* ムマキル [#nfe72fc6]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[動物]]|
|~スペル|mûmakil((単数形ムーマク(mûmak)。ムマクの訳もあり))|
|~異訳|ムーマキル|
|~その他の呼び名|じゅう(Oliphaunt)、オリファント((映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』での表記。Oliphauntをそのまま音訳したもの))|

** 解説 [#Explanation]

[[ハラド]]に棲息する巨大な獣。現代の象に似たような動物と考えられるが、象よりも非常に大きい。[[ハラドリム]]はムマキルを調教し、背中に攻城櫓(war-tower)を乗せて、戦いに連れて行った。

>かれと同じものは今ではもう[[中つ国]]を歩いてはいません。この末の世にまだ生きているその同類の中に、わずかながらありし昔のかれの胴まわりと堂々たる姿の記憶が留められているに過ぎません。 …… その大きな脚ときたらまるで大木のよう、とてつもなく大きな耳は帆のように広がり、長い鼻は今にも打ってかかろうとする大蛇のように持ち上がっていました。小さな赤い目は怒り狂っています。角のような形をした上向いた牙は金の帯輪で巻かれ、ぽとぽとと血を滴らせていました。かれを飾っていた緋色と金色の飾りものもずたずたに切れて体の周りにはためいていました。攻城やぐらそのものと見える物の残骸が山のような背中にのっていました。猛り狂って森を通り過ぎる間につぶされてしまったのです。そしてかれの首の上の方に死に物狂いにまだしがみついている小さな人影と見えたのは――[[スワート人]]の中では大男ともいえる力ある戦士の体でした。((『[[指輪物語]] [[二つの塔]] 下』「四 香り草入り兎肉シチュー」))

[[指輪戦争]]では、[[イシリアン]]で[[ファラミア]]の部隊が[[ハラドリム]]と戦ったときに現れる。また[[ミナス・ティリス>ミナス・ティリス(ゴンドール)]]の包囲戦には多数のムマキルが投入され、攻城櫓(siege-tower)や機械装置などの牽引にも使われた。
[[ロヒアリム]]の[[馬]]はムマキルを怖れて近づこうとせず、[[エオメル]]達はハラドリムに苦戦を強いられた。また、[[モルソンド]]の[[ドゥイリン]]と[[デルフィン]]はムマキルの目を射抜こうとして踏み潰された。このようにムマキルは[[ゴンドール]]と[[ローハン]]の軍勢を苦しめたが、最終的には[[ペレンノール野の合戦]]で全滅した。

*** じゅう (Oliphaunt) [#w45ac049]

この動物の存在は[[ホビット]]の間にも伝承・おとぎ話として伝わっていたようで、かれらはこれを''じゅう''と呼び、[[サム>サムワイズ・ギャムジー]]がじゅうについての詩を歌っている。この詩は『[[トム・ボンバディルの冒険]]』にも「象」(Oliphaunt)の題で収録されている。

|~英語原文|~『[[指輪物語]]』での邦訳|
|Grey as a mouse, &br; Big as a house, &br; Nose like a snake, &br; I make the earth shake, &br; As I tramp through the grass; &br; Trees crack as I pass. &br; With horns in my mouth &br; I walk in the South, &br; Flapping big ears. &br; Beyond count of years &br; I stump round and round, &br; Never lie on the ground, &br; Not even to die. &br; Oliphaunt am I, &br; Biggest of all, &br; Huge, old, and tall. &br; If ever you'd met me &br; You wouldn't forget me. &br; If you never do, &br; You won't think I'm true; &br; But old Oliphaunt am I, &br; And I never lie.|&ruby(ねずみ){鼠};の灰色、 &br; 家の大きさ、 &br; 蛇のような鼻で &br; わしが草原ふめば &br; 大地はゆれるよ。 &br; わしが村を通れば、 &br; 木々が折れるよ。 &br; 口には&ruby(つの){角};、 &br; わしは南方に住み &br; 大耳をはためかす。 &br; 数えきれぬ昔から &br; わしはのそりと歩きまわり &br; 死ぬ時でさえ、 &br; 地面には寝ない。 &br; わしは、じゅうだ。 &br; この世の最大のもの、 &br; 堂々と、老いて、山のよう。 &br; 一度でもわしに出会ったら、 &br; 忘れようとも忘れられぬ。 &br; 一度も見なけりゃ &br; わしがいると思われぬ。 &br; だけど、わしは老いたじゅうだ。 &br; 嘘じゃないぞう。|

サムは[[イシリアン]]で現実にじゅうを目にして感動したが、南方から連れて来られたじゅうは全て[[ペレンノール野の合戦]]で滅ぼされたと後に聞いてがっかりしている。

なお英語のOliphauntとは象の古称で、しばしば象牙の角笛のことも指す。

*** 名前について [#b9b0316c]

邦訳『[[追補編]]』の索引には「ムマク、ムマキルはハラドのことばである。」とあるが、[[トールキン]]がそのように断言している記述は存在しない。ただし『[[The Peoples of Middle-Earth]]』に収録されている『[[追補編]]』の草稿には以下の記述がある。

>Of the speech of Men of the East and allies of Sauron all that appears is mumak, a name of the great elephant of the Harad.&br;(東方の人間とサウロンの同盟者たちの言葉で登場するのはムマクだけで、ハラドの大きな象の名前である。)

*** 画像 [#hd4d0835]

&ref(AlanLee-30-TheOliphaunt.jpg,,25%,アラン・リー作画によるムーマク);

** [[Iron Crown Enterprises]]による設定 [#yfe0afe4]
[[ICE>Iron Crown Enterprises]]設定では、[[ムーマク]]の主は[[インドゥア]]という[[ナズグール]]の一人である。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

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非常に巨大な獣として描かれている。現実の象と異なり、牙は三対六本。牙と牙の間に、敵をひっかけるための縄が張られていたり、足の周りに敵を近寄らせないためのスパイクがまかれたりしているなど、武装が強調されている。
怯える馬の表現が困難だったためかアクションを優先したためか、ロヒアリムの馬がムーマクを恐れる様子はない。
怯える馬の表現が困難だったためかアクションを優先したためか、ロヒアリムの馬がムマキルを恐れる様子はない。

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