* ベレン [#za713507]
** 概要 [#j4f3e3ec]

|~カテゴリー|人名|
|~スペル|Beren|
|~その他の呼び名|隻手(One-hand)、エアハミオン(Erchamion)、カムロスト(Camlost)|
|~種族|[[人間]]([[エダイン]])|
|~性別|男|
|~生没年|不明|
|~親|[[バラヒア>バラヒア(ブレゴールの息子)]](父)、[[エメルディア]](母)|
|~兄弟|なし|
|~配偶者|[[ルーシエン]]|
|~子|[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]](息子)|

** 解説 [#w20cf80c]

エアハミオン((隻手の意))、カムロスト((&ruby(くうしゅ){空手};の意。シルマリルを持たずにシンゴルの元に戻った時、自ら名乗った名))と呼ばれる。
[[第一紀]]における[[人間]]の英雄。[[エルフ]]の[[ルーシエン]]と結ばれ、[[半エルフ]]を世に送り出した。[[アラゴルン>アラゴルン二世]]や[[エルロンド]]の祖先にあたる。

*** ドルソニオンのベレン [#fcb7d9b8]

[[第一紀]]、[[バラヒア>バラヒア(ブレゴールの息子)]]と[[エメルディア]]の息子として[[ドルソニオン]]に生まれる。
当時[[ドルソニオン]]は[[モルゴス]]の軍によって攻撃され、包囲されていた。だがベレンはその地を脱出せず、父の[[バラヒア>バラヒア(ブレゴールの息子)]]の元に留まり、バラヒアの12人の仲間の一人として戦い続けた。
彼らが[[サウロン]]の配下によって奇襲を受けたとき、バラヒア達は全員殺されたが、ちょうどその時ベレンは一人偵察に出ていたため難を逃れる。その後ベレンは、バラヒア達を攻撃した[[オーク]]の後を単身で追い、[[バラヒアの指輪]]を奪回する。

以後もベレンはただ一人[[ドルソニオン]]で戦い続け、その勲は[[ベレリアンド]]中に広まった。モルゴスは彼に多大な賞金を賭けたが、[[オーク]]はベレンが近くにいるという噂だけで逃げ出した。この放浪時にベレンは鳥獣を友とし彼等に助けられたため、以後肉食をせず、モルゴスに仕えるものを除いていかなる殺生もしなかったという。

やがて、[[サウロン]]が指揮する部隊によって包囲されたベレンはドルソニオンを脱出した。彼は[[ナン・ドゥンゴルセブ]]をくぐり抜け、さらに[[マイア]]の[[メリアン]]が防備のために作った[[魔法帯]]を、運命に導かれて潜り抜ける。こうしてベレンは、[[灰色エルフ]]の王[[シンゴル]]の国である[[ドリアス]]に迷い込んだ。そこで彼はシンゴルとメリアンの娘、[[ルーシエン]]に出会った。以後二人は愛し合うようになる。

*** シルマリルの探索 [#sb40c21b]

[[人間]]を卑下していた[[シンゴル]]は、ベレンとルーシエンの関係を知ると激怒する。ベレンとの愛を貫こうという頑ななルーシエンに対しシンゴルは折れ、ベレンを殺すことも投獄することもしないと誓言する。だが代わりにシンゴルはベレンに対し、ルーシエンを妻とするためには[[シルマリル]]の一つを[[モルゴス]]から奪ってくることを要求した。
ベレンは、シルマリルを手にして戻ることを誓ってドリアスから一人旅立ち、助力を得るため[[ナルゴスロンド]]へと向かった。その地の王[[フィンロド・フェラグンド>フィンロド]]は、バラヒアの一族を援助するという自らの誓いを守るため、僅かな家来を連れてベレンと共に旅立った。
彼らは[[オーク]]の装備を奪い、フィンロドの術によってオークそっくりに変身し[[モルゴス]]の国へと潜入。だがその正体を[[サウロン]]に気取られて投獄された。サウロンは彼らの名前と目的を知るため、彼らを脅迫して一人一人[[巨狼]]に食らわせていったが、彼らは自分たちの秘密を守り抜いた。

やがてベレンが巨狼に食われる順番が来たが、その時フィンロドは己が戒めを弾き飛ばして巨狼と取っ組み合う。こうしてフィンロドはベレンの身代わりに、巨狼と相打ちになって死んだ。その後ベレンは、彼を助けるためにドリアスを抜け出してきた[[ルーシエン]]と、彼女に従っていた猟犬の[[フアン]]によって救出された。
彼らは再会を喜び合って休息し、共の時を過ごしたが、ベレンは再び自らの探索を追求する道を選び、一人で旅に出る。だがまたもルーシエンが、フアンと共に彼の後を追ってきてベレンと合流した。
彼らは人狼と[[吸血蝙蝠]]に変装して、モルゴスの城塞[[アングバンド]]へと忍び込む。そこでルーシエンが歌によってモルゴスらを眠らせ、その間にベレンが、モルゴスの王冠の[[シルマリル]]の一つを、[[アングリスト]]を使って取り外し、奪った。
それからベレン達は逃亡したが、眠りから目覚めた巨狼[[カルハロス]]が、ベレンの腕をシルマリルごと食いちぎった。カルハロスはシルマリルによって体を焼かれ、発狂し走り去ったが、ベレンはカルハロスの毒によって倒れた。その時[[大鷲]]の[[ソロンドール]]が現れて、ベレンたちを救出する。

*** ルーシエンとの婚約と、再度のシルマリル探索 [#a441d3cf]

やがてベレンはルーシエンとフアンの治療によって回復し、彼らはドリアスのシンゴルの玉座の前に現れた。シンゴルは二人の旅の話を聴いて驚嘆し、頑なな態度を捨てる。こうしてベレンとルーシエンは、シンゴルの前で婚約を果たした。
しかし狂気に陥った[[カルハロス]]がドリアスに接近していることを知ると、ベレンはシンゴルが指揮する狼狩りの一行に加わって出陣する。そのときベレンは、カルハロスに襲われたシンゴルを庇って重傷を負った。[[フアン]]と相打ちになって死んだカルハロスの腹からシルマリルが取り出されると、ベレンはそれを受け取ってシンゴルに捧げ、息絶えた。

*** ベレンの死と、中つ国への帰還 [#x3931531]

ベレンの死を知ったルーシエンは嘆き悲しみ、彼女の魂は[[ヴァラール]]の元へと向かう。ルーシエンの嘆きと嘆願がヴァラールに受け入れられ、ベレンは死すべき[[人間]]の中でただ一人だけ蘇ることを許され、ルーシエンも彼と同じく定命の存在となった。彼らは[[中つ国]]に舞い戻り、残り僅かな時を夫婦として[[トル・ガレン]]で過ごした。

ベレンの最後の戦いは、[[ドリアス]]を攻撃して[[シルマリル]]を奪った[[ドワーフ]]との戦いであり、彼は奪還した[[シルマリル]]を妻の元に持ち帰った。ベレンとルーシエンの息子として生まれた[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]]は、[[シンゴル]]の跡継ぎとなった。
ベレンとルーシエンの死を見届けたものも、彼らの亡骸の場所に墓標を建てた者もいなかったという。だがルーシエンが持っていたシルマリルは、彼らの死後にドリアスのディオルのもとに届けられた。

*** トールキン夫妻の墓碑銘 [#ra501117]

[[ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]は、自分と自分の妻をベレンとルーシエンに見立てている点があった。トールキンは妻のエディスが死ぬと、その墓に[[ルーシエン]]の名を刻ませる。その後、彼自身が死去して葬られたとき、トールキンの墓にはベレンの名が刻まれた。

** コメント [#y7911ce0]

- ベレンはめちゃめちゃ格好良いと思います。ものすごい苦労人ですけど……。 -- yue
- 詳しくない人ですが、この人かっこよすぎでは?
- ヌーメノール王朝、ひいてはドゥネダインの首長の祖であり、エルロンドの先祖ですからね、かっこいいのは当然かな(笑) -- Laurelin &new{2007-10-25 (木) 19:04:12};
- 「ただの人間」が努力によって得ることのできる強さの極として描かれていますね。多分彼以前にも以後にも、ここまでの功を立てた中つ国の民は居ないでしょう。たいしたものです。格好良くて当然。 -- 「ど」の字 &new{2007-10-28 (日) 08:24:06};
- 原作「旅の仲間」で、アラゴルンがベレンとルシアンの物語を静かに語るシーンがあります。地味ですが印象深いです。 --  &new{2008-01-16 (水) 23:21:24};
- でも…本人の実力というよりも、周囲(フィンロドやファンやルーシエン)の助けがあってこその活躍だったような… --  &new{2008-06-23 (月) 03:11:37};

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