文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門 審査委員講評

第15回 文化庁メディア芸術祭 特設サイト

押井氏による評があります。

完璧な「コピー」の中で、高度な物語が際立つ

テレビシリーズ作品に原作付きの割合が異様に高く、しかもその演出が完璧なコピーを目指しているとしか思えない点で共通性がある、というのが際立った傾向だった。さらに、その主題が日常の心象に終始して、劇的な展開や構造を必要としなくなっている=物語性が希薄化している傾向も共通している。漫画原作のアニメへの翻訳や移植など、要するに完璧な「コピー」は、実はかなり高いレベルの作画技術と演出力が必要で、その意味ではテレビシリーズに関わるスタッフの技術レベルが相対的に底上げされたことを傍証している。現在のアニメファンの需要に応える、という側面では評価すべきなのかもしれないが、表現行為としては明らかに後退しており、特定の需要に特化するという傾向が続くとすれば…… 間違いなく続くのだろうが、憂慮すべきというレベルを超えて、業界全体の自殺行為に繋がると思われる。ただし、一部の制作者、演出家の中に、この傾向を逆手にとって、高度な物語性や突出した演出を試みている応募作もあり、一般性には欠けるかもしれないが、これらの作品を高く評価することにした。

「逆手に取った演出」とは、恐らく『魔法少女まどかマギカ』のことでしょう。