22日に東京国際アニメフェア2007で行われた『精霊の守り人』記者発表でのトークを以下に掲載。登壇したのは原作者の上橋菜穂子氏、監督の神山健治氏、作曲の川井憲次氏、プロデューサーの石川光久氏。この発表は海外向けということもあり、トークには全て英語通訳がついていた。(海外の配給会社からのヴィデオレターなども公開されたが割愛)
――ご自分の原作が、ラジオドラマやアニメといった、活字の世界とは別のメディアで表現されるというのはどのような気持ちでしょうか?
上橋 やはり原作者としては、最初は不安もありました。どんなふうに自分の作品が変わっていくのかと。ただ私は文化人類学を研究しているんですが、世界中のどの人も物語が好きで作りますよね。ただ、物語を作るだけではなく、人はそれを音楽にしたり劇にしたり絵にしたり、さまざまな表現手段に変えています、私はそれがすごく面白いことだと思っています。ですから私の物語が、ほかの才能を持っている監督に、何かを作りたいという気を起こさせて、そしてそれがアニメになるというのはとてもとても幸せなことだと感じています。
――そんな中でも、今回は神山監督が手がけるテレビアニメ化ということですが、特に期待されているのはどう言ったところですか?
上橋 私は実は神山監督の大ファンでして(笑)、この話をいただいたときには本当に夢のようだと思いました。今はとにかく神山監督の手で私の作品がどんなふうに変わるのかというのを、楽しみにしているところです。
――『精霊の守り人』が出版されてから10年になりますが、あらためて読者の皆様にメッセージをお願いします。
上橋 もう10年も経ったかと思うと本当に不思議な気がします。これからの10年もこの物語が愛されていくといいなあと心から思っています。
――『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』はアジアやアメリカ、ヨーロッパなどでも大ヒットとなっておりますが、ご自身ではどのような手応えを感じていらっしゃいますでしょうか?
神山 まわりから非常に、海外で評価されているという話を聞くんですけれども、僕自身は絶えずスタジオにこもって仕事してますので、あまりファンの声を聞く機会がないんですが、今日こういった会場に来て、海外のメディアの方々ですとかに声をかけられたり取材を申し込まれたりするようになったというところで、非常に作品が海外の方にも認知されたんだなと実感します。
――『精霊の守り人』では、どのような部分に力を入れられたのでしょうか?
神山 まず、この原作を読ませていただいたときにですね、登場人物達の力強く生きている姿ですとか、泥臭くいきる生命力とかに凄く感銘を受けまして、アニメにするにあたって、ファンタジーという設定を描くのではなく、その世界に生きる人々を力強く描けたらなと、まず一番に考えまして、その部分をアニメーションで表現していきたいなと。と同時に、ハイファンタジーというジャンルですので、本来は活字で表現されている世界観の設定みたいな部分を、如何に素晴らしい映像でみなさんに見ていただけるようにするかということを心がけて作っています。
――この作品の音楽を作るにあたって、どんな点に特に力を入れられたのでしょうか?
川井 作品の内容からして、アジアっぽい、アジアの音楽を心がけようとしました。ただそれがどこかの国かに限定されないようにしたほうがいいんじゃないかと思って色々考えたんですが、やっぱりアジア人の潜在的意識にあたるようなメロディを考えたつもりです。
――第1話をすでにご覧になっているということですが、完成した作品をご覧になりまして、どのように思われたのでしょうか?
川井 第1に、とにかく絵がべらぼうにきれいだったということですね、それが印象的でした。もちろん内容的にも素晴らしいものがありましたし、あと今回は1話を見てから続きの音楽を作ることができたので僕にとってはとてもラッキーです。実は今日、これから帰って『精霊』の音楽を作るんですが、まだ10数曲残っていて、それが気がかりです(笑)。
――(海外の配給会社のヴィデオレター上映後)応援メッセージをご覧になりまして、どのような感想を持たれましたでしょうか?
石川 これは英語で返すと、ベリー・エキサイティングだとまず言いたいです。『精霊の守り人』を作るにあたって『ハリー・ポッター』のようなファミリーエンタテインメントのわかりやすさと『ロード・オブ・ザ・リング』のようなハイクオリティなものを作ってくれと言われたんです。その時思ったのは「そんなのできっこない」だったんですけど、でも1~3話を見て、絶対できないと思っていたのが、ひょっとするとできるんじゃないかなという予感を感じさせてくれます。そういう意味で、ベリー・エキサイティングだと思います。
――『精霊の守り人』の海外展開にかける意気込みをお聞かせ願えますでしょうか。
石川 ありがたいことに、全米とアジアはもう既に窓口が決まっていまして、ヨーロッパに関してはこれからなんです。ぜひ先ほど言われた『ハリー・ポッター』と『ロード・オブ・ザ・リング』を足して2で割った作品ができる予感がするというのを頭に入れて、電通の方に連絡していただければ、凄くいい関係が結ばれると思います(笑)。

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