だが、「これ以上の進展はないだろう」と思っていた私(いや、我々)に更なる朗報が入ってきた。
Peter Jackson has confirmed that the Japanese translations of TTT will be a lot better than they were for FOTR. PJ was interviewed by TVNZ before the TT premier in Paris, during which he commented that there had been a lot of complaints from Japanese fans about the quality of the dialogue translations for FOTR.
"They said that whoever did the translation obviously didn't know the subject and was making big mistakes, and they asked that this person not do the translations for The Two Towers - and that's what we've done. We've got someone else to do the Japanese translations this time around."
ピーター・ジャクソンは、『二つの塔』の日本語字幕が『旅の仲間』よりずっとよくなるということを確認した。
ピーター・ジャクソンは、パリで行われた『二つの塔』プレミアにて、日本のファンから『旅の仲間』の字幕の室に多くの講義が来たことについて、TVNZのインタヴューで以下のように語った。「彼ら(日本のファン)は、翻訳をした人が明らかに作品を理解せずに大きなミスを犯し、『二つの塔』の翻訳をさせないようにと言ってきた。我々はそうした。今回は別の人に日本語訳をさせた」(編者訳)
「戸田奈津子が降板するためには、ピーター・ジャクソンかニュー・ラインの圧力がなければ駄目だろう」まさにそれが実現したのである。
ピーター・ジャクソンは元々原作『指輪物語』のファンであり、トールキンの意志も知っている。トールキンの「言語」の重要性もしっかり理解しているのだ。例えば劇中に登場するエルフ語などについては、トールキンの研究家に発音や文法のチェックを依頼しているほどである。また、映画には登場しないことに関しても、トールキンが作った歴史とは矛盾しないように配慮されている。例えばモリアの壁面には、ドワーフの言葉でドワーフの歴史がみっちりと書き込まれている(勿論映画を見ただけでは絶対に読めないが、実際に翻訳可能で内容もトールキンの設定に従っている)。
『指輪物語』で語られていることは、トールキンの作った数千数万年の歴史のうちのほんの数年間の物語である。トールキンは『指輪物語』の作中の背景で、その壮大な歴史を感じさせるように作っていた。
大抵の小説からの映像化作品ではそういう「目に見えないところ」はみんなカットされてしまうものだが、ピーター・ジャクソンはその「目に見えないところ」までもみっちり作り込んだのである。
そういうみっちり作り込んだところを、戸田奈津子は、字幕の制限という止むに止まれぬ事情以前に「判らんから」とことごとく消し去ってしまうのだ。そのため日本のトールキンファンから抗議の嵐が出たのだ(字幕制作者ごときが作品の制作者の意志を汚すことが許されるのか? 制限があっても可能な限り映画製作者の意思を尊重すべく努力するのが当然であろう?)。するとトールキンのファンであるジャクソンが、日本のトールキンのファンの意見を受け取り、字幕翻訳者交代という話になったのだ。
その後の展開については私はこう予想した。ヘラルドとしては、これ以上戸田奈津子との関係を悪化させたくはない。そのため、「多数の抗議」「監督からの圧力」があったことは表に出さず、何の発表もしないでこっそりと人だけ変えるという可能性が高いだろう。そして次の翻訳者が誰になるかは不明だが、誰になったとしても、「傲慢なプロ意識に凝り固まっており、翻訳監修者の田中明子氏らの話を聞かない」という事は無いだろう。従って、旅の仲間劇場公開時より字幕が酷くなることはないはずだ、と。
では誰が翻訳をする事になるのだろう? 私としては林完治氏を望んでいた。氏はスターウォーズ特別編の翻訳の時、スターウォーズの背景世界をしっかりと考慮して翻訳を行ってくれた。彼ならば、指輪物語の背景世界も考慮した翻訳をしてくれるだろう。