リチャード・ギャリオット(元ロード・ブリティッシュ)は何をしに宇宙に行ったのか

ちょっとゲームと宇宙旅行の話など。

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リチャード・ギャリオット、無事帰還 | ソユーズ | sorae.jp

ウルティマの生みの親、宇宙から無事帰還 - ITmedia News

コンピューターRPG『ウルティマ』シリーズの開発者で、ロード・ブリティッシュとして有名なリチャード・ギャリオット氏が宇宙旅行者として、ソユーズ宇宙船で宇宙に行ってISSに乗り込み、その後無事帰ってきました。このためにギャリオット氏は、ISSで実施する実験の訓練を受けソユーズのシートの型を取り(ソユーズのシートはオーダーメイドで各クルー専用に作られる)サバイバル訓練にも参加しています。

リンク先の記事にもある通り、ギャリオット氏の父は本職の宇宙飛行士で、ギャリオット氏は親子二代で宇宙にいった初めてのアメリカ人ということになります。以前から父の影響かギャリオット氏はSFも好きで、中世ファンタジーを題材とした『ウルティマ』シリーズにも、時折SF要素が入り込んでいるものがあります。

ギャリオット氏は日本でも人気があるMMORPG『ウルティマ・オンライン』を生み出しました。ギャリオット氏の作ったゲーム会社オリジン・システムズはエレクトロニック・アーツの傘下になるのですが、その後ギャリオット氏は会社を追い出されてしまいます。それからギャリオット氏は『タブラ・ラサ』という新しいMMORPGを開発しました。ギャリオット氏は『ウルティマ』シリーズにおいて、作品世界ブリタニアの国王「ロード・ブリティッシュ(ブリティッシュ国王)」というキャラクターで登場してきましたが、『タブラ・ラサ』は本格的にSFを題材にしているため「ジェネラル・ブリティッシュ(ブリティッシュ将軍)」と名を変えて、やはりゲーム中に登場しています。

今回の宇宙旅行(こちらの記事こちらの記事によると費用は3000万ドル以上)もただの道楽ではなく(まあほとんど道楽でしょうが)、『タブラ・ラサ』のプロモーションという側面もあります(あと、セイコーの時計の実験など、スポンサーに依頼された宇宙実験も行っています)。

4Gamer.net ― R・ギャリオット氏,宇宙から"エイリアン語"でメッセージ(Richard Garriott's Tabula Rasa)

しかし日本においては、このプロモーションは全く効果を成していないようです。2008年中にサービスが開始されると予告されていたにもかかわらず、日本版タブラ・ラサの公式ページは更新がすっかり止まったままで、いつ日本語サービスが始まるのかも全く触れられておりません。日本におけるギャリオット氏の宇宙旅行に関する報道についても、『ウルティマ』という言葉が出ることはあっても『タブラ・ラサ』の言葉はほとんど出ておりません。

元々私は『ウルティマ』シリーズが好きで、『ウルティマ・オンライン』にもサービス開始前から非常に興味を持っておりました。ただ私は当時、このゲームをプレイできるような環境を持っておらず、また横行するPKPKKの話を聞いているうちに「8つの徳と3つの原理の、聖者を目指す崇高な世界はどこにいったんだ?」と思い、さらにギャリオット氏が去った後、拡張で世界観がどんどんカオスになって行く『ウルティマ・オンライン』の話を聞くに従い「私が好きなブリタニアはどこにいったんだ?」と思って興味を失ってしまったのでした。

そんなわけなので、ギャリオット氏が新たに作ったゲーム『タブラ・ラサ』はどのようになるのかと個人的には興味があったのですが、上記のような状況のため、日本では当分お目見えできそうにありません。ところが『タブラ・ラサ』で調べていたら、こんな話もありました。

4Gamer.net ― UOから10年。リチャード・ギャリオットの手掛ける新たな世界をちょっと見学(Richard Garriott's Tabula Rasa)

この原稿をここまで読んでくれた人なら気が付いていると思うが,現状ではなんら目新しいポイントは見つからない。世界観こそSFではあるが,そのほかの部分はまったくもって既存のMMORPGと変わらない。序盤がお使いクエストゲームになっていることすら含めて,だ。EverQuestが,RAIDを体験できるレベルになったら違うゲームになるように。リネージュIIが,攻城戦を体験できるようになったら違うゲームになるように。DAoCが,RvRに入り浸りだすと違うゲームになったように。もしかしたら将来的に「まったく今までとは違うコンテンツ」を提供してくれるのかもしれないが,その明確なロードマップはなく,存在の片鱗をゲームから感じることもない。

『タブラ・ラサ』は韓国企業が買い取った形になっているのですが、その韓国の報道にもこんなのが。

米ゲーム開発者の宇宙旅行、韓国企業が支払い? | Chosun Online | 朝鮮日報

だがリチャード氏は、NCソフトとの契約から6年以上たった昨年末になってようやく、NCソフトで初のオンラインゲーム「タビュラ・ラサ」を発表した。しかも、市場の評価は「時代遅れのゲーム」「エラーが多すぎてやりにくい」といった手厳しいものばかりだった。

リチャード氏を迎え入れるのに要した費用を含め、このゲームの開発には1000億ウォン(約70億1500万円)近くもの投資をしたが、今年第2 四半期(4‐6月)までの売り上げは88億ウォン(約6億1700万円)に過ぎない。NCソフトの開発部門のあるプログラマーは、「社内でもリチャード氏を"金食い虫"と呼んでいる人が多い。広告塔としては十分な役割を果たしたが、開発者としては失格だ」と話す。

上記のように、いまいち『タブラ・ラサ』の人気が振るわないため、日本への導入もお預けになっているのかも知れません。

ところで話は逸れますが、朝鮮日報の記事の続き。

しかし、「金食い虫」リチャード氏への投資は成功した。1000億ウォンに及ぶ「タビュラ・ラサ」の開発費用の多くが、賃金として彼の懐に入ったからだ。ギャリオット兄弟はストックオプション制度を利用して購入した株式のうち、22万株(1.04%)を今年2月から7月にかけ売却した。リチャード氏が NCソフトに在職中に得た所得は400億ウォン(約28億1200万円)に上ると推定される。そのため、300億ウォン(約21億900万円)を超える彼の宇宙旅行の費用は韓国から出たものだと考えてもおかしくないというわけだ。

この文脈の意味が不明なんですが……。ギャリオット氏が本当に「金食い虫」だったとして、ギャリオット氏への投資が「成功」だったというなら、『タブラ・ラサ』がヒットしたということなのかというと、そうとは書いていない。彼の宇宙旅行の費用は韓国から出たものだと考えてもおかしくないという話からすると要するに、「韓国の金で(アメリカ人だけど)宇宙旅行者を送り出すことができたのは、韓国とNCソフトにとって成功」という意味? それで韓国にどんなメリットがあるのかさっぱりわかりませんが……。

そういえば今回ギャリオット氏はSpace Adventures社と契約して宇宙旅行を実現させましたが、同じくSpace Adventures社と契約して宇宙旅行しようとしていた元ライブドアの榎本氏が、健康問題を理由に宇宙旅行を拒否され、なおかつ支払った費用が返還されないため、同社を提訴したという話もありました。

元ライブドアの榎本氏、宇宙旅行費用22億円の返還を求めて提訴 | WIRED VISION

で、そういった話とは縁遠く、もちろん宇宙旅行などできない、そして日本版『タブラ・ラサ』をプレイすることもできない私が余暇に何をしているかというと、『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』をプレイ中。日本では、拡張パック『Mines of Moria』が導入されるのかどうか不透明なのですが、10月21日に大型アップデートBook14が導入され、イベントややり込み要素が大幅に追加されたので嬉しい悲鳴状態です。

ロード・オブ・ザ・リングス オンライン スクリーンショット

映画でも描かれていた(DVDのスペシャル・エクステンデッド・エディションとより長く描かれている)、原作でフロド達が裂け谷を出発するシーンが、ゲーム内で再現されていて感動。自分が本当に、小説の中の一登場人物になった気分でした。

この『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』はクエストやストーリーが非常に充実していて「狩る(敵を倒す)」以外にいくらでもやることがあるし、ひとりでだらだら遊ぶ分にもちょこちょこ遊ぶ分にも配慮されたシステムになっているし、世界観がしっかりしている(緻密に構築された原作の世界観を再現している)ため雰囲気にどっぷり浸れるし、グラフィックも時々見とれてしまうほど綺麗だし、本当に素晴らしいゲームだと思います。新アカウントを作ってからの無料プレイ可能期間だけでも、かなりの累計時間の間プレイが可能ですし(無料プレイ期間は日数ではなくLVでカウントされるので、ちまちまプレイしていたら非常に長い期間遊べる)。
あとは日本でこのゲームの知名度が上がってくれればといつも思うんですが……。北米では、ユーザー数第2位のMMORPGになっているのですが(第1位は『World of Warcraft』)。

あと『Star Wars: The Old Republic』という新しいMMORPGが出るそうでこれにも興味があるのですが、日本では以前『スター・ウォーズ ギャラクシー』の日本語サービスが中止に追い込まれているからなあ……。北米でも色々と騒ぎがあったらしいですが