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#author("2017-11-23T14:14:42+09:00","","")
* シェロブ [#w68f8fcb]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Shelob((英語で女性を意味する接頭辞sheと、[[古英語]]で蜘蛛を意味するlobを合わせた語。『[[The Letters of J.R.R.Tolkien]]』のLetter 144(1954年)によると雌蜘蛛(female spider)の意味で、設定上は[[エルフ語]]で[[蜘蛛]]を意味するウンゴル(Ungol)の翻訳であり、[[共通語]]で'''She-lob'''を意味する語を英語で表したもの。またLetter 70(1944年、[[クリストファー・トールキン]]宛)においては「sheとlobを繋げただけだが、それだけで不快な響きになる」と述べられている。))|
|~その他の呼び名|太母(the Great)、奥方(Her Ladyship)、猫(cat)|
|~種族|[[蜘蛛]]|
|~性別|女|
|~生没年|不明|
|~親|不明(祖は[[ウンゴリアント]])|
|~兄弟|不明|
|~配偶者|多数いたが、シェロブに食われたという|
|~子|多数|

** 解説 [#Explanation]

[[トレヒ・ウンゴル]]の洞窟に棲む、巨大な[[蜘蛛]]のような姿をした怪物。[[ウンゴリアント]]の末裔で、[[闇の森]]などに巣くう邪悪な蜘蛛の祖。

[[上古]]の[[エレド・ゴルゴロス]]近辺に生息していた蜘蛛の一体で、[[怒りの戦い]]による[[ベレリアンド]]の水没を逃れて[[モルドール]]の地(当時はそう呼ばれていなかった)に辿り着き、[[トレヒ・ウンゴル]]を巣としてそこを恐怖と暗闇で満たした。
[[サウロン]]はシェロブのことを「猫」と呼んで[[キリス・ウンゴル]]の番人代わりに利用しており、巣の近くを通る[[オーク]]がしばしば餌食になっても黙認していた。さらに使い途のなくなった囚人を餌として送り込むこともあったという。一方でシェロブ自身はサウロンのことは意に介しておらず、自らの欲望にのみ従って生きていた。

>しかしいまだにかの女はここにいるのです。[[サウロン]]より前に、[[バラド=ドゥア>バラド=ドゥーア]]の最初の石が置かれるより前に、ここにいたのです。そしてかの女は自分以外のだれにも仕えず、[[エルフ]]と[[人間]]の血を飲んでふくれ上がり、肥え太って、絶えずご馳走に思いをめぐらしながら、影の糸を巣に絹りなしていたのです。というのは生きているものはすべてかの女の食料であり、かの女の吐き出すものは暗闇であったからです。かの女自身の末裔であり、結局かの女に殺されてしまう哀れな連れ合いたちとの間にかの女がもうけた私生児たち、かの女より劣るその子供たちはあまねく谷から谷へと広がっていました。 … しかし一匹としてこのシェロブ太母、不幸な世を騒がす[[ウンゴリアント]]の最後の産物であるかの女にかなう者はいませんでした。((『[[指輪物語]] [[二つの塔]]』「シェロブの棲処」))

*** 『[[指輪物語]]』におけるシェロブ [#afc72bf0]

>[[サム]]が[[星の玻璃>玻璃瓶]]の光を隠すや否や、かの女がやって来ました。少し前方の左手に突然見えたのは、崖の下の暗闇の黒々とした穴から出て来た、かつて見たこともないほどおぞましい姿でした。悪夢の恐怖も及ばぬぞっとする恐ろしさでした。大体蜘蛛の形をしているのですが、大きな猛獣たちよりさらに大きく、その無慈悲な目に凶悪な意図を湛えているゆえに一層戦慄すべき恐ろしいものでした。 &br;  … かの女は大きな触覚を持ち、短い軸のような首の後ろにはとてつもなく巨大な盛り上がった体がありました。それはふくらんだ大きな袋のようにその脚の間にたわんで揺れていました。その大きな胴体は黒く、青黒いあざがまだらについていましたが、下になった腹部は青白く光り悪臭を放っていました。その脚は折り曲げられていましたが、節のある大きな関節はその背中より高いところにあり、鋼のとげのように突き出た毛が生えていて、それぞれの脚の先には鉤爪がありました。((同上))

[[第三紀]]2980年頃に[[モルドール]]の境界に辿り着いた[[ゴクリ]]はシェロブに出会い、彼女を崇拝するようになる。
[[大いなる年]]、ゴクリは[[フロド・バギンズ]]と[[サムワイズ・ギャムジー]]を[[トレヒ・ウンゴル]]まで誘導し、シェロブの餌とすることで[[一つの指輪]]を奪回しようと謀った。

フロドとサムワイズは[[つらぬき丸]]と[[ガラドリエルの玻璃瓶>玻璃瓶]]によってシェロブの糸と暗闇を突破したが、シェロブは突出して走っていたフロドに追いつき、彼の首に麻酔性の毒を注入して仮死状態に陥れる。そのままフロドを蜘蛛の糸でくるんで餌食として運び去ろうとしていたところ、追いついてきたサムワイズから予想外の反撃を受けた。
サムワイズは右手の[[塚山出土の剣]]でシェロブの複眼の一つを刺し、さらに体の下に入り込んで[[つらぬき丸]]で深く斬り付ける。シェロブはサムワイズを押しつぶそうと身を沈めたが、そのためにサムワイズが両手で構えたつらぬき丸の刃をより一層わが身に突き立てる結果となり、これまで受けたことのない深手を負わされた。さらにサムワイズの掲げた玻璃瓶の光が傷口から体内に浸透したことで、完全に撃退された。

作中では巣に逃げ帰ったシェロブが受けた深手に苦しみ続ける描写があるだけで、そのまま死亡したのか生き延びたのか、最終的にどのような運命をたどったかはいかなる物語にも語られていないという。

シェロブの毒は[[指輪戦争]]が終結した後もフロドを苦しめ、負傷した日である3月13日になる毎にフロドは病んで臥せるようになった。

*** 画像 [#q27a7cdc]

&ref(Shelob.jpg,,25%,アラン・リー作画によるシェロブ); &ref(sherobbyterashima.jpg,,25%,寺島龍一作画によるシェロブ); 

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

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#amazon(B0002ZGVOW)

登場シーンは『[[二つの塔]]』ではなく『[[王の帰還]]』に変更されている。

*** 画像 [#b754b676]

&ref(vlcsnap-00077.jpg,,25%,『ロード・オブ・ザ・リング』におけるシェロブ);

** ゲーム『[[シャドウ・オブ・ウォー]]』における設定 [#r0a3b48f]

人間の女の姿をとることができ、会話することも可能。さらに幻視という、ある程度未来を予知する力を持つ。かつてサウロンと交流があったようだが、今は決別している。[[ウンゴリアント]]の直接の子ということになっている。

&ref(20171010193654_1.jpg,,10%,『シャドウ・オブ・ウォー』におけるシェロブ);
&ref(Shelob_SoW.jpg,,10%,『シャドウ・オブ・ウォー』におけるシェロブ);&ref(20171010193654_1.jpg,,10%,『シャドウ・オブ・ウォー』におけるシェロブ);

** コメント [#Comment]

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