#author("2024-05-26T15:22:20+09:00","","")
* シルマリル [#icafabd6]
** 概要 [#a0409e81]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|物・品の名前|
|~スペル|Silmaril|
|~その他の呼び名||
|~カテゴリー|[[物・品の名前]]|
|~スペル|Silmaril((複数形シルマリッリ(Silmarilli)。作中では英語風にSilmarilsと綴られることも多い。[[Letter>The Letters of J.R.R.Tolkien]]#131では「汚れなき光の輝き(radiance of pure light)」の意味と説明されている。))|
|~その他の呼び名|大宝玉(Great Jewel) &br; 三つの宝玉、三つの宝石(Three Jewels) &br; 太古の大宝玉(Primeval Jewels) &br; フェアノールの宝玉(Jewels of Fëanor)|

** 解説 [#wf66429c]
** 解説 [#Explanation]

[[フェアノール]]が作った3つの大宝玉の名。[[第一紀]]における[[中つ国]]の戦い([[宝玉戦争]])の中心となった存在。
[[フェアノール]]が作った三つの大宝玉。
[[悪>モルゴス]]に汚されたことのない始原の光が込められており、[[上古]]の[[宝玉戦争]]の中心となった。

>外見はダイヤモンドの結晶の如くに見え、しかも金剛石より堅固で、いかに激しい力を加えようと、これを傷つけ、あるいは毀ち得る者は、[[アルダ]]の世界広しといえども、いなかった。しかし、この堅固な結晶は、シルマリルにとっては、[[イルーヴァタールの子ら]]にとっての肉体の如きものであった。即ち、内なる火を入れる家なのである。内なる火はその中にあり、しかもそのすべての部分にあり、その命なのである。そして、シルマリルの内なる火は、[[ヴァリノール]]の[[二つの木]]の混ざり合う光から[[フェアノール]]が作り上げたもので、二つの木はとうに枯れ果て、もはや輝かないのに、その光は、シルマリルの中に今なお生きているのである。((『[[シルマリルの物語]]』「シルマリルとノルドール不穏のこと」))

*** シルマリルの創造 [#xa82e996]

[[月(天文)]]と[[太陽]]が天空に昇る前、世界を照らしていた[[二本の木]]([[テルペリオン]]と[[ラウレリン]])の光が込められて作られた。ために天空の星々の如く光り輝き、ダイアモンドの結晶のようでありながらダイアモンドよりも硬く、何人も傷つけることは出来なかったという。
シルマリルは[[ヴァルダ(エルベレス)>エルベレス]]によって清められ、死すべき者、不浄の者、悪しき者がシルマリルを手にするとその身を焼かれるようになった。[[マンドス]]は、[[アルダ]]の運命がシルマリルの中に閉じ込められていると予言した。
[[二つの木の時代]]に[[フェアノール]]によって作られる。
シルマリルには、[[月]]と[[太陽]]が作られるより前に[[至福の地アマン>アマン]]を照らしていた[[二つの木]]([[テルペリオン]]と[[ラウレリン]])の生きた光が不滅のものとなって込められていた。そのため、たとえ地の底の暗闇に置かれたとしても天空の星々の如くに自ら光り輝き、また他の光を受ければそれを喜んで見事な光彩を照り返した。シルマリルの命にあたるその光は、ダイアモンドの結晶のようでありながらダイアモンドよりも硬く、何人も傷つけることの出来ない器を肉体として宿っていたが、これがいかなる物質から造られていたのかはフェアノールの他に知り得る者はいないという。

フェアノールの最高傑作であり、その美しさに驚嘆しない者は一人としていなかった。
シルマリルは[[ヴァルダ>エルベレス]]によって聖められ、死すべき者、不浄の者、悪しき者が手にするとその身を焼かれるようにされた。
また[[マンドス]]は、'''大地も、海も、空気も、[[アルダ]]の運命はすべてシルマリルの中に閉じ込められている'''と予言した。

*** モルゴスによる強奪 [#zc93ba84]

3つのシルマリルは、[[モルゴス]]が[[フェアノール]]の父親[[フィンウェ]]を殺して奪い、[[至福の国]]から[[中つ国]]に逃げ去った。フェアノール及び彼の七人の息子は、モルゴス或いは他の何人が持っていようともシルマリルを取り戻すと誓言を立て、[[ノルドール]]を扇動して率い[[中つ国]]に帰還し、[[モルゴス]]に挑んだ。フェアノールはモルゴスとの戦いで死ぬが、フェアノールの息子達はこの時の誓言に縛られ続けることになる。モルゴスは、シルマリルを鉄の冠に填め込み、それを頭に戴いていた。
大敵[[メルコール>モルゴス]]はシルマリルの輝きを渇望し、[[ウンゴリアント]]と共謀して[[二つの木]]を殺害すると、[[フォルメノス]]を急襲してシルマリルを奪い取る。彼はそのまま[[アマン]]から[[中つ国]]に逃亡し、かつての拠点のひとつ[[アングバンド]]を再建すると、シルマリルを[[鉄の冠]]に填め込んで頭上に戴き「世界の王」を僭称した。

*** ベレンによる奪還 [#t3ed9a40]
二つの木が害された時、[[ヤヴァンナ]]はシルマリルに込められた光さえあれば瀕死の二つの木を蘇生させることができると訴えた。だが[[フェアノール]]は、自らが魂を込めて作り上げた作品を進んで差し出すことを拒否する。その直後にフォルメノスよりシルマリル強奪の報がもたらされたため、いずれにせよ二つの木が救われることはなかった。

シルマリルのうち一つは死すべき[[人間]]の[[ベレン>ベレン(バラヒアの息子)]]が手にした。
この時、シルマリルが奪われると共に父[[フィンウェ]]が殺害されたことを知ったフェアノールは、メルコールを「黒き敵」の意である[[モルゴス]]と呼んだ。さらに復讐とシルマリル奪回を果たすため[[中つ国]]に帰還するよう[[ノルドール]]族の大部分を扇動し、[[七人の息子>フェアノールの息子たち]]と共に[[フェアノールの誓言>フェアノール#Oath]]と呼ばれる恐るべき誓言を立てた。フェアノール自身は中つ国に帰還して間もなく[[ダゴール=ヌイン=ギリアス]]で戦死したが、誓言は後々まで禍根を残すことになる。

死すべき[[人間]]のベレンは、[[シンゴル]]の娘[[ルーシエン]]に求婚すると、シンゴルはその購いにシルマリルを要求する。シンゴルはこうすることにより、ベレンを死に追いやろうとしていた。だがベレンは[[ルーシエン]]と共にその探索の旅を行い、モルゴスの玉座の前まで行き、モルゴスを眠らせて、鉄の冠からシルマリルのうち一つを取った。彼の手は焼かれなかった。
ベレンはルーシエンと逃亡する途中で、シルマリルごと右腕を[[巨狼]][[カルハロス]]に噛み千切られる。するとカルハロスはシルマリルに腹を焼かれ狂気して走り去る。右手を失ったものの、ベレンは助かってルーシエンと共にシンゴルの元に戻った。
ベレンは回復するとシンゴルらと共にカルハロス狩りに行く。そしてカルハロスの腹の中からシルマリルを取り戻してシンゴルへと捧げた。だがその狩りでベレンは死に、ルーシエンも後を追った。その後ベレンとルーシエンは共に死から帰還し、共に過ごした。
[[ベレリアンド]]にそれぞれ王国を築いたノルドールの公子達は、他の[[エルダール]]や[[エダイン]]とも協力してモルゴスと戦ったが、[[アングバンド]]の守りを打ち破ることはできず、一つまた一つと滅ぼされていった。

*** 奪還されたシルマリルを巡る悲劇 [#b55be2f0]
*** ベレンとルーシエンによる奪回 [#t3ed9a40]

シルマリルはシンゴルの元にあったが、シンゴルは[[ドワーフ]]が作った首飾り[[ナウグラミーア]]とシルマリルを一つの宝にする細工を[[ドワーフ]]に依頼した。ドワーフの職人はこれを引き受けたが、仕事が成されるとドワーフはナウグラミーアとシルマリルの権利を主張。シンゴルが拒むと彼を殺して宝を奪い、逃げ去った。しかし、死から復活して[[中つ国]]に戻っていたベレンは[[エルフ]]を率いてドワーフ達を襲い、シルマリルを奪い返す。彼はルーシエンのためにこれを持ち帰った。
やがてベレンとルーシエンが本当に世を去ると、シルマリルはベレンとルーシエンの息子であり、シンゴルの世継ぎとなって[[ドリアス]]を治めていた[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]]の元に送られた。[[フェアノール]]の息子達はこれを知ると[[ドリアス]]を襲撃し、ディオルを殺す。しかしシルマリルはディオルの娘の[[エルウィング]]が持って逃れた。
[[アングバンド]]の地の底で、[[モルゴス]]の[[鉄の王冠]]に守られていたシルマリルだが、その一つを[[人間]]の勇士[[ベレン>ベレン(バラヒルの息子)]]と[[エルフ]]の乙女[[ルーシエン]]が取り戻すという功業を成し遂げる。このことは[[レイシアン]]に謳われている。

*** エアレンディルの航海と、星となったシルマリル [#s64a0429]
[[ベレン>ベレン(バラヒルの息子)]]は[[ベオル家]]の最後の世継であり、[[ルーシエン]]は[[シンダール]]の王[[シンゴル]]と、[[マイア>マイアール]]の[[メリアン]]との間に生まれた娘であった。
最愛の娘が[[死すべき運命]]の人間の男と恋に落ちたことを知ったシンゴルは、ベレンに'''モルゴスの冠からシルマリルを奪って、予のところに持って参れ。その上で、ルーシエンが望むなら、お前との婚約を許してやってもよい。'''と難題を課し、暗にベレンを葬り去ろうとする。
しかしベレンはエルフ王[[フィンロド]]や[[ヴァリノール]]の猟犬[[フアン]]らの助けを得て、ついには彼を追ってやってきたルーシエンと連れ立ってアングバンドに潜入し、モルゴスの玉座まで辿り着く。そこでルーシエンが眠りの魔法を使ってモルゴスと召使達を眠らせている間、ベレンが短剣[[アングリスト]]を使って[[鉄の冠]]からシルマリルの一つを取った。この時、ベレンの手は焼かれなかった。だが二人がアングバンドから脱出する時、[[巨狼]][[カルハロス]]が立ち塞がって、ベレンの右手ごとシルマリルを飲み込んでしまう。

やがてエルウィングは[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]と結婚する。エアレンディルは[[中つ国]]の者に慈悲と助力を請うため、西方の[[至福の国>アマン]]へと船出する。その間エルウィングはシルマリルを持って留守を守った。しかしエルウィングの元をまたもフェアノールの息子達が襲撃してくる。その時エルウィングは、シルマリルを持って海に身を投じた。
だがエルウィングは[[ウルモ]]の手によって波間から抱き上げられ、エアレンディルの船へと辿り着く。エアレンディルはシルマリルを輝かせながら航海を続け、至福の国へと到達。彼の慈悲と助力を請う願いは聞き届けられた。だがエアレンディルは中つ国に戻ることは許されず、彼の船([[ヴィンギロト]])はシルマリルを取り付けられて天空を航行し、中つ国の住民の希望の星として空に輝くことになる。
体内をシルマリルに灼かれて狂乱したカルハロスは[[ベレリアンド]]に恐るべき禍をもたらしたが、最後には[[シンゴル]]と[[ベレン>ベレン(バラヒルの息子)]]らの狼狩りに同行した[[フアン]]と相打ちになって倒され、シルマリルはその体内から取り出された。カルハロスの毒牙で致命傷を負ったベレンはあらためてシルマリルをシンゴルに捧げて息絶えた。こうしてベレンに課された難題は成し遂げられる。
この後、死んだベレンを追って[[マンドスの館]]まで赴いたルーシエンは、自分の不死の命と引き換えに、ベレンと共に[[中つ国]]へと帰還する。二人は[[死すべき運命]]の[[人間]]として[[トル・ガレン]]の島に住まったが、取り戻されたシルマリルの一つはシンゴルの手許に残された。

*** 残された2つのシルマリルの運命 [#k5bfe8f5]
*** 奪回されたシルマリルを巡る悲劇 [#b55be2f0]

残った2つのシルマリルはモルゴスの元に残っていたが、[[怒りの戦い]]によってモルゴスが滅ぼされると、シルマリルは鉄の冠から取り外され、[[エオンウェ]]が預かった。しかしフェアノールの息子の最後の生き残りである[[マイズロス]]と[[マグロール]]がシルマリルを盗み出した。
だがシルマリルは彼らの手を焼くことになる。マイズロスはシルマリルを持ったまま大地の火の裂け目に身を投げ、マグロールはシルマリルを海中に投じた。かくてシルマリルは一つは天空に、一つは世界の中心に燃える火の中に、そして一つはわたつみの深き底に永住の場所を見出した。
だが奪回されたシルマリルを巡って[[フェアノールの呪われた誓言>フェアノール#Oath]]が発動することになる。

今となっては、シルマリルの輝きは今ではただエアレンディルの星にのみ見出される。[[ガラドリエル]]の[[玻璃瓶]]はエアレンディルの星の輝きを集めたものであり、つまりシルマリルの輝きである。
[[フェアノールの息子たち]]は高圧的な言葉でシルマリルを引き渡すよう[[シンゴル]]に要求したが、シンゴルはこれを拒否。シンゴルは次第にシルマリルに魅了され、これをいつまでも自分の手許に置いておきたいとの思いを強くしていった。
やがてシンゴルの許に首飾り[[ナウグラミール]]がもたらされると、シンゴルはシルマリルとナウグラミールを一つにすることで、世に比類なき宝を作り出そうと考える。だが細工を依頼された[[ノグロド]]のドワーフたちもまたシルマリルに魅了された。シンゴルとドワーフはシルマリルの填め込まれたナウグラミールを巡って諍いを起こし((この諍いの原因については後世色々なことが言われており、ドワーフは当時からシンゴルが報酬を拒んだのが原因であると主張していた。主にエルフの史料から編纂されたものである『[[シルマリルの物語]]』本文では、このドワーフの主張は偽りだとされ、欲に駆られたドワーフがシルマリルとナウグラミールの権利を主張したためだとされている。後に[[ガンダルフ]]はエルフとドワーフの不和について「どちらの話も聞いている」と述べてあえて判断を下すことをしなかった。))、ドワーフたちはシンゴルを殺してついには宝を奪い取った。
これを知った[[ベレン>ベレン(バラヒルの息子)]]は[[緑のエルフ]]らを率いて帰路を急ぐドワーフたちを待ち伏せし、シルマリルの填め込まれたナウグラミールを奪い返した。([[サルン・アスラドの合戦]])

** コメント [#sfe0227b]
ベレンは[[ルーシエン]]のためにこれを[[トル・ガレン]]に持ち帰った。そのため[[二人が暮らす地>ドル・フィルン=イ=グイナール]]は束の間ではあったが、シルマリルによって増したルーシエンの力によって、[[ヴァリノール]]と見紛う程に美しい地になったという。

- あんなに美しいのに、それが争いと悲劇を齎すなんて知らなかった。モルゴスも目を引かれた程だし。 -- かごめ
- 美しいからこそ、でしょうね。美しいからこそ、誰彼も引き付けられて、欲望を駆り立てられてしまう。
かのフランス・ブルボン王家の大スキャンダルも、かの首飾りの美しさ、素晴らしさゆえに、起こってしまった事件といえますから。 -- YUE
- ひとつの指輪とはまた違った形で、誰もが手に入れたいと思わずにはいられない、汚れなき呪われたアイテム
- 愛のためとはいえ、孫が所有権を主張するのはおかしいのではないかと思うんですが、どうなんでしょうね。ベレンとルシアンベレンとルシアンがシルマリルを、フェアノール一族から横取りした事実は変わらないのだから、その子の歴史は一見美しいように書かれていますが、冷静に見直せば、結局この二人もフェアノール一族と同じで、自分のことしか考えてない。
- 愛のためとはいえ、孫が所有権を主張するのはおかしいのではないかと思うんですが、どうなんでしょうね。ベレンとルシアンがシルマリルを、フェアノール一族から横取りした事実は変わらないのだから、その子の歴史は一見美しいように書かれていますが、冷静に見直せば、結局この二人もフェアノール一族と同じで、自分のことしか考えてない。
- さてどうでしょう。一つ言えるのは、ベレンとルシアン (そして殆ど大多数のエルダール) は、シルマリルの為に同族を殺めるようなことはしなかっただろうと言う事。フェアノールの誓言に縛られた人々の比類できない業は、まさにその手を幾度も同族の血で染めた事にあるのでしょう。 -- K
- ↑について。
幸福な人間が良い気分でいられるのは、不幸な人々が自己の重荷を黙々と担ってくれているからに過ぎないんだし、この沈黙なしには幸福なんてありえない。これは社会全体の催眠術じゃありませんか
- ↑此処でこんな論争はどうかと思いますが…
幸福は不幸な人々を犠牲にして得られるものだけじゃないですよ。だから、あなたはちょっと筋違いの事を言ってると思います -- 部外者
- ある意味、「権威」の象徴と考えてみれば解り易いのではないでしょうか? ヨーロッパで何度も発生した「王位継承戦争」と、どこか似ているような気がします。 と、いうか、その辺りをモデルにしているのではないのかなぁ? -- NTJ会長
- シルマリルの大きさはどの位だと思いますか? -- tetu
- サッカーボールの3号球ぐらい!? -- okay
- 卓球の玉くらいでは? -- 飛び地板 &new{2007-05-18 (金) 12:23:10};
- 首飾りにつけられるくらいだから、そんな大きくは…ほんとにサッカーボールくらいだったらなんかやだな…(笑) --  &new{2007-11-07 (水) 23:22:12};
ルーシエンが生きている間は、[[フェアノールの息子たち]]もあえて手出しをしようとしなかった。だがベレンとルーシエンが死に、[[ドリアス]]を再建しようとしていた二人の息子[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]]の許にシルマリルが送られると、フェアノールの息子たちは再びシルマリルの引き渡しを要求する。これにディオルが返答しなかったため、フェアノールの息子たちはドリアスを襲撃してこれを滅ぼし、ディオルを殺害した。
しかしシルマリルはドリアスの遺民が持って[[シリオンの港]]へ逃れ、その中にはディオルの娘[[エルウィング]]がいた。

#comment
*** エアレンディルの航海と、星になったシルマリル [#s64a0429]

やがて[[ベレリアンド]]の[[自由の民]]の王国はすべて[[モルゴス]]に滅ぼされ、[[シリオンの河口]]付近のわずかな地が最後の避難所として持ちこたえていた。
[[ゴンドリン]]からこの地に逃れてきた[[半エルフ]]の[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]はかれらの主君となり、[[ドリアス]]から逃れてきた[[半エルフ]]の[[エルウィング]]と結婚。シルマリルも彼の手に渡る。エアレンディルの持つシルマリルの力により、この地には祝福と癒しがもたらされたという。

エアレンディルは優れた航海者となり、[[中つ国]]の[[エルフ]]と[[人間]]への慈悲と助力を請うため、ついに西方の[[アマン]]へ船出したが、エルウィングは留守を守っていた。
この間に[[フェアノールの息子たち]]から再びシルマリルを引き渡すよう要求があったが、エルウィングと[[シリオンの港]]の民はシルマリルを手放そうとはせず、フェアノールの息子たちは今度はシリオンの港を襲撃してこれを滅ぼした。エルウィングはシルマリルを抱えて海に身を投げた。
だがエルウィングは[[ウルモ]]の手によって波間から抱き上げられ、白い鳥の姿に変えられてエアレンディルの乗る船[[ヴィンギロト]]へと辿り着く。シルマリルの光に導かれたヴィンギロトは[[ヴァリノール隠し>ヌルタレ・ヴァリノーレヴァ]]を突破してアマンに到達し、エアレンディルによる[[ヴァラール]]への慈悲と助力を請う願いは聞き届けられた。

ただしエアレンディルは中つ国に戻ることは許されず、[[ヴィンギロト]]に乗って[[世の終わり>ダゴール・ダゴラス]]まで天空を航行する運命が課せられ、彼の持つシルマリルの光は中つ国の民に希望を与える[[明星>エアレンディルの星]]として空に輝くことになった。

*** 残された二つのシルマリルの運命 [#k5bfe8f5]

残った二つのシルマリルは[[モルゴス]]の手許に残っていたが、[[怒りの戦い]]でモルゴスが滅ぼされると[[鉄の冠]]から取り外され、[[エオンウェ]]が預かった。
[[フェアノールの息子たち]]の生き残りである[[マエズロス]]と[[マグロール]]は、残り二つのシルマリルを要求したが、エオンウェはシルマリルに対する彼らの所有権は[[フェアノールの誓言>フェアノール#Oath]]による数々の凶行によってもはや消滅したと伝え、二人に[[ヴァリノール]]に戻って裁きを受けるよう命じた。マエズロスとマグロールは彼ら自身倦み疲れていたが、なお誓言に呪縛されていたため、エオンウェの営舎に忍び込み、衛士を殺してシルマリルを盗み出そうとした。彼らの行いはその場で見咎められたが、エオンウェは二人を殺すことを禁じたため、マエズロスとマグロールは戦わずして遠くへ逃れ、銘々が一つずつシルマリルを取った。

だが彼らはすでに正当な所有者とは認められず、シルマリルは彼らの手を焼いた。マエズロスは絶望してシルマリルを抱えたまま火の燃え盛る大地の裂け目に身を投じて死に、マグロールはシルマリルを海中に投じた後、海辺をさまよいながら[[苦しみと悔恨の歌>ノルドランテ]]を歌い続け、二度と[[エルフ]]の間には戻らなかったという。

かくてシルマリルは一つは天空に、一つは世界の中心に燃える火の中に、そして一つはわたつみの深き底に永住の場所を見出し、いつの日か[[世界>アルダ]]が[[造り直される時>ダゴール・ダゴラス]]まで再び一つ所に集まることはなくなった。

*** その後のシルマリルの光 [#gec46277]

今となっては、シルマリルの輝きは[[エアレンディルの星]]にのみ見出される。

『[[指輪物語]]』で[[フロド・バギンズ]]が[[ガラドリエル]]から贈られた[[玻璃瓶]]は、[[水鏡>ガラドリエルの鏡]]に映じたエアレンディルの星の輝きを集めたものであり、つまりシルマリルの輝きである。

>「おや、旦那、おら、今まで一度も考えつかなかったな! おらたちの持ってるのは――いま持ってるのはそれの光の一部ですだよ、奥方から旦那がおもらいになったあの星の玻璃瓶にはいってるのは! おやおや、考えてみれば、おらたちもまだ同じ話の中にいるっちゅうこってすだ。話はまだまだ続いてますだねえ。えらい話というのはおしまいにならないんですかね?」
「そう、お話としては決しておしまいにならないね。」と、フロドがいいました。「だけどその中の人物たちは登場してき、やがて自分の役割がすむと行ってしまうんだよ。 … 」((『[[指輪物語]] [[二つの塔>指輪物語/二つの塔]]』「キリス・ウンゴルの階段」))

[[第三紀]]の終わりに[[指輪所持者]]たちが[[アマン]]へ船出する時、フロドは玻璃瓶を携えて行き、見送る[[サム>サムワイズ・ギャムジー]]たちの目からは船上にある玻璃瓶の光がちらちらと明滅し、やがて水平線に消えていくのが見えたという。

** コメント [#Comment]

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