#author("2018-08-12T14:02:18+09:00","","")
#author("2018-09-28T04:02:49+09:00","","")
* セオデン [#xf9d66cd]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Théoden(([[古英語]]で「一族の首長」の意))|
|~その他の呼び名|エドニュー(Ednew)((古英語で「更生せる」の意。))|
|~種族|[[人間]]([[ロヒアリム]])|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2948~†3019年(享年71)。在位2980~3019(39年間)|
|~親|[[センゲル]](父)、[[モルウェン>モルウェン(センゲルの妻)]](母)|
|~兄弟|[[セオドウィン]](妹)含め姉妹4名|
|~配偶者|[[エルフヒルド]]|
|~子|[[セオドレド]](息子)|
|~子|[[セオドレド]](息子)、[[エオメル]](養子)、[[エオウィン]](養女)|

** 解説 [#Explanation]

|>|>|~[[リダーマーク]]の王|h
|CENTER:第16代&br;[[センゲル]]&br;2953~2980|CENTER:第17代&br;''セオデン''・エドニュー&br;[[第三紀]]2980~3019|CENTER:第18代&br;[[エオメル]]&br;3019~[[第四紀]]63|

[[ローハン(マーク)>ローハン]]17代目の王。[[センゲル]]と[[モルウェン>モルウェン(センゲルの妻)]]の息子で[[セオドウィン]]の兄。他に姉が一人と妹が二人いた。[[エルフヒルド]]を妻とし[[セオドレド]]の父となる。[[指輪戦争]]当時のローハン王。帯びる剣の名は[[ヘルグリム]]、乗馬の名は[[雪の鬣]]。
母の故国である[[ゴンドール]]で生まれ、2953年に父がローハンの王位を継承するまでその地に暮らした。若年の頃より戦を好む勇猛な武人かつ優れた騎手であった。
妹婿の[[エオムンド]]が[[オーク]]に殺され、妹の[[セオドウィン]]も病を得て亡くなると、二人の子供である[[エオメル]]と[[エオウィン]]を引き取って養子として育てた。

(『[[終わらざりし物語]]』によると)3014年66歳の時より病を得て、以降ひどく健康が衰えていくようになる。これはローハンの奪取を狙った[[サルマン]]の魔力と、その間者である[[グリマ]]の術策によるものであった。セオデンは自分が年老いて耄碌したのだと思い込んで次第に政務が取れない状態になり、相談役であるグリマが王の名の下に王国の実権を握るようになる。
一方で息子の[[セオドレド]]や甥の[[エオメル]]、第一軍団を事実上統括する[[エルフヘルム]]や近衛隊長の[[ハマ>ハマ(セオデンの騎士)]]といったローハンの将軍達はグリマに不信感を抱いて、しばしば独自に国を守るための行動を起こした。彼らのグリマへの不信感は3018年([[大いなる年>大いなる年#Year3018]])に[[オルサンク]]から脱出した[[ガンダルフ]]が、サルマンの裏切りを告げたことにより一層深まった。

*** [[角笛城の合戦]] [#r448ddff]

>椅子には老齢のためにドワーフとも見紛うくらい背中の曲がった老人が坐っていました。白い髪は長く豊かで、幾条にも太く編まれて、額の上にはめられた薄い金の王冠の下から垂れていました。額の真ん中にはたった一つ白いダイヤモンドが光っています。顎鬚が雪のように膝にかかっていました。しかしその目はいまだに炯々たる光を失わず、客人たちを見すえる際にきらりと光りました。((『[[指輪物語]] [[二つの塔]] 上』「六 黄金館の王」))

[[オルサンク]]から脱出した[[ガンダルフ]]が[[エドラス]]を訪れた際、セオデンは[[グリマ]]の讒言もあってガンダルフを疎み、彼を追い払うために不本意ながら[[飛蔭]]を貸し与えた。さらにその後の3019年2月25日に起こった[[アイゼンの浅瀬の合戦]]で一人息子の[[セオドレド]]が討ち死にする。その後、グリマを批判し、彼が[[エオウィン]]を自分のものにしようとしていることを知って、彼に剣を向けたエオメルを、セオデンはグリマに言われるままに反逆のかどで投獄する。
そのため、3月2日にガンダルフ、[[アラゴルン二世]]、[[レゴラス]]、[[ギムリ]]の一行がエドラスにやって来た当初は彼らを冷淡に迎え、グリマと共にガンダルフを「疫病神」と呼んで非難した。しかし、ガンダルフによってグリマの讒言の呪縛から解き放たれて癒され、屈めていた背を伸ばし、若返ったようにかつての活発さを取り戻して統治に復帰する。

セオデンはガンダルフの忠告を容れてグリマを殺さずに追放し、また放免したエオメルを自らの軍事上の第一の相談役にして王位後継者に指名する。さらに、ガンダルフにあらためて[[飛蔭]]を与えた。
ガンダルフの助言に従ってセオデンは非戦闘員を[[馬鍬谷]]の避難所に向かわせる一方で、自らはあくまで戦いに打って出ることを譲らず、[[ヘルグリム]]を佩いて乗馬[[雪の鬣]]に跨り、戦える限りの者を率いてサルマンの脅威を取り除くべく、直ちに[[西谷]]に軍を進めることにする。だがその途上で[[ケオル]]から[[アイゼンの浅瀬]]が突破されたことと、[[エルケンブランド]]が敗走したとの報せを受け取って方向を転じ、[[アイゼンガルド]]の大軍勢に対抗するべく[[ヘルム峡谷]]の[[角笛城]]に籠城した。
[[角笛城の合戦]]では、峡谷を塞ぐ奥の防壁が敵の手に落ち、城内に敵がなだれ込んでくるのも時間の問題となった際、夜明けを合図に高らかに[[ヘルム]]の角笛を吹き鳴らさせて出撃した。セオデンの出撃に呼応して籠城軍は反撃に転じ、敵を[[ヘルムの堤防]]まで押し戻すことに成功する。そこでセオデンらは谷が[[フオルン]]の森に覆われているのを目にし、また西側の崖の上にガンダルフが呼び集めた[[エルケンブランド]]ら西谷の軍勢が集結していることにも気づく。こうして三方から挟み撃ちにされたアイゼンガルド軍は打ち破られ、ローハンは勝利を得た。

ヘルム峡谷での勝利後は、ガンダルフに連れられて[[アイゼンガルド]]まで出向き、[[サルマン]]の声の魔力を用いた和平の勧誘をきっぱりと拒絶する。
またこの時、[[ロヒアリム]]の間では「ホルビトラン」として伝承されている[[ホビット]]の[[メリアドク・ブランディバック]]と[[ペレグリン・トゥック]]をはじめて目にした。特に彼らの[[喫煙>パイプ草]]の習慣に興味を抱き、メリアドクとそれについて話を交わすことを約束する。だがそれは結局果たされなかった。

*** [[ペレンノール野の合戦]] [#i9de5018]

[[ドル・バラン]]の夜営地に[[ナズグール]]が飛来した後、セオデンは急ぎ[[馬鍬谷]]から[[エドラス]]に向かい、[[ローハン]]全軍を召集することを決める。その途上で立ち寄った[[角笛城]]で、[[メリアドク・ブランディバック]]を自らの小姓に取り立て、[[小馬]]の[[スティッバ]]を与えた。
[[馬鍬砦]]には、既に[[ガンダルフ]]の忠告によってローハン全軍が集結しており、さらに一行が到着した夜に[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]から、[[ゴンドール]]の危急を知らせ援軍を要請する[[赤い矢]]を携えてきた使者[[ヒアゴン]]がやってくる。さらに翌日3月10日は[[モルドール]]が送り出した暗闇のために曙光のない朝となり、[[サウロン]]が西方世界との全面戦争を開始したことが知れる。そのためセオデンは召集した1万を超す全軍から、国の防衛のために残しておかなければならない人員を除いた約6000名の騎兵を率いて直ちにミナス・ティリスへの行軍を開始する。

>そして今や王は薄暗がりにかすかに輝く白馬にまたがりました。その姿は丈高く堂々と見えました。ただ高い兜の下から垂れた髪は雪白でした。多くの者は驚嘆してかれを仰ぎ、背筋を伸ばした王の無畏の姿を見て気を取り直すのでした。((『[[王の帰還]] 上』「三 ローハンの召集」))

この時、[[エオウィン]]に留守を任せ、またメリアドクは迅速な行軍に耐えられないとして、それぞれエドラスに残していくことを決めた。しかしそれはエオウィンとメリアドクにとっては不服なことであった。

ローハンの軍勢は[[白の山脈]]に沿って進軍し、途中[[ドルーアダンの森]]で[[ドルーエダイン]]の酋長[[ガン=ブリ=ガン]]の協力を得る。彼らはドルーエダインの導きで[[石車谷]]を通り、[[西街道]]で待ち伏せる敵に気取られることなく[[ランマス・エホール]]の破れ目から[[ペレンノール]]野に入り、そこでミナス・ティリスがモルドールの大軍勢に包囲されている様を目撃する。その惨状にセオデンは一時怖気づいたかに見えたが、にわかに暗雲を運び去る風と光が感じられ、それとともに[[グロンド>グロンド(破城槌)]]と[[魔王]]によって都の大門が破壊された轟音が響き渡る。
その瞬間、セオデンは心を決め、かつて命限りある[[人間]]の口からは聞かれたことのないようなはっきりと澄んだ声で全軍に号令をかけ、角笛を吹き鳴らすと、ペレンノール野へと駆け下っていった。

>立てよ、立て、セオデンの騎士らよ!
捨身の勇猛が眼ざめた、火と殺戮ぞ!
槍を振え、盾をくだけよ、
剣の日ぞ、赤き血の日ぞ、日の上る前ぞ!
いざ進め、いざ進め、ゴンドールへ乗り進め!((『王の帰還 上』「五 ローハン軍の長征」))

>いきなり王は[[雪の鬣]]に向かって呼びかけました。馬は身を躍らせて走り去りました。王の背後には、緑野に白馬の駆ける王旗が風にひるがえっていましたが、王はたちまち旗手を引離して駆け去りました。王を追って王家直属の騎士たちが蹄の音を轟かせて続きましたが、王は終始変わらずかれらの先頭に立ちました。[[エオメル]]はその疾駆する速さに兜につけた白い馬の尻尾をなびかせながら馬を駆けさせました。[[第一&ruby(エオレド){軍団};>エオレド]]の先頭に立つ者たちはまるで大波が岸辺に泡立って砕けるように轟く音をたてて前進しましたが、だれもセオデンに追い着くことはできませんでした。王は死を目前にした者のように異常に高ぶって見えました。でなければかれの先祖たちの激しい戦いの情熱が新しい火のようにかれの血管をへめぐったのです。雪の鬣に運ばれて行くその姿は古の神の一人とも、この世界がまだ若かった頃の[[ヴァラール]]の合戦における偉大な狩人[[オロメ]]とさえも見えるのでした。黄金の盾の被いが取られました。すると見よ! 盾は太陽の化身さながら燦然と輝き、乗馬の白い足の駆けるところ、草は緑にもえ立ちました。((同上))

[[ロヒアリム]]は戦いの歓びに歌を歌いながらペレンノールを席巻し、セオデンは[[アラウ(オロメ)>オロメ]]その人かと見まごうほどの獅子奮迅の戦いを見せた。かれらは敵の手に落ちていたペレンノールの半分近くを掃討したが、包囲の環を破るには至らず、また[[ハラドリム]]の騎兵からなる主力部隊も迫ってきていた。
ロヒアリムの王の守りが手薄なことを見て取ったハラドリムの指揮官と、かれらの接近に気付いたセオデンとは猛然と激突し、セオデンは多勢に無勢ながら敵陣を打ち破って指揮官の[[黒い蛇]]を討ち取り、さらに敵の旗印を旗手もろとも一刀両断にして勝利を収めた。

だがこの勝利の次の瞬間に、周囲は[[魔王]]の投げかける暗闇と恐怖のために浮足立ち、恐慌に陥った[[雪の鬣]]は脇腹に黒い矢を受けて倒れた。セオデンは倒れた馬の下敷きとなって致死の重傷を負う。
とどめを刺そうとする魔王からセオデンを救ったのは、命令に背いて密かに戦場まで付き従ってきた[[エオウィン]]と[[メリアドク・ブランディバック]]であった。今際のセオデンは、メリアドクや[[エオメル]]らが看取る中(自分のすぐそばにエオウィンが倒れていることを知らないまま)、エオメルに王位を譲り、かれらに別れの言葉を告げて死んだ。

[[指輪戦争]]後、セオデンの棺はしばらく[[ラス・ディネン]]に安置されていたが、戦後処理のため母国に一時帰国していた[[エオメル]]と[[ローハン]]の騎士たちが迎えに来て、葬列が作られた(この時メリアドクは、小姓としてセオデンの武器を持ち、セオデンの棺を運ぶ馬車に同乗した)。そしてセオデンの棺は[[エドラス]]の塚原に塚を築いて葬られ、[[グレオヴィネ]]が作ったセオデンの歌が歌われた。

***画像 [#d9fcb51f]

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** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[バーナード・ヒル]]|
|~日本語吹き替え|[[佐々木勝彦]]|

原作のセオデンは71歳の白髪・白鬚の老武人だが、映画では(演じたバーナード・ヒルの年齢もあってか)かなり若い外見になっている。
おおよそ原作の軌跡に準じた活躍を見せるが、[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]との掛け合いはかなり短縮されている。[[ハラドリム]]の指揮官([[黒い蛇]])との対決もなく、激突するのは騎兵ではなく[[ムマキル]]の隊列となっている。[[雪の鬣]]は、[[恐るべき獣]]に直接襲われ噛みつかれて振り回され、放り投げられてセオデンはその下敷きとなった。
いまわの際に、メリーや[[エオメル]]ではなく[[エオウィン]]に会っている。

*** 画像 [#s0d0e52b]

&ref(vlcsnap-00086.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるセオデン);&ref(vlcsnap-00023.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるセオデン);&ref(vlcsnap-00053.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』における、ガンダルフに癒やされる前のセオデン);

*** グッズ [#z5d73e25]

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** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

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** コメント [#Comment]

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