めていた背を伸ばし、心労の皺が取り去られたセーオデンはかつての活発さを取り戻した。

この時、[[エオウィン]]を留まった国民の指揮者に指名する。またメリアドクは迅速な行軍に耐えられないとして、それぞれエドラスに残していくことを決めた。しかしそれはエオウィンとメリアドクにとっては不服なことであった。
統治に復帰したセーオデンは、ガンダルフの忠告を容れて[[グリーマ]]を殺さず追放し、また[[エーオメル]]を自らの右腕にして王位後継者に指名する。
そして[[サルマン]]の脅威を除くべく、自ら軍を率いて[[ウェストフォルド]]に出陣した。道中[[チェオル]]から[[アイゼンの浅瀬]]が突破され、[[エルケンブランド]]が敗走したとの報せを受けたセーオデンは、[[ヘルム峡谷]]の[[角笛城]]に籠城。[[アイゼンガルド]]の軍勢は膨大であったが、セーオデンは夜明けを合図に高らかに角笛を吹き鳴らさせると出撃し、敵を[[ヘルムの堤防]]まで押し戻すことに成功する。そこでガンダルフが呼び集めたエルケンブランドの軍勢と、谷を埋め尽くす[[フオルン]]の大群が加わり、三方から挟み撃ちにされたアイゼンガルドの軍勢は殲滅され、[[角笛城の合戦]]はローハンの勝利に終わった。

マークの軍勢は[[白の山脈]]に沿って進軍し、途中[[ドルーアダンの森]]で[[ドルーエダイン]]の酋長[[ガン=ブリ=ガン]]の協力を得る。ドルーエダインの導きで[[オーク]]の軍勢に気取られることなく[[ペレンノール]]の破れた[[防壁>ランマス・エホール]]まで肉薄したセオデンらローハンの騎士達は、そこでミナス・ティリスがモルドールの大軍勢に包囲されている様を目撃する。その惨状にセオデンは一時怖気づいたかに見えたが、にわかに暗雲を運び去る風と光が感じられ、それとともに[[グロンド]]と[[魔王]]によって都の大門が破壊された轟音が響き渡る。
その瞬間、セオデンは心を決め、かつて[[命限りある人間>人間]]の口からは聞かれたことのないようなはっきりと澄んだ声で全軍に号令をかけ、角笛を吹き鳴らすと、ペレンノール野の合戦へと駆け下っていった。
合戦で勝利を収めると、セーオデンはガンダルフに連れられて[[アイゼンガルド]]まで出向き、[[サルマン]]の声の魔力を用いた和平の勧誘をきっぱりと拒絶。
この時、[[ロヒルリム]]の間で「ホルビュトラン」として伝承されている[[ホビット]]の[[メリアドク・ブランディバック]]と[[ペレグリン・トゥック]]をはじめて目にした。特に彼らの[[喫煙>パイプ草]]の習慣に興味を抱き、メリアドクとそれについて話を交わすことを約束する。だがそれは結局果たされなかった。

>立てよ、立て、セオデンの騎士らよ!
捨身の勇猛が眼ざめた、火と殺戮ぞ!
槍を振え、盾をくだけよ、
剣の日ぞ、赤き血の日ぞ、日の上る前ぞ!
いざ進め、いざ進め、ゴンドールへ乗り進め!((『王の帰還 上』「五 ローハン軍の長征」))
*** 長征と死 [#ra6ab09a]

>いきなり王は雪の鬣に向かって呼びかけました。馬は身を躍らせて走り去りました。王の背後には、緑野に白馬の駆ける王旗が風にひるがえっていましたが、王はたちまち旗手を引離して駆け去りました。王を追って王家直属の騎士たちが蹄の音を轟かせて続きましたが、王は終始変わらずかれらの先頭に立ちました。エオメルはその疾駆する速さに兜につけた白い馬の尻尾をなびかせながら馬を駆けさせました。[[第一&ruby(エオレド){軍団};>エオレド]]の先頭に立つ者たちはまるで大波が岸辺に泡立って砕けるように轟く音をたてて前進しましたが、だれもセオデンに追い着くことはできませんでした。王は死を目前にした者のように異常に高ぶって見えました。でなければかれの先祖たちの激しい戦いの情熱が新しい火のようにかれの血管をへめぐったのです。雪の鬣に運ばれて行くその姿は古の神の一人とも、この世界がまだ若かった頃の[[ヴァラール]]の合戦における偉大な狩人[[オロメ]]とさえも見えるのでした。黄金の盾の被いが取られました。すると見よ! 盾は太陽の化身さながら燦然と輝き、乗馬の白い足の駆けるところ、草は緑にもえ立ちました。((同上))
>疑念から出、暗黒から出て行き、日の上るまで、 王は日を浴びて歌いながら、剣を抜いて馬を駆った。
王は望みの火をふたたび点し、望みを抱きつつ果てた。
死を越え、恐れを越え、滅びを越えて 人の世の生死を抜けて、永久の栄えに上っていった。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]]』「数々の別れ」 [[グレーオウィネ]]の作った[[セーオデンの歌]]。))

[[ロヒアリム]]は戦いの歓びに歌を歌いながらペレンノールを席巻し、セオデンは[[アラウ(オロメ)>オロメ]]その人かと見まごうほどの獅子奮迅の戦いを見せた。かれらは敵の手に落ちていたペレンノールの半分近くを掃討したが、包囲の環を破るには至らず、また[[ハラドリム]]の騎兵からなる主力部隊も迫ってきていた。
ロヒアリムの王の守りが手薄なことを見て取ったハラドリムの指揮官と、かれらの接近に気付いたセオデンとは猛然と激突し、セオデンは多勢に無勢ながら敵陣を打ち破って指揮官の[[黒い蛇]]を討ち取り、さらに敵の旗印を旗手もろとも一刀両断にして勝利を収めた。
勝利も束の間、[[ローハン]]に[[ナズグール]]が飛来したことで、セーオデンは[[エドラス]]凱旋を取り止めて国民が避難する[[やしろ谷]]へ向かうことを決める。その途上で立ち寄った[[角笛城]]で、[[メリアドク・ブランディバック]]を自らの小姓に取り立て、[[小馬]]の[[ステュッバ]]を与えた。
[[やしろ岡]]には既に[[ガンダルフ]]の忠告によってローハン全軍が集結していた。さらにその夜、[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]から[[赤い矢]]を携えた使者[[ヒルゴン]]がやってきて、[[ゴンドール]]が危急の時にあり援軍を要請する[[烽火>ゴンドールの烽火]]が上げられたことが知られる。そのためセーオデンは召集した1万を超す全軍から、国の防衛のために残しておかなければならない人員を除いた約6000名の騎兵を率いて直ちにミナス・ティリスへの長征を開始した。
この時、[[エーオウィン]]に留守を任せ、またメリアドクは迅速な行軍に耐えられないとして、それぞれエドラスに残していくことを決めた。しかしそれはエーオウィンとメリアドクにとっては不服なことであった。

だがこの勝利の次の瞬間に、周囲は[[ナズグールの王>魔王]]の投げかける暗闇と恐怖のために浮足立ち、恐慌に陥った[[雪の鬣]]は脇腹に黒い矢を受けて倒れた。セオデンは倒れた馬の下敷きとなって致死の重傷を負う。
とどめを刺そうとする[[魔王]]からセオデンを救ったのは、命令に背いて密かに戦場まで付き従ってきた[[エオウィン]]と[[メリアドク・ブランディバック]]であった。今際のセオデンは、メリーや[[エオメル]]らが看取る中、自分のすぐそばにエオウィンが倒れていることを知らないまま、かれらに別れの言葉を告げ、エオメルに王位を引き渡してみまかった。
ローハンの軍勢は、途中[[ドルーアダンの森]]で[[ドルーエダイン]]の酋長[[ガーン=ブリ=ガーン]]の協力を得て、敵の待ち伏せを回避し[[石車谷]]を通ってミナス・ティリスへ達する。
[[ランマス・エホール]]の破れ目から[[ペレンノール]]野に入り、ひっそりと展開したローハンの騎士たちだが、[[モルドール]]の大軍に蹂躙される野と都の惨状を目にしてセーオデンは一時怖気づいたかに見えた。だが、にわかに暗雲を運び去る風と光が感じられ、それとともに[[グロンド>グロンド(破城槌)]]によって大門が破壊された轟音が響き渡ると、セーオデンは心を決めて全軍に[[攻撃の号令>ローハン軍進撃の歌]]をかけると、曙光を告げる鶏の声と共に大角笛を吹き鳴らし、先陣を切って戦場に乗り込んでいった。その姿は、かつての[[力の戦い]]における[[ヴァラール]]の偉大な狩人[[オロメ]]を彷彿とさせるものであったという。

[[指輪戦争]]後、セオデンの棺はしばらく[[ラス・ディネン]]に安置されていたが、戦後処理のため母国に一時帰国していた[[エオメル]]達[[ローハン]]の騎士が迎えに来て、葬列が作られる(この時メリーは、小姓としてセオデンの武器を持ち、セオデンの棺を運ぶ馬車に同乗した)。セオデンの棺は[[黄金館]]へと運ばれ、それから[[エドラス]]の近くにある、[[シンベルミネ]]の咲くローハン歴代の王の塚に葬られた。そして[[グレオヴィネ]]により、センゲルの息子セオデンの歌が作られた。
[[ロヒルリム]]は戦いの歓びに歌を歌いながらペレンノール野の北半分近くを席巻。さらに[[ハラドリム]]の主力の騎兵が接近すると、セーオデンは多勢に無勢ながら敵陣を打ち破って敵の[[指揮官>黒い蛇]]を討ち取り、さらに敵の旗印を旗手もろとも一刀両断にして勝利を収めた。
だがこの勝利の瞬間に、到来した[[魔王]]が投げかける恐怖の影のためにロヒルリムは浮足立ち、脇腹に黒い矢を受けて倒れた乗馬[[雪の鬣]]の下敷きとなったセーオデンは致死の重傷を負った。
とどめを刺さんと迫る魔王を斃したのは、命令に背いて密かに戦場まで付き従ってきた[[エーオウィン]]と[[メリアドク>メリアドク・ブランディバック]]であった。今際のセーオデンは、看取るメリアドクに別れを告げると、駆けつけた[[エーオメル]]に王位を譲り、すぐそばにエーオウィンが倒れていることを知らないまま彼女の心情を気遣い、身罷った。

*** 死後 [#ze0d354b]

[[指輪戦争]]の終結後、セーオデンの棺はしばらく[[ラス・ディーネン]]に安置されていたが、戦後処理のため一時帰国していた[[エーオメル]]と騎士たちが迎えに来て、葬列とともに[[ローハン]]へ凱旋した(この時[[メリアドク>メリアドク・ブランディバック]]は、小姓としてセーオデンの武器を持ち、セーオデンの棺を運ぶ馬車に同乗した)。そしてセーオデンの棺は[[エドラス]]にある、歴代の王が眠る塚原に塚を築いて葬られ、[[グレーオウィネ]]が作った[[セーオデンの歌]]が歌われた。
セーオデンと共にローハンの第二家系は終わり、王位を継いだ[[エーオメル・エーアディグ>エーオメル]]と共に新たな時代が始まった。

*** 略歴 [#i6ced577]

-[[第三紀]]2948年 生誕。母[[モルウェン>モルウェン(センゲルの妻)]]の生国[[ゴンドール]]で生まれ育つ。
-2953年 5歳。父[[センゲル]]の王位継承と共に[[ローハン]]へ戻る。
-2963年 15歳。末妹[[セーオドウィン]]生まれる。
-2978年 30歳。息子[[セーオドレド]]生まれる。妻の[[エルフヒルド]]亡くなる。
-2980年 32歳。父の死により王位を継ぐ。
-2991年 43歳。甥[[エーオメル]]生まれる
-2995年 47歳。姪[[エーオウィン]]生まれる
-3000年 52歳。[[モルドール]]の影伸びる。
-3002年 54歳。妹婿[[エーオムンド]]死ぬ。ほどなくセーオドウィンも死に、エーオメルとエーオウィンを養子に引き取る。
-3014年 66歳。病を得て、衰弱が始まる。
-3018年 70歳。[[大いなる年]]。9月20日、[[ガンダルフ]]の訪問を受けて[[飛蔭]]を貸し与える。
-3019年 71歳。[[大いなる年]]。2月25日、[[アイゼンの浅瀬の最初の合戦>アイゼンの浅瀬の合戦]]で息子[[セーオドレド]]が討死する。3月2日、[[ガンダルフ]]により癒やされる。3月3日、[[角笛城の合戦]]。3月9日、[[やしろ岡]]で[[赤い矢]]を受け取る。3月10日、ローハンの長征。3月15日、[[ペレンノール野の合戦]]、討死する。

***画像 [#d9fcb51f]

&ref(THEODEN.jpg,,50%,);

*** 関連項目 [#b3b52d77]

-[[セーオデンの歌]]
-[[セーオデン王追悼の歌]]
-[[ローハン軍進撃の歌]]
-[[戦への動員の詞]]

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[バーナード・ヒル]]|
|~日本語吹き替え|[[佐々木勝彦]]|

原作のセオデンは71歳の白髪・白鬚の老武人だが、映画では(演じたバーナード・ヒルの年齢もあってか)かなり若い外見になっている。
おおよそ原作の軌跡に準じた活躍を見せるが、[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]との掛け合いはかなり短縮されている。[[ハラドリム]]の指揮官との対決もなく、激突するのは騎兵ではなく[[ムマキル]]の隊列となっている。[[雪の鬣]]は、[[恐るべき獣]]に直接襲われ噛みつかれて振り回され、放り投げられてセオデンはその下敷きとなった。
いまわの際に、エオメルではなくエオウィンに会っている。
字幕及び吹替での名前は『[[指輪物語]]』書籍[[新版]]に従い''セオデン''。
原作のセーオデンは71歳の白髪・白鬚の老武人だが、映画では(演じたバーナード・ヒルの年齢もあってか)かなり若い外見になっている。
おおよそ原作の軌跡に準じた活躍を見せるが、[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]との掛け合いはかなり短縮されている。[[ハラドリム]]の指揮官([[黒い蛇]])との対決もなく、激突するのは騎兵ではなく[[ムーマキル]]の隊列となっている。また突撃前のセリフの一部は、原作での[[エーオメル]]のセリフ([[エーオメル覚悟の歌]]など)を流用しており、その関係で逆にエーオメルのセリフが少なくなっている。
[[雪の鬣]]は、[[恐るべき獣]]に直接襲われ噛みつかれて振り回され、放り投げられてセーオデンはその下敷きとなった。
いまわの際に、メリーやエーオメルではなく[[エーオウィン]]に会っている。

*** 画像 [#s0d0e52b]

&ref(vlcsnap-00086.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるセオデン);&ref(vlcsnap-00023.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるセオデン);&ref(vlcsnap-00053.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』における、ガンダルフに癒やされる前のセオデン);
&ref(vlcsnap-00086.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるセーオデン); &ref(vlcsnap-00023.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるセーオデン); &ref(vlcsnap-00053.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』における、ガンダルフに癒やされる前のセーオデン);

*** グッズ [#z5d73e25]

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** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

&ref(グリマ/ScreenShot00693.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるグリマと、ガンダルフに癒やされる前のセオデン);&ref(ScreenShot00656.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ガンダルフに癒やされるセオデン);&ref(ScreenShot00665.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ガンダルフに癒やされるセオデン);&ref(ScreenShot00647.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、角笛城の合戦でのセオデン);&ref(ScreenShot00605.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ペレンノール野の合戦でのセオデン);
&ref(グリーマ/ScreenShot00693.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるグリーマと、ガンダルフに癒やされる前のセーオデン); &ref(ScreenShot00656.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ガンダルフに癒やされるセーオデン); &ref(ScreenShot00665.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ガンダルフに癒やされるセーオデン); &ref(ScreenShot00647.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、角笛城の合戦でのセーオデン); &ref(ScreenShot00605.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ペレンノール野の合戦でのセーオデン);

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