* キーアダン [#gc396fe2]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Círdan|
|~異訳|キアダン|
|~その他の呼び名|船造り(the Shipwright)|
|~種族|[[エルフ]]([[テレリ]])|
|~性別|男|
|~生没年|不明|
|~親|不明|
|~兄弟|不明|
|~配偶者|不明|
|~子|不明|

** 解説 [#Explanation]

[[テレリ]]の[[エルフ]]で、[[ファラスリム]]の長。名は「船大工(Shipwright)」の意。[[中つ国]]を去るエルフのために船を造り続けているが、彼自身は一度も[[中つ国]]を離れたことはなく、最後の船が西方に船出するまで、今なお留まり続けているとも言われる。

> 一行が門のところまで来ると、船大工のキアダンがかれらを出迎えました。かれはたいそう背が高く、その顎鬚は長く、銀髪で年老いていました。ただ、その目は星のように鋭い光を湛えていました。かれは一行に目を向け、頭を下げて、いいました。「もうすっかり用意は整いました。」と。((『[[指輪物語]] [[王の帰還]] 下』「九 灰色港」[[灰色港]]で[[指輪所持者]]らを出迎えた場面。))

エルフは一般に不老であるが、彼だけはこのように人間の老人のような姿に描写されている。

*** [[第一紀]]以前のキーアダン [#l2186125]

キーアダンは、[[ファラス]]([[西ベレリアンド]]沿岸地方)の領主であり、彼の民は[[ファラスリム]]と呼ばれた。ファラスリムは[[西方の地>アマン]]に憧憬を抱きつつも、中つ国と海、そして[[オッセ]]への愛のために此岸に留まることを選んだ者達で、かれらはオッセから教えを受けて、中つ国で最初の船大工となった。

[[太陽の第一紀]]がはじまり、[[ニアナイス・アルノイディアド]]以後になると、彼のもとに多くのものが避難してきた。キーアダンの水軍は沿岸で上陸作戦を行い、[[モルゴス]]の軍勢に抵抗する。だがファラス地方も陥落すると、キーアダンは[[ギル=ガラド]]と共に生き残った者たちを連れ、[[バラール島>バラール#Isle]]に逃れた。

それからキーアダンは、[[トゥアゴン>トゥアゴン(フィンゴルフィンの息子)]]に依頼され、七隻の船を建造した。それらの船は[[ゴンドリン]]の使者を乗せ、[[ヴァラール]]に許しを乞うために[[アマン]]を目指したが、最後の一隻を除いて消息を聞かれることはなかった。残った一隻は絶望して中つ国に引き返していたところ難破し、乗組員はただひとり[[ヴォロンウェ]]を除いて、全員が海に消えた。
それからキーアダンは、[[トゥアゴン>トゥアゴン(フィンゴルフィンの息子)]]に依頼され、七隻の船を建造した。それらの船は[[ゴンドリン]]の使者を乗せ、[[ヴァラール]]に許しを乞うために[[アマン]]を目指したが、最後の一隻を除いて消息を聞かれることはなかった。残った一隻は絶望して中つ国に引き返していたところ難破し、乗組員はただひとり[[ヴォロンウェ]]を除いて、全員が海に消えた([[ウルモ]]によって救われたヴォロンウェは、[[トゥオル]]を[[ゴンドリン]]へと導くことになる)。
その後、[[ナルゴスロンド]]が危険にさらされており、([[トゥーリン]]の主張によって作られた)城門の橋を落として隠れるべきだという[[ウルモ]]の託宣を聞いたキーアダンは、[[ゲルミア>ゲルミア(アングロドの民)]]と[[アルミナス]]をナルゴスロンドに派遣し、[[オロドレス>オロドレス(フィナルフィンの息子)]]に伝えさせた。だがトゥーリンはこれを受け入れなかった。

ベレリアンドの全てのエルフの王国が滅亡した後も[[ウルモ]]に守られて、[[シリオンの港]]周辺とバラール島は自由の民の最後の避難所として持ちこたえていた。[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]と[[エルウィング]]はシリオンで出会い、[[エルロンド]]と[[エルロス]]もその地で生まれた。エアレンディルに航海の技を教え、[[ヴィンギロト]]の製作にも力を貸したのはキーアダンとその水夫たちであった。だがエアレンディルが西方を目指して出港後、シリオンは[[シルマリル]]を奪い返そうとする[[フェアノールの息子たち]]によって襲撃されて滅亡してしまう。

エアレンディルの懇願で[[怒りの戦い]]が起こり、モルゴスの王国が崩壊するまで、バラール島のみが自由の民の拠り所として残っていた。

*** [[第二紀]]以降のキーアダン [#r0a8b8d5]

怒りの戦いによりベレリアンドが水没した後、唯一水没を免れた地である[[リンドン]]に、キーアダンはギル=ガラドやエルロンドらとともに[[灰色港]]を築いた。
[[第二紀]]、[[第三紀]]を通じてキーアダンは灰色港に留まり、中つ国を離れるエルフのために、船を造り続けた。

また第二紀には、[[エリアドール]]を席巻した[[サウロン]]と戦う[[エレギオン]]のエルフを援助。[[ヌーメノール]]の援軍を得て、ギル=ガラドとキーアダンはエリアドールからサウロンを駆逐する。
その後は[[最後の同盟]]の戦いに参加。キーアダンは、[[エレンディル]]、[[ギル=ガラド]]とサウロンが倒れ、[[イシルドゥア]]が[[一つの指輪]]を奪う場面を、[[エルロンド]]と共に目撃している。エルロンドとキーアダンは指輪をとったイシルドゥアに、それを火の山に投じるよう助言したが容れられなかった。

またキーアダンは最後の同盟の戦い以前にエルフの[[三つの指輪]]の一つ、火の指輪[[ナルヤ]]を受け取っていた。
第三紀に[[イスタリ]]が西方から船で中つ国へ上陸した際、それを目撃したのがキーアダンだった。イスタリの正体とその使命については長らくキーアダンのみが知るところであった。
この時、[[ガンダルフ]]がイスタリの内もっとも気高い者と見抜き、彼にナルヤを譲っている。

キーアダンは[[第三紀]]においても、[[アングマール]]の[[魔王]]と戦う[[北方王国]]の援助を続けた。最後の王[[アルヴェドゥイ]]の危急には、彼を救うべく[[フォロヘル]]へ船を差し向けたが、魔王の寒気に阻まれて、王も船も生還することはなかった。
[[一つの指輪]]が発見されたことによって開催された[[エルロンドの会議]]には、キーアダンは灰色港から[[ガルドール>ガルドール(灰色港)]]を派遣している。

[[指輪戦争]]が終わり、すべての[[指輪所持者]]らが中つ国を去る時も、キーアダンは灰色港で彼らを出迎え、送り出した。キーアダンがいつ中つ国を去ったのかは知られていない。

>わたしのことなら、わたしの心は海とともにあり、最後の船が船出するまで、わたしはこの灰色の海辺に住まうのです。((『[[指輪物語]] [[追補編]]』「B 代々の物語 (西方諸国年代記) 第三紀」))

>それに対し、わたしの心は大海と共にあり、わたしは最後の船が船出するまでは港を守って、灰色の海辺に住まうつもりです。((『[[シルマリルの物語]]』「力の指輪と第三紀のこと」))

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』冒頭にて、[[三つの指輪]]を手にしたエルフの中にその姿が見られる。
『[[ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還]]』では灰色港のシーンに登場するが、セリフはない。[[指輪所持者]]の船が去った後姿が消えているので、一緒に船に乗った可能性もある。
どちらのシーンでも、原作の描写とは異なり(恐らく[[人間]]と混同されるのを避けるため)髭は見られない。

** コメント [#Comment]

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