#author("2018-09-01T00:58:44+09:00","","")
#author("2018-09-01T11:16:19+09:00","","")
-始祖ベオルの子孫でベレン・エアハミオンの母方の祖父ベレン(Beren)については、[[ベレン(エメルディアの父)]]を参照してください。
-ゴンドールの統治権を持つ19代目の執政ベレン(Beren)については、[[ベレン(エガルモスの息子)]]を参照してください。
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* ベレン [#za713507]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Beren|
|~その他の呼び名|片手のベレン、隻手のベレン(Beren One-hand)、エアハミオン(Erchamion)、カムロスト(Camlost)((「&ruby(くうしゅ){空手};(Empty-handed)」の意味。[[シンゴル]]の許に戻った時、巨狼に[[シルマリル]]ごと食いちぎられた右手を示したことに因んで自ら名乗った名。))|
|~種族|[[人間]]([[エダイン]])|
|~性別|男|
|~生没年|[[第一紀]]|
|~親|[[バラヒア>バラヒア(ブレゴールの息子)]](父)、[[エメルディア]](母)|
|~兄弟|なし|
|~配偶者|[[ルーシエン]]|
|~子|[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]](息子)|

** 解説 [#Explanation]

[[シンダール語]]で「&ruby(せきしゅ){隻手};(One-handed)」の意である''エアハミオン''と呼ばれる。
[[第一紀]]における[[人間]]([[エダイン]])の英雄で、[[エルフ]]の乙女[[ルーシエン]]と結ばれ、彼女とともに[[モルゴス]]の[[鉄の王冠]]から[[シルマリル]]の一つを取り戻した。その功業と運命は[[レイシアン]]という歌に歌われている。

[[エルロンド]]の母方の曽祖父であり、[[アラゴルン>アラゴルン二世]]の遠い祖先にもあたる。

*** ドルソニオンのベレン [#fcb7d9b8]

[[第一紀]]、[[ベオル家]]の[[バラヒア>バラヒア(ブレゴールの息子)]]と[[エメルディア]]の息子として[[ドルソニオン]]に生まれる。
[[ダゴール・ブラゴルラハ]]以降、[[ドルソニオン]]は[[モルゴス]]の軍によって攻撃され、包囲されていた。だがベレンはその地を脱出せず、父の[[バラヒア>バラヒア(ブレゴールの息子)]]の元に留まり、バラヒア率いる[[ドルソニオンの無宿者たち]]の一人として戦い続けた。
[[タルン・アイルイン]]にあった彼らの隠れ家が[[サウロン]]の策略による[[ゴルリム]]の裏切りによって[[オーク]]の奇襲を受けた時、バラヒア達は全員殺されたが、ちょうどその時ベレンは一人偵察に出ていたため難を逃れた。ベレンは夢の中でゴルリムの亡霊から危機を知らされ、急いで隠れ家に戻り、父バラヒアを埋葬した。その後、オークたちの後を単身で追い、[[リヴィル]]の泉でオークの隊長から[[バラヒアの指輪]]を奪回した。

以後、ベレンは四年の間ただ一人[[ドルソニオン]]で戦い続け、その勲は[[ベレリアンド]]中に広まった。モルゴスは彼に多大な賞金を賭けたが、[[オーク]]はベレンが近くにいるという噂だけで逃げ出した。この放浪時にベレンは鳥獣を友とし彼等に助けられたため、以後肉食をせず、モルゴスに仕えるものを除いていかなる殺生もしなかったという。

***ドルソニオンからの脱出とルーシエンとの出会い [#s9e4b768]

やがて、[[サウロン]]が指揮する軍を差し向けられたベレンは[[ドルソニオン]]を脱出した。彼は[[エレド・ゴルゴロス]]の高みから[[ドリアス]]の[[隠れ王国]]を望見し、そこに行ってみることを思い立つ。彼は恐怖の地[[ナン・ドゥンゴルセブ]]を縦断し、[[マイア]]の[[メリアン]]が防備のために作った[[魔法帯]]を、彼女が予言した如く運命に導かれて潜り抜けた。こうしてベレンは[[灰色エルフ]]の王[[シンゴル]]の国である[[ドリアス]]に迷い込み、[[ネルドレス]]の森でシンゴルとメリアンの娘、[[ルーシエン]]に出会った。ベレンは彼女に[[ティヌーヴィエル]]の名を与え、以後二人は愛し合うようになる。

*** シルマリルの探索 [#sb40c21b]

[[人間]]を卑下していた[[シンゴル]]は、ベレンとルーシエンの関係を知ると激怒する。ベレンとの愛を貫こうという頑ななルーシエンに対しシンゴルは折れ、ベレンを殺すことも投獄することもしないと誓言する。だが代わりにシンゴルはベレンに対し、ルーシエンを妻とするためには[[シルマリル]]の一つを[[モルゴス]]から奪ってくることを要求した。

ベレンは、シルマリルを手にして戻ることを誓ってドリアスから一人旅立ち、[[フィンロド・フェラグンド>フィンロド]]の助力を得るため[[ナルゴスロンド]]へと向かった。フィンロドは、バラヒアの一族を援助するという自らの誓いを守るためベレンと共に旅立とうとするが、ナルゴスロンドのエルフたちは[[フェアノールの息子たち]]である[[ケレゴルム]]と[[クルフィン]]を恐れたため、フィンロドに同行した者は僅か十人に過ぎなかった。

彼らは[[オーク]]の装備を奪い、フィンロドの術によってオークそっくりに変身し[[モルゴス]]の勢力圏に潜入した。だがその正体を[[サウロン]]に気取られて[[トル=イン=ガウアホス]]の土牢に投獄された。サウロンは彼らの名前と目的を知るため、彼らを脅迫して一人一人[[巨狼]]に食らわせていったが、彼らは自分たちの秘密を守り抜いた。
やがてベレンが巨狼に食われる順番が来たが、その時フィンロドは己が戒めを弾き飛ばして巨狼と取っ組み合う。こうしてフィンロドはベレンの身代わりに、巨狼と相打ちになって死んだ。その後ベレンは、彼を助けるためにドリアスを抜け出してきた[[ルーシエン]]と、彼女を[[ケレゴルム]]から助けて従っていた猟犬の[[フアン]]によって救出された。
やがてベレンが巨狼に食われる順番が来たが、その時フィンロドは己が戒めを弾き飛ばして巨狼と取っ組み合う。こうしてフィンロドはベレンの身代わりに、巨狼と相打ちになって死んだ。その後ベレンは、彼を助けるためにドリアスを抜け出してきた[[ルーシエン]]と、ルーシエンを[[ケレゴルム]]から助けてルーシエンに従っていた猟犬の[[フアン]]によって救出された。

彼らは再会を喜び合って休息の一時を過ごしたが、[[ブレシル]]の森で[[ナルゴスロンド]]を追われてきた[[ケレゴルム]]と[[クルフィン]]に遭遇する。彼らに襲われて争ったベレンは、ついにケレゴルムを見限ったフアンの助けによって勝利し、クルフィンから短剣[[アングリスト]]を奪った。しかしクルフィンが逃げ去りながら放った矢からルーシエンを庇って傷を負う。フアンの取ってきた薬草でルーシエンに手当てを受けて回復した後、ベレンは再び自らの探索を追求する道を選び、一人で旅に出る。だがまたもルーシエンが、フアンと共に追ってきてベレンと合流した。

彼らはフアンの取ってきた[[巨狼]][[ドラウグルイン]]と[[吸血蝙蝠]][[スリングウェシル]]の皮を被って変装し、モルゴスの城塞[[アングバンド]]へと忍び込む。そこでルーシエンが歌によってモルゴスらを眠らせ、その間にベレンが、モルゴスの[[鉄の冠]]の[[シルマリル]]の一つを、[[アングリスト]]を使って取り外し、奪った。ベレンは残りの二つのシルマリルをも持ち出そうとしたが、これはシルマリルの運命ではなく、アングリストの刃は折れた。
二人は逃亡したが、眠りから目覚めた巨狼[[カルハロス]]が城門の前で待ち構えており、カルハロスはベレンの右手をシルマリルごと食いちぎった。カルハロスはシルマリルによって体を焼かれ、発狂し走り去ったが、ベレンはカルハロスの毒によって倒れた。その時[[大鷲]]の王[[ソロンドール]]が現れ、ベレンとルーシエンを救出した。

*** ルーシエンとの婚約とカルハロス狩りにおけるベレンの死 [#a441d3cf]

やがてベレンはルーシエンとフアンの治療によって回復し、彼らは[[ドリアス]]の[[シンゴル]]の玉座の前に現れた。シンゴルは二人の旅の話を聴いて驚嘆し、頑なな態度を捨てる。こうしてベレンとルーシエンは、シンゴルの前で婚約を果たした。
しかし狂気に陥った[[カルハロス]]がドリアスに接近していることを知ると、ベレンはシンゴルが指揮する狼狩りの一行に加わって出陣する。そのときベレンは、カルハロスに襲われたシンゴルを庇って重傷を負った。[[フアン]]と相打ちになって死んだカルハロスの腹からシルマリルが取り出されると、ベレンはそれを受け取ってシンゴルに捧げ、息絶えた。

*** ベレンの復活と中つ国への帰還 [#x3931531]

[[ルーシエン]]は瀕死のベレンに対し、[[西海>大海]]の彼方の岸辺で待っていてくれるように言い、ベレンが死ぬとルーシエンの魂もまた西海の彼方[[マンドスの館]]へと向かった。ここで彼女の嘆願したことは[[ヴァラール]]に受け入れられ、ベレンは死すべき[[人間]]の中でただ一人だけ蘇ることを許されるが、その代わりルーシエンも彼と同じく定命の存在となった。彼らは[[中つ国]]に舞い戻り、束の間の時を夫婦として[[トル・ガレン]]で過ごした。

ベレンの最後の戦いは、[[ドリアス]]を攻撃して[[シルマリル]]を奪った[[ドワーフ]]との戦いであり、彼は奪還した[[シルマリル]]を妻の元に持ち帰った。ベレンとルーシエンの息子として生まれた[[ディオル>ディオル(ベレンの息子)]]は、[[シンゴル]]の跡継ぎとなった。
ベレンとルーシエンの死を見届けたものも、彼らの亡骸の場所に墓標を建てた者もいなかったという。だがルーシエンが持っていたシルマリルは、彼らの死後にドリアスのディオルのもとに届けられた。
ベレンとルーシエンの死を見届けたものも、彼らの亡骸の場所に墓標を建てた者もいなかったという。だがルーシエンが持っていたシルマリルは、彼らの死後に[[ドリアス]]のディオルのもとに届けられた。

*** トールキン夫妻の墓碑銘 [#ra501117]

[[ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン]]は、自分と自分の妻をベレンとルーシエンに見立てている点があった。トールキンは妻のエディスが死ぬと、その墓に[[ルーシエン]]の名を刻ませる。その後、彼自身が死去して葬られたとき、トールキンの墓にはベレンの名が刻まれた。

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